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ORIGIN LEGEND  作者: 星月夜楓
レイズ編
26/27

第二十四話 想(オモイノハテ)

前回のORIGIN LEGENDは。

阿大気との死闘の末、これを四度の大技、そして究極神龍・天地斬により倒すことに成功。戦いを終えた彼は倒れてしまう。

 ……私は死んだのか? 天地の勇者としての運命(さだめ)を終えた私は、死んだのだろうか。


「……」


 声が聞こえる。誰の声だろうか。女性の声だ。まさか、母なのか。私を迎えに来たのだろうか。一目見たかった。一言話したかった。私は貴女と話がしたかった。




「レイガ様……」


 彼は目覚めた。ここは現実。死の世界ではない。


「サラ……」


「良かった……‼︎」


 彼女は飛び込んできた。


「痛い……そうか、私はまだ生きているというのか……まあ、そうだな。私は天地の勇者なのだからな。まだ死ぬわけにはいかないだろう。帰るべき場所がある。そして父と交わした約束。それを成し終えていない私は死ぬ権利を持ち合わせていない」


「怪我とかは大丈夫なんですか?」


「問題ない。既に回復している。……さて、これからどうするべきか」


「旅の続きは厳しそうですね。この戦いで世界はかなり被害に合っていると思います。どこへ行っても追い出されるかと」


 阿大気の(もたら)した災害は彼だけではなかった。一つ一つの攻撃は世界全体を脅かしていたのだ。また彼の攻撃も、世界を破壊しかねなかったのだ。


「……ならば、国に帰ることにしよう。旅をする理由は強くなるためだった。強くなれたかどうか。それはわからない。わからないのであれば、実践すれば良い。国の指導者として、な」


「貴方様となら何処へでも着いて行きますよ」


「……私は恵まれているな」


 彼にはいつも誰かが隣にいた。レイズ、リヒト、そして二人のサラ。これまでの経験を思い出す。




 私が私として初めて意識した時は産まれたその瞬間だった。母は微笑んでいた。父は不器用そうに笑っていた。


 母が殺されて以来父は変わった。自分を隠すかのように明るく振舞った。私も母のあの姿を見て、話せなくなった。


 やがて十五になると魔王を殺すため魔界に行く。そこでサラ、いやリリスを喪った。私が弱かったために。だがそれをきっかけに強くなれた。


 今、二十五。父を亡くした私は旅に出て、サラと出会った。阿大気との戦いで私は私として見出せるようになった。




 様々な感情が押し寄せ、彼の目に涙を浮かべさせる。それを腕で拭うと。


「では帰ろうか」


 彼は笑いながらそう言った。


「はい!」


 彼女の曇りのないその顔は彼を穏やかにさせるのだ。




 彼の戦いは終わった。課された試練はあと一つ。

二十四話はエピローグとワンセットとなっています。

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