ポッキーゲーム
「おい、ポッキーゲームしようぜ」
「なんでオレがてめえとんなことしなきゃならないんだよ」
「罰ゲームで誰かとしなくちゃならないことになった」
「おいおい」
あいにく、可愛い女の子が相手ならともかく、野郎とそんなことをする趣味はない。
「なんだ。逃げるのか。お前はどんな勝負でも受けて立つのが性分じゃなかったのか?」
「はあ? よしいいぜ。やってやろうじゃんか」
絶対に嫌だが、こいつに舐められるのだけは癪だ。
「互いに目を瞑り、指でトントンと合図しながら交互に食べ進めていって、先に口が当たった方が負けだ。せっかくだから負けた方ジュース奢りな」
「ちっ。わかったよ」
たかがジュース一本でこんな真似をする馬鹿はオレたちだけだろう。
目を瞑って、両端からポッキーを食べ進めていった。
次第に息がかかるほど近くなる。
ただでさえやってられないと言うのに、勝負にまで負けたら最悪だ。
絶対にオレからは行かない。
と思っていたら、あっさりと決着は付いた。
唇と唇が軽く触れ合う。
「あーあ。俺の負けだ」
「おい。最後わざと負けただろ」
すると、こいつはドヤ顔でさらっと言いやがった。
「これで初キスはもらった」
オレは肩まで伸びた髪をくしゃくしゃした。
「まったく。最初から変だと思った。こんなキスの仕方があるか。ちゃんとやり直せ」
「おう」
二回目のキスは、チョコレートの味がした。