表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

水曜日

水曜日、大学食堂のAランチ。その日はハンバーグ定食だった。


 白米に味噌汁、ほうれん草の小鉢、葉物の上に乗せられた、蒸し焼きにされて柔らかいハンバーグ……ハンバーグの上にはケチャップが機械的ににゅっと一握り分、乗せられている。


 どこにでもありそうな無難なハンバーグ定食。大学の食堂の中ではちょっとだけお高く贅沢だ。


 しかし、彼、雨宮は自分でAランチを頼んでおきながら、ため息をついた。


「いやー、足りない。全然足りない……」


 ボリュームが足りないのか。であればご飯を大盛りにすればいいのだが……彼の言う「足りない」はそうではない。


 無言で彼は、学食に持ち込んでいた保冷パックを取り出す。ポケットに入るくらい小さな代物だ。

 その保冷パックに手を突っ込んで取り出したものは、白い正方形のシート……スライスチーズであった。


 彼はそのチーズをまだ湯気の立っているハンバーグに乗せた。冷えていたチーズは形を崩すのに少し時間がかかったが、やがて端がふにゃりと溶けて力を失う。

 雨宮は満足げに笑いながら箸でハンバーグとその上のチーズを切りながら、それをつまんで口に運んだ。


「雨宮、本当にチーズが好きだよね……」

「ああ、チーズは偉大だ。チート並みに何にでもあう。何でも包みこんでまろやかにして味を整えてくれる」


 当たり前だと言わんばかりの調子と、チーズに感動している調子を混ぜながら、彼は語る。もっとも、次のチーズのせハンバーグを口に頬張って言葉は続かない。


 雨宮レイは無類のチーズ好きだ。単品で食べるのも好き、酒のつまみとして食べるのも好き、そしてトッピングