陰キャなぼくとギャルの美少女がこっそり愛を育む放課後デートのほっこり日常
ぼくは、どこからどうみても陰キャだ。
なんなら、隠キャだ。
隠れて暮らすのが日常。
そんな陰キャなぼくの家は、騒がしい。
弟が二人いて、とにかく騒がしい。
なんなら、姉もいるが…いつもぼくをパシッてきて、おつかいを言いわたされる。
でもさ…
ぼく…今テスト勉強を集中したいから、だれにも邪魔されない場所を探してて…
それで、いい場所を思いついたんだ。
図書室。
ここなら、静かだよね?ってことで、本に囲まれながら、集中していたんだ。
そしたら、そしたら…さ?
だれかがみてる?って思って、パッと顔をあげると…
いつのまにか同じクラスのギャル三人が、ぼくの向かいに座っていたんだ。
その中の一人の、超絶美人な日菜瀬教湖さんが、こっちをジーッとみていたんだ。
ジーッと。
ぼくは、サッと目を逸らしたんだ。
そして、また集中して…勉強を…
集中…
集中…して…
できない‼︎
ギャルうっさ‼︎
なんでここで、おやつパーティしてんの⁉︎
でも…楽しそう、だなぁ。
ガサガサと袋をあける音が、部屋いっぱいに響き、においも広がる。
そして…ぽりぽり食べては、くすくすしている。
勉強…する気なくない?
…
数分後、やっぱり勉強する気ないよね?ってみていたら…
あ、なんだ。
そういうことねって、謎が解けた。
もうひとりのお友達ギャルが、委員さんのお仕事をしているから、ただの委員さん待ちなんだと、わかった。
一時間もすると、じゃ当番わたしかわるよーって、たぶん代わりの人がきたっぽい。
そして三人は、急いでおやつを口に含み、余ったお菓子を雑に包んで、委員会おつかれーと、委員当番していたお友達へプレゼントーといい、そのお菓子を渡していた。
あんな雑なプレゼント…今まで見たことがないぞ?
ギャルは、なんでもアリなのかな?って、少しギャルのお勉強ができた気がします。
で、やっとうるさい人たちが帰ったって…そう思っていたのに…
なんで…
なんで…日菜瀬さんだけ、まだいて…
こっちみてて…
…
もしかして…
な、なんか言われる?
さっきから、チラチラみすぎてキモいんだよね?とか…言われちゃう?
ドキドキしながらも、勉強をしているフリをした。
だって、もう…なに勉強しても日菜瀬さんのせいで、気が散って気が散って…
とにかく勉強勉強と、ノートと教科書を睨めっこしていたら、ノートのあたりが暗くなった。
え?
見上げると…
ギョッ‼︎
ヒッ…
「ヒッ…ヒッ…」
「なに?ひゃっくり?大丈夫そ?」
と、覗き込んでくる日菜瀬さん…きた。
「だ、だい…じょうぶです」
これは、危険だ‼︎
日菜瀬さんに目をつけられたら…
明日からギャルにバカにされる日々か、もしくは…姉同様パシリ決定だ。
早く逃げなければと、慌ててノートをとじて、帰る身支度を…
「ねぇ、帰らないでよ」
…
その前にジュース買ってこい。
姉なら、絶対にそういう。
パシリ決定だ。
「あ、ジュースですね。なに味…ですか?」
そう質問している間にもぼくは、気絶しそうになっていた。
なぜって…
こんな近くに、色白の髪サラの清楚なギャル?が、いい匂いでぼくのそばにいるんだから…
そりゃ、気絶してもおかしくないって‼︎
これが姉貴と同じ人間?
似ても似つかないな。
女性にもさまざまな種類があるんだなぁ。
髪の毛一本一本が、薄茶色で柔らかそうなシルクの糸のようだ。
美しい…
そして、ふんわりかおる香水…なのかな?
