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ちょっとエッセイでも

「飲んだら乗るな」……って分かっていたはずなのになんでだよ!

作者: 辻堂安古市
掲載日:2026/10/20

 




 知人が飲酒運転で検挙された。


 とても一生懸命で、穏やかで、それでいて仕事もできる。組織の要職も務めた、いわゆる「できる人間」だった。出世街道に乗り、将来も約束されていたはずだった。




 その一報が入った時、私の頭の中は「何やってんだよ!」「それはやっちゃ駄目だろう!」という怒りと、「なんでそんなことを」という疑問と、「今どんな気持ちでいるんだろうか」という思いがぐるぐると入れ替わり、しばらく眠れなかった。




 それから数日が経ち、少し混乱が収まって冷静さを取り戻した今だからこそ、警鐘を鳴らしたい。


 法律面は今さらな内容でもあるのですが、どうか御容赦いただきたいと思います。





 2006年、福岡県にある海の中道大橋で飲酒運転による悲惨な事故が起きた。


 カブトムシ採りをして帰宅途中だった5人家族の車に、飲酒後ナンパ目的で車を走らせていた男性が50km/h制限の道路を約100km/hで激突。被害者の車は海へと転落し、3人の幼子が亡くなった事故だ。


 この事故の翌年、飲酒運転の罰則が強化される。 酒酔い運転の最高刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げられ、「同乗罪」「車両提供罪」「酒類提供罪」が新設された。これは 運転手が酒を飲んでいると知りながら車に同乗した人(同乗罪)や、車を貸した人(車両提供罪)、お酒をすすめた人(酒類提供罪・飲食店も知っていれば対象となる)も刑事罰の対象となる、という法律である。


 その後、2013年には飲酒事故を起こした後に逃亡してアルコールが抜けてから出頭することで、より刑の重い「危険運転致死傷罪」を免れようとすることを阻止するために「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が制定され、さらに今年2026年7月には危険運転の適用にあたり明確な飲酒の数値基準(呼気1リットルにつき0.5mg以上。もちろんそれ以下でも酒気帯び運転や危険運転となり得る)が盛り込まれた「改正自動車運転死傷処罰法」が施行された。


 なお、「酒気帯び運転」は呼気1リットルにつき0.15mg以上となるが、これは純アルコール量に換算すると約20g(一単位)。ビールだと中瓶1本、日本酒だと1合、ウイスキーだとダブル1杯となるようだ。ただしこれはあくまでも目安であり、体重や体質などで当然変化する。人によっては、この半量でも達してしまう場合があることにご注意いただきたい。






 以上の話は当然ながら「これくらいならOKだよ」ということではない。電車やバスの運転手については運転前のアルコールチェッカーで引っ掛かりを防ぐために酒精が使われているパン(特に菓子パンや蒸しパン)を食べる事を禁止・制限されているくらい厳しい。洋菓子やケーキ類には洋酒を使われているものも多いため、注意を要する。


 ちなみに私は、イタリアンレストランのデザートにティラミスを選んだら、それがコーヒーリキュールたっぷり使用されていたため、慌てて食べるのを中断したことがある。先程の例で言えば「それくらいで」なのだが、用心に越したことはない。


 ついでに言えば自転車は法令上「軽車両」に分類されるため、これも酒を飲んで乗れば立派な「飲酒運転」である。昔はこれを知らなくて、自転車で飲み会に来ていた人が何人かいた。自転車に乗る人は、くれぐれもお気をつけください。







 要は「少量だろうがなんだろうが、アルコールはアルコール」であり、「『ちょっとくらいなら』は許されないんだよ」って話である。それでも「少しくらいなら大丈夫」と言う御方には、「それ、自分と家族の人生と、被害者とその家族の人生を計りにかけた結論ですか?」と問いたい。


 今はすぐにニュースになるし、SNSで拡散するし、隠し通せるものではない。そしてそもそも、そんな今の御時世だからダメ、という話でも無いのだ。




 車というのは人を殺せる力を有しているものだ。それはその人とその周りの人の人生を左右する危険性があるということを分かって欲しい。だからこそ十分な知識と練習をすることによって「免許証」を取得しているのだし、そんな危険なものを操っているからこそ、判断力が鈍る時には運転してはならないと思う。


 何より罰則が強化されたのは、多くの犠牲者の苦しみがあったからだということを忘れてはならない。この法律は決して自由を縛るものではなく、お互いに命を守り、生活を守り、将来を守るものであることを、今一度肝に銘じて欲しい。






 今回、知人は不幸中の幸いで人の命を奪ったりすることはなかった。しかし、職を失い、退職金も失い、これまで築き上げて来た信用も関係性も失い、住む場所も変えざるを得なくなってしまった。


 一時の気の迷いだったのか、それとも慢心だったのかは、敢えて聞いていない。「公」の立場で言えば、どんな理由があろうと絶対に許されないし、自業自得の一言に尽きるからだ。しかし「私」の立場で言えば、本当に悔しいとしか言いようがない。


 知人にはただ一言、「命を絶ってはいけない」とだけ伝えた。それが私が今かけられる、精一杯の言葉だった。




 なぜ止まれなかったのか。

 人生にリセットボタンはない。

 出直しはできても、したことは消えない。


「知らずにしてしまった」「図らずもそうなってしまった」では済まされない。本人が酒を飲んだ後に運転をするという選択をしてしまったことが、本当に残念でならない。





 自分を守るためにも、周りの人を守るためにも、そして様々な人の命と未来を守るためにも、飲酒運転は絶対にしてはいけないのです。お酒を呑む人も、これから呑む人も、どうかどうか、気をつけてくださいね。










なお、酒酔い運転の場合、検挙即逮捕の可能性が高い。


その後所有物の没収(返却はされる)、着替え、手錠による拘束の後、留置所へ。指紋、掌紋、唾液も採られ、職場はおろか家族との連絡すら取り調べが終わるまで一切できない。


飲酒運転は立派な犯罪だということをお忘れなく。





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― 新着の感想 ―
確かに飲酒運転は「判断力などが低下する事を分かっていながら飲んで、危ないと分かっているのに運転した」という事になりますから、悲惨な事故を踏まえた上での昨今の厳罰化は妥当な流れと言えるかも知れませんね。…
人間は愚かであり、時にけっこう間違えるのです。 それがたまたま魔が差したとか、間違えたとか、理由はいろいろあるかと思いますが。 だから性能の高い自動運転とか、 自動運転が無理であれば運転席での呼気測…
響くエッセイでした。 タイトル含め、おっしゃる通り。 これから免許を取る世代の方々にも、ぜひ読んで欲しいと思います。
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