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神がいないこの世界、そして僕達は神になる  作者: 秋野紅葉
ようこそ信頼と実績のアストラルへ
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世界樹の守人

ーーーーーー午後3時、エントランス。


ショッピングモールの入り口。

観葉植物、噴水の水しぶきが心地良く、天井のガラスから差し込む光の陽の光の下……


黒ずくめの3人は注目を浴びていた。


「なぁ」

「なんだよ」

「視線が痛い」

「そう?私は心地いいけど」


奏は名前を呼び、手を振る人に笑顔で返している。


「なんだ?あの2人」

「どっちかが彼氏か?」

「無防備だし、取り敢えず狩るか?」


物騒な声が聞こえてくる。


「これは損なやくまわりだな」

「なんで?」

「俺は関係ないし、妬まれるべきは臨だし」

「俺も身に覚えはないが」


2人は同じような言い回しを延々と続けている。


「あの……」


気付けば3人の目の前に1人の少女が立っている。


銀色の髪に、背の低さや、体の華奢さから、年下であろう少女が声をかけてきた。


「あ!もしかして依頼者さんですか?」


奏が営業モードに切り替える。


「気配なかったよな……?」

「あぁ、初っ端に当たりを引けたかもな」


前に出た奏の後ろで2人はこそこそ話す。


「はい……ユグドラシルのミッションを依頼した者です」


少女は見た目からは想像できない冷たい声で淡々と話す。


「うーん、ローブのせいでスキルが読めないな……」


考え込む臨を千寿が恐い顔をして見つめる。


「どうした?」

「いや、聞き間違いかもしれないが……ユグドラシルって言わなかったか?あの子」


2人をよそに、奏はあれやこれや質問や世間話を繰り返す。


「あぁ、ミッションは☆8の『妖精の秘宝』……世界樹ユグドラシルの麓の森の探索だ」


「おい、最高難易度10の中の8っておかしくないか?」


「そうだなぁ……某RPGで言うところ、レベル上げをせずに、逃げるコマンドを駆使してマッピングと宝箱回収をするようなものだろ?いけるいける」


「あのなぁ……」


千寿は頭に手をやる。


「へー、この月の形の髪留め、あそこの店で売ってるんだねー」

「はい……そろそろ後ろのお2人の密談も終わったようですし、本題に入りませんか?」


少女はニコリともせず、奏の肩越しに臨を見た。


「よし、まずは依頼に関するルールは読んだか?」

「はい……スキル、装備に関する詮索はしないこと……完了不能とみなした依頼は依頼料の倍額返金の上、即時解約……契約中はアストラルのマスターの指示に従う事……」


「オーケー、じゃあ依頼契約するとしよう」


臨がメニューを開き、アイテム欄からスクロールを取り出すと、少女に投げる。


少女はローブから出した細い腕で受け取ると、スクロールを開き、細長い指でサインした。


再び、スクロールを丸めると臨に渡す。


「名前は?」


「柚葉…呼び方はユズでもユズハでも何でもいい……」

「そうか、俺は臨。こっちの眼帯が千寿、そこの営業マンがーーーーーー」

「もう自己紹介は終わってます-!ねぇー?、柚ちゃん」


奏が問うと、柚葉は小さく頷く。


「相変わらずコミュニケーション能力が高い」

「お前とは違うってことだ」


千寿は臨の肩を叩く。


「で、このミッションの報酬は妖精の礼装だよな?それ目当てならボスもいないし、途中にある守人の宿は無視してーーーーーー」

「いえ……その守人に用があるのです……」


言葉を遮った柚葉を臨が黙って見つめる。


「え、え、どうしたの?」

「おいおい、説明を遮られたからって怒るなよ」


臨の態度の急変に2人は焦る。


さっきまで楽しそうに話していた臨は真剣な顔で問う。


「狙いはレアドロップか?」

「はい……」

「このゲームはレベルが存在しない代わりに、ミッションやダナケーの取得量による功績値が存在する。一定の功績値を獲得する度に、ステータスに数値が加算されるのは知っているよな?」

「勿論です……」

「振り分けは?」

「アジリティーとクリティカルです……」

「なるほどね」


「ちょっと待って、私そのシステム知らないんだけど」

「力を示すストレングス、防御を示すバイタリティー、速さを示すアジリティー、不確定要素のハンデを補うクリティカルだろ?」


千寿が自慢気に説明をする。


「あぁ、そうだな」


臨はまた黙る。


すると柚葉が話し出す。


「自分の身は自分で守ります」


その言葉を待っていたかのように、臨は笑顔で応えた。


「よし、じゃあやるだけやってみますか」


ヴァルハラサイドにそびえ立つ


天さえも飲み込みそうな大木


世界樹ユグドラシル


アストラル初依頼


『守人への挑戦』




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