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ORIGIN LEGEND  作者: 星月夜楓
レイズ編
4/27

第三説 可憐な毒、それは鈴蘭のように

前回のORIGIN LEGENDは。

天空界を訪れた彼らはカジノ荒らしをする。そして聖域へと赴き、神龍と言葉を交わす。しかし、その時間は長くなかった。神龍は阿修羅に乗っ取られ、シンリュウからジンリュウへと名を変える。非力な二人はその場から逃れ、デグラストルへと帰る。神龍を倒すことはできるのは光と闇の力を持つ者のみ。

 来客は突然に来るものだ。デグラストル宮殿の地上部分にその者はやってきた。


「リーダー、客がいらしたぜ」


 作業員によってレイガが呼び出された。レイドは相変わらず地下でだらけている。


「ん、わかった。すぐにいくよ」


 仮の地上と地下を繋ぐ出入口から出て、大きく伸びをしながらその者に近付いていく。


「ん〜、誰だろ。俺に来客なんてあるのかな。そんなに外と触れてねえし」


 その来客が見えて来たところで立ち止まる。


「結構美人だな」


 と、思わず口から本音が漏れる。そう、その人物は女性で二十代手前か前半かくらいに見える。銀髪のショートでどこか艶かしい。


 彼は再び歩き出し、彼女の前に立った。


「失礼、どこかでお会いしたかな? それとも初対面? 何かご用でしか?」


 とまぁ、普段の彼からはとても思えない口ぶりである。


「ここの長にお会いしたいのだけれど……貴方かしら?」


 向こうもまた丁寧に返してくる。


「ああ、一応俺がここのリーダー務めているんだ。よろしく」


「ええ、こちらこそ」


 二人は自然と握手をする。


「ところで要件は?」


「貴方が死ぬことよ」


 ニッコリと彼女は笑い、彼は背筋が凍った。刹那、彼は手を振り払い、後ろへ数歩後退し、臨戦態勢になる。


「お前、何者だ!」


 問い掛けるがそう簡単に答えるはずもなく。


「これから死ぬ人に話すことなんてないわ」


 お決まりの文句をつけてきたのである。


「まあ、そうだろうな!」


 と、言いながら剣を抜き、突っ込もうとするが力が出なく、その場に倒れ伏す。


「な……⁉︎」


「ふふ、もう既に貴方は終わりかけなのよ」


 突然の痛みに呻き声を上げる。


「ぐ、グォォォォッ! なんなんだ、これ! 熱い! 痛え!」


 先程握手した右手は高熱を発し、激痛を伴ってくる。


「さぁ、何だと思う?」


 しゃがみ込んで聞いてくる彼女はいやらしい女だ。


「熱伝導……? いや、原理が全然違う。お前の手は熱くねぇ……ぐっ……なら、なんだ……」


「てっきり賢いのだと思ってたけど、残念。まぁいいわ。冥土の土産として教えてあげる」


 チョン、と核を触ってくる。


「っ、それに触るなッ!」


「答えは毒、よ。私は全身が毒なの。あらゆる毒を生成できるのよ。例えば貴方にあげた毒は、熱毒と神経毒。体が動けないのは神経毒による作用で熱いのは熱毒なの。わかった?」


「ちっ、だと思ったよ! ガァァァッ‼︎」


「強がりはよしなさいな。まだ致死毒を与えなかっただけ親切だとは思わない?」


 どこが親切なのか小一時間聞きたいところだが、彼にその余裕はなかった。


「ハァ……ハァ……くそっ、力が全然入らねえ……」


「暗殺にこれほど便利なものはないわ。でも、今回はじっくりと痛ぶって殺したいの」


「けっ……三流のやることだぜそれは」


「三流、ですって?」


 その言葉に彼女は逆鱗し、踏みつけてきた。


「うぐっ⁉︎」


 ガリガリと擦り付け、痛みを与え続ける。


「こ、この野郎……調子に乗りやがって……!」


 それだけではない。その熱は段々身体へと近づいてくる。


「絶対絶命ってところだな……」


「何気取ってんのかしら!」


 ダンッ! と大きく踏みつけられる。


「こんなの……あんときに比べたら……屁でもねえ……」


「どこにそんな強気になれるところがあるのかしら!」


 もはや彼の意識は途切れそうだった。しかし、途切れることはないのだ。彼には不屈の魂があるから。


「あの地獄を知らねえお前に、わかってたまるかよッ!」


 それを言った瞬間、彼の頭に伝説神が語り掛けてくる。


『天地ノ力、解放セヨ』


 と。彼はそれに従った。どうやってやるかはわからないが本能のままやったのだ。


「何⁉︎」


 突然彼は発光し、これには驚かざるを得ない毒使い。やがて光は収まると、彼の身体は消えてきた。


「どこへ消えた⁉︎」


 辺りを探すがどこにもいない。逃げて応援を呼ばれたか、と焦る彼女であった。


「どこにも行ってねえよ」


 近くから声が聞こえてくる。しかし、彼はいない。ではどこにいるのか。そう、彼の核から声が出ていたのだ。


「っ、この球体があんたの正体だというの! なら、こうしてやる!」


 ナイフを取り出し、それに突き刺した。すると、ボロボロと崩れ出す。


「これで終わりね」


「それはどうかな?」


 どこからともなく再び声が聞こえてくる。


「えっ、今これ壊したはずじゃ」


 彼女は不可思議、不可解な出来事に狼狽えだす。一種の恐怖すら感じた。


『天地ノ魂、崩レズ。ソノ力、無限也』


 空間が歪み、新たな核が出現した。そしてそれに集うかのように原子が分子となり、細胞となりくっ付いていく。


 再構成された彼は眼を開け、こう語った。


「俺を殺すのにはあと十年は必要だ」


 自らの寿命の事である。


「ふざけないで!」


「さて、お仕置きが必要だな。不意を付かれたが、これでちゃんと戦える」


「どうやって毒を抜いたの⁉︎ どうやってこの状況を脱せたの⁉︎」


 あらゆる状況に立ち向かい、それを乗り越えることが天地の勇者なのだ。言うまでもない。しかし彼は言う。彼はお人好しなのだ。


「何、って。細胞の再構成の時に抜き出しただけだ。簡単な事だぜ」


「あり得ない! そもそも細胞を再構成⁉︎ わけわかんないわ!」


「わけわからんくて結構。俺も全然わからん。まあ、楽しもうや」


「ぐぅぅっ!」


 レイズの一方的な攻撃が始まる。

次回予告(1/11予定)

彼は神だ。彼は神ではない。概念であり、概念でない。二律背反(アンチノミー)こそが彼だ。彼は、高らかに叫ぶ。

次回、第四説。唸れ、我が魂! 激動せよ! 神格化!

幻想の中で彼が笑う。


あとがき

今回は二話制です。これと次の話で一つの話です。

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