癒しのパワースポットじゃないか…。
いいか。
そんな神的存在にパシられるなら、それも幸せなのかもしれないな。
「なに?ジュースって?間宮ノド乾いたの?なら、これ飲む?」
⁉︎
間宮とは、ぼくの名前だ。
のっ、飲みかけのジュースを差し出してくる日菜瀬さん。
「えっと…いえ、だっ大丈夫です」
そんなの…飲めるわけありませんって‼︎
あぁ、日菜瀬さんは…彼氏と間接キスなんて日常茶飯事なのか…
たしか、学年一大人気の頭もよくてスポーツ万能美男子瀬尾くんと付き合っているんだよな。
でも、
ジュースあるなら…
なんのご用事なのだろう?
しばらくポカンとしていると、日菜瀬さんが、
「勉強…教えてくれない?」
と、ぼくに言ってきた?
⁉︎
「えっ⁉︎ぼくにっ⁉︎」
慌てるぼくに、日菜瀬さんは、
「うん。ダメ?」
と、プルツヤなくちびるをキュッとした。
「えと…」
「あ、ダメなら…いいんだ。もうさ、テスト前なのに、先生が宇宙人にみえてきてさ、何を言ってるんだか、さっぱりわからないの。でも、仕方ないか。ごめんね、勉強の邪魔して」
…
あの日菜瀬さんが、申し訳なさそうな表情をぼくにむけてきた。
日菜瀬さんにも苦手なものがあるのか。
ぼくは、なんて罪なやつなんだ。
日菜瀬さんを…こんな表情に追い込むなんて…
「でも、彼氏頭いいよね?なら…彼氏に…」
「彼氏ねー…」
少しかなしげな顔をしてしまった日菜瀬さん。
「あのっ、是非‼︎ぜひ‼︎教えさせてください‼︎」
「え、いいの⁉︎」
こちらこそ、いいの⁉︎だ。
彼氏とケンカでもしたのかな?
日菜瀬さんが、ぼくの真横に座った。
⁉︎
な、なぜ…真横に⁉︎
向かい合わせじゃなく、真横⁉︎
日菜瀬さんが座っている。
ぼくのすぐ隣に…
「じゃ、先生!数学教えて?」
⁉︎
せ、先生?
ま、まさか…
こんな清楚なギャルの一員の美少女がぼくの隣に座って、先生と呼んでくださる出来事が起きるなんて…
日菜瀬さんって…
さっきのギャルの人たちと比べると、そんなにギャルでもないよな。
さっきの人たちは、色黒でメイクがバッチリで…
とくに、目のあたりが黒くて…爪が長かった。
でも、日菜瀬さんは…
そこまでギャルじゃないのに、あの空間にいても、劣らない凄さが出ているんだよなぁ。
なのに、今…
日菜瀬さんがぼくの隣で…
ぼくを先生と呼ぶ…
「ねぇ、テスト範囲ってどこからだっけ?」
⁉︎
「あ、えと…」
慌ててペンケースから範囲を出して広げた。
「そこ⁉︎そんなとこに忍ばせてるんだ?なるほどー」
と、日菜瀬さんは、感心していた。
意外と普通の会話なんだな。
なんだか、少し安心した。
「じゃあ、この問題解いてみて?」
「ムリです」
⁉︎
「えっ?簡単…すぎました?」
「ううん、わからないからです」
⁉︎
意外すぎる…
なのでぼくは、丁寧に教えた。
そもそも、公式を覚えちゃえば簡単計算なんだ。
理解力の早い日菜瀬さん。
「お礼に、国語教えてあげる」
「いいの?ぼく国語苦手なんだ」
「知ってる」
「えっ⁉︎」
「冗談。でも、わたし国語得意だから、はじめよっか」
日菜瀬さんから教わる国語の勉強…
とても丁寧で、つい…色んなところが気になって仕方ない。
細い指でもつシャーペンに、優しい口調、そしてなにより、近いしいい香りがして…
「ん?どうしたの?」
「あっ、いや…な、なんでもないです。」
「そ?じゃあ続けるよ?」
「はい」
こんな感じで、ぼくたちは勉強を進めた。
隣に…
ぼくの隣に、日菜瀬さんがいる…
この突如始まった勉強会を、この時間を…
たぶん二度とない日菜瀬さんとのこの時間を、ぼくは精一杯大切な思い出として過ごした。
一生の思い出になるかもしれない。
キラキラとした、日菜瀬さんの笑顔。
これが青春っていうのかな?
