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現の蝶  作者: 鮎弓千景
action1 現在:西暦二〇五〇年
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action1/1 はじまり



 日本は科学が飛躍的に進歩した。

 元より先進国であった日本は根気強さと努力により、高度な医療は進歩した科学により生まれた。同盟国のアメリカを差し置いて、今や世界トップクラスの科学国として乗り上げた日本には、多くの物が溢れ返っている。


 今から十年前に誕生したネルヴォイは、コンタクト化した機械だ。ネルヴォはイタリア語で神経を意味している。このネルヴォイを通じて、神経伝達の際に生じる電流により、通話やメッセージなどのやりとりが可能となった。


 誰にでも扱える点から、現在は高齢者にまで幅広く普及している。

 世界の情報収集は最早新聞やニュースといったものではなく、端末で行うようになった。

 需要の少なくなった新聞・ニュース。若者が端末での情報収集しかしなくなった当時、年輩者達はこれを“メディア離れ”と呼んだ。


 その年輩者達も今では端末で情報収集をしている。唯一対人コミュニケーションは失われずにいるが、非対人コミュニケーションが多勢となってきており、いつかそう遠くない未来には端末のみでの会話が主流となる。人は対人離れになっていくことだろう。


 そんな今の日本では、人が簡単にクローンになることが出来る。人は死を恐れ、永遠の命を望むものだ。それを可能としたのがクローン技術である。

 一つの卵子から核を取り出し、卵子の中にオリジナルである人から採取した体細胞を直接注入するクローン技術だ。

 そもそも、クローン技術自体は数十年も前に存在していたが、従来の技術では一つの卵子しか使えなかった。


 日本の科学者及び研究者達は、最初に作られたクローンから卵子を採取し、その卵子の卵細胞を分割。特殊な環境下で増殖、成熟させる技術を生み出した。

 この技術の誕生によって、幾つもの卵子からクローンを生み出すことが可能となり、人が体細胞を提供すれば、オリジナルの死後、クローンとして生まれ変わることが出来るようになった。


 人とは、常に生と死が隣り合わせになっており、決して交わることはない。それは光と闇が交わらないことと同じだ。

 簡単にクローンになれるということは、生と死が交わった状態にいることである。古来より続く生命の倫理が、根本的に覆された瞬間でもあった。


 そして同時に、クローンと人間の間に確執と呼ばれる溝が出来始めたのも、また避けられぬ問題ではあったのだ。




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