第二十二説 鳳(ユウシャノサダメ)
前回のORIGIN LEGENDは。
謎の存在が肆大邪神である阿大気を圧倒する。彼は何者なのかはわからない。唐突に現れて唐突に消えて行った。それに安堵した阿大気は力を失いながらもサラに牙を向ける。その瞬間、あの台詞が聞こえてきたのだ。
「生きたいか?」
サラが殺される瞬間、彼はレイガリングで阿大気を弾いていた。
「待たせてすまなかったな」
彼の目はもうアレではない。確かな意思を宿した紅い目。その目で阿大気を睨み付けると奴は後退した。
「何故……何故貴様は生きている。我がこの手で殺したのだぞ⁉︎」
「焦っているな阿大気。確かに私は一度君に殺された。が、新たな核とともに私は蘇ったのだ。私を殺す方法などない。つまり阿大気、君は私に勝てない」
阿大気の顔は険しかったが、一度平静を取り戻し、話す。
「……しかし貴様も我に勝つ方法はない。我を殺せば世界は崩壊する。それだけではない。単純な実力も我の方が遥かに上回っているのだ」
「確かに君を倒せば世界は崩壊するかもしれない。……だが、私はもう迷うことはない。成るように成るものだ。父から教わったこの言葉で私は変わった。君を倒した後世界がどうなるかはわからない。そんな先の話は終わってから考える」
「黙れ! 我は肆大邪神の阿大気なのだぞ‼︎‼︎ 我に狼藉を働く物は皆殺しだ‼︎」
阿大気は咆哮する。体が消し飛ぶ程の威力を持っていた。彼は無抵抗のままその場から消える。そして再び姿を現した。
「そういう理論であれば私は鳳凰神だ。世界を揺るがす悪は私が制す」
天地の剣を手にした。これで二刀流となる。いよいよ戦闘に入るのだ。
「さあ、私にあの技を使ってみるが良い」
「……」
阿大気は黙り込んだ。出してきた技はただの風を刃にした鎌鼬のようなものだった。彼は無視して切られるが即再生させる。
「どうした? やらないのか? それとも使えなくなったか。哀れだな」
「アアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
阿大気は突然叫び、彼の後ろに回り込んだ。狙いは彼ではなく、サラ。
「何ッ⁉︎」
「貴様を殺せぬのなら貴様の心を砕く!」
「いやっ! 来ないで! 助けて! レイガ様‼︎」
無慈悲にもサラの体は引き裂かれた。
「そんな……」
「ククク、どの道この女は殺すつもりだった。そして素晴らしい絶望を貰ったぞレイグランガ!」
「……なんてな」
「何?」
「よく見てみるが良い。君の爪を」
阿大気の爪は粉々になっていた。そしてサラの体は元に戻っていた。
「何が起きた」
「阿大気、君は時間を操ることは出来ないようだな。私は時止めを行い、君の爪を壊した。そしてサラに触れ、時遡りを発動させ、その後位置を移動させ、時遡りの効力が切れたからそこにいるのだ。そして君が引き裂いたのは私の炎の分身だ」
「時間停止だと……」
「ハァハァ……怖かった……」
彼女の体から途轍もない量の汗が迸る。
「サラ、すまなかったな。……これで君を倒す手立ては見つかった」
「くっ、またやるというのか!」
「ああそうだ! 君に私の全力をぶつける! 天地の勇者はいつ如何なる時も全力全開で、あらゆる状況を乗り超える! それが勇者の定めだ!」
「ならば我は貴様に攻撃をさせない!」
空間全体に何かを張り巡らせた。
「っ……これは」
ワイヤーに似た、細いものが至る所にある。彼はそれに縛られていた。
「動けば切断か。再生しても同じ……ふん、良いだろう。サラ、君の応援が必要だ。君の信仰が私を強くしてくれる」
彼女は頷いた。
「さっき無茶苦茶な事されてちょっとむすっとしてますがわかりました! お願い神様! どうか勝って!」
彼女の目は先程までの絶望の色から希望の色となっていた。
信仰を得た神の力は増す。彼は叫び、空間を燃やし始めた。
「馬鹿な!」
「この糸のようなそれは酸素そのものみたいだな。だからそれを酸化させることで無力化した。これで私は動けるぞ!」
これがもし酸素ではなく他の空気を構成する窒素や二酸化炭素であったとしても彼は無視しただろう。神に物理法則は通用しないのだから。
燃え盛る炎の中、彼は詠唱した。
「太陽の衣纏し勇者。希望と絶望の狭間でのたうち回り、その先に見出すは紅き覇道! 我は神也! 鳳凰神! 神格化!」
全ての炎を吸収し、鳳凰神は顕現する。
次回予告
「この力は私がかつて大切な人を失った時に得た物!」
「究極夢幻・零牙輪愚武零頭‼︎‼︎」
「天地究極・紅蓮激流‼︎‼︎」
「夢幻神龍・武零頭零牙‼︎‼︎‼︎」
「やめろ……ヤメロォォォッ‼︎‼︎‼︎」
「アトモスフィアトリニティ‼︎‼︎」
「此れが私の全力‼︎‼︎」
次回、ORIGIN LEGEND 第二十三説 凰
勝てば生き残り、負ければ死ぬ。ただ、それだけの戦い。