ぼくは、日菜瀬さんのおかげで青春とやらを、ゲットできた。
「あ、もう暗くなるね。ごめんね、遅くまで。そろそろ帰ろっか」
「ううん、ぼくも勉強はかどったし、ごめんなんて、全然だよ」
いつのまにか、真っ暗だ。
静かで暗い廊下…
学校って、こんなに静かなんだなぁ。
コツン
?
なにか、あたった?
「あっ、ご、ごめん間宮。手…あたっちゃった」
「手か。なにかと思ったよ」
「こわくないの?こんなに暗くて」
「うん、全然。」
「へ、へぇ…強いんだね」
「もしかして、こわい?」
…
「へ、平気だよ。」
どうやら日菜瀬さんは、平気じゃなさそうだ。
ぼくは、日菜瀬さんの手をキュッと握った。
繋がっていたら、こわさも半減するだろう。
ぼくが昔ビビリだったころ、よく父さんも母さんも手を繋いでくれたもんだ。
…
あ…
ぼくは、なにをやらかしているんだ…
相手は、日菜瀬さんじゃないかっ‼︎
しかも彼氏持ちっ‼︎
「あっ!ごめん‼︎つい、手…」
パッと手を慌てて離すと、こんどは…
え…
一瞬頭が真っ白になった。
こ、これは…
恋人繋ぎーーーっ‼︎
マンガで読んだことある。
こ、これが恋人繋ぎってやつだ。
ぼくは、日菜瀬さんの絡んだ指を優しくギュッとして、そのまま歩いた。
きっと彼氏とケンカして、さみしかったのだろう。
でも…いいのか?
さみしいからって…ほんとにいいのか⁇
「あの…こんなところ彼氏に見られたら…」
「アイツは、ただのいとこなんだよねー。」
「えっ⁉︎そう…なの⁉︎」
「うん」
「じゃあ、大丈夫か…。」
って、なにが大丈夫なんだ⁉︎
大丈夫じゃなくない⁉︎
ぼくと日菜瀬さんが手を繋いでいるんだぞ⁉︎
幼稚園児じゃないんだぞ⁉︎
「…なんか、ごめん。」
「なにが?」
「ぼくなんかと…手…」
「間宮くんは、優しいから好き。あ、いつも呼び捨てしててごめん。いまさらだけど…くん呼びしてなくてごめんって、遅いか…」
⁉︎
いま…好きって言わなかった⁉︎
呼び捨てとかそんなことより…
好き⁉︎
「えっ⁉︎」
「ん?あ、やっぱり呼び捨て嫌だったよね…?」
「そこじゃなくて、その…好きって…」
「好きのところ?」
「えっと、うん…」
「好きだよ。好き…ずっと前から」
手をキュッとする日菜瀬さん。
「ぼくは…」
「好きじゃないんでしょ?こんな派手な人」
「ううん、すごく憧れてる‼︎好きとかそんな次元通り越して、カッコいいし憧れる」
「ふふ、好き通り越しちゃったんだ?」
「あ、でも…通り越してもユーターンすれば…でも、どうやってしよう…」
「じゃあ、ユーターンして好きになって欲しいな」
「好き、好きです。」
「ユーターンはやっ‼︎じゃあ、わたしもユーターンしたほうがいい?」
「えっ⁉︎そしたら…キライになるんじゃ…」
「ううん、わたしも好きだよ。だって、ずっと前から好きだから、ユーターンしてもしなくても好き」
…
「え、ずっと…前から?」
「うん♡」
「ありがとう。」
「なんでありがとう?」
「こんなぼくを知ってくれて、好きになってくれたから。」
「そういう謙虚なところも大好きだよ!」
クッ…
いきなりの好き攻めで、どうにかなってしまいそうだ。
「ぼくも、好きです。正確には、これからもっと大好きになるね。あとさ、実はぼく…進化系だから、これから好きから愛してるに進化するかも」
「そっか、なら進化しなかったらわたしのせいだ。じゃあ、もっとおしゃれとか勉強しなきゃか…」
「それは、もう大丈夫だから。だから、これからは、一緒に進化しよう?勉強と恋も」
「いいね!そうしよう」
「うん!」
こうして、ぼくたちはただのクラスメイトから、恋人に進化したのでありました♡
おしまい♡




