最終決戦
時は西暦二〇四八年、宙歴五〇年。地球を救うため旅立った宇宙空母「アトランティス」は、幾多の戦いを経験しながら目的地を目指して銀河の中心付近に向かっていた。
宇宙空母「アトランティス」艦長、道田 勇翔という一人の偉大なる男だった。
約半世紀に及ぶ長い時間を掛け、目的地まであと僅かのところまでやってきた宇宙空母「アトランティス」は、遂に宿敵にして最大の目的である「エポマンス」と呼ばれる異星人の帝王、通称・宮井 健太との最終決戦に突入しようとしていた。
ウェザー中隊隊長
「こちらウェザー中隊隊長、アトランティス応答願います」
オペレーターA
「こちらアトランティス、メインブリッジです」
ウェザー中隊隊長
「アトランティス前方の宇宙空域の偵察を終了。進路オールクリア」
オペレーターA
「了解。艦長より帰還命令が出ました。任務終了です。お疲れ様」
ウェザー中隊隊長
「了解。聞いての通りだ。各員帰還だ」
ウェザー中隊隊員
「ウェザースリー、ラジャー。これより帰還――な、何だこれは! こちらウェザースリー! 謎の大艦隊が突然姿を現しました! おそらくエポマンスの奴らだと、うっうわぁぁ」
オペレーターA
「ウェザー中隊? 応答願います!」
ウェザー中隊
「……」
オペレーターB
「ウェザー中隊との通信が途絶えました!」
オペレーターA
「艦長!」
道田 勇翔
「……うむ。全艦、第一次戦闘配置!」
オペレーターA
「はいっ! 全艦、第一次戦闘配置。全戦闘員は直ちに持ち場へ。全艦、第一次戦闘配置。全戦闘員は直ちに持ち場へ。これは訓練ではありません」
オペレーターB
「各艦、反応炉出力上昇中。戦闘開始可能時刻までT-六〇。前方宙域の映像、出ます」
道田 勇翔
「これは……奴らの総司令艦隊だな」
参謀
「ということは、遂に最終決戦じゃん」
道田 勇翔
「この長年にわたる宇宙戦争に終止符がつくのか。これでようやく地球は救われる……。よし、まずは敵との空間座標配置を頼む」
オペレーターD
「了解」
道田 勇翔
「それから、敵の戦力の計算及び我々の戦力との比較を」
オペレーターC
「了解しました」
オペレーターA
「各艦、戦闘配置が完了しました」
オペレーターD
「空間座標の配置完了。敵との距離二〇〇」
オペレーターC
「敵戦力確認……。あれ?」
道田 勇翔
「どうした?」
オペレーターC
「ま、間違いは無いはずなんですが、敵の戦力が我々の戦力のたった一割しか満たしていません」
参謀
「しかし、あれは敵の総司令がいるはずじゃん? なら戦力は我々と互角と予想されていましたが」
オペレーターB
「どういうことでしょうか?」
道田 勇翔
「ふむ、そのまま全艦待機だ。一応油断はするな」
オペレーター
「……」
参謀
「……」
道田 勇翔
「……」
オペレーターF
「て、敵からの入電です。映像、出します」
宮井 健太
「……我が名は帝王・宮井 健太。お前たちで言う〝エポマンス〟の総司令にあたる。今日この日をどれほど待ちわびたものか。お前たちには分かるだろうか? 思えば我々が……
――小一時間経過――
……つまりだ! 我々はお前たちにこう問いた――」
道田 勇翔
「全艦、一斉射撃!!」
宮井 健太
「な、何だと!? 人がまだ話しているというに! えぇい。応戦しろ! 一匹残らず消し炭にしてやるのだ」
オペレーターC
「敵艦隊、応戦を開始しました。戦力比は我々七十九対敵六です。
参謀
「我々の勝利ですかな? 最終決戦だというのに、あまりにもあっけないじゃん」
道田 勇翔
「……」
宮井 健太
「ふふふ、敵め。いい気になりやがって……だが我々の力はここからだ! 行けっ野郎ども!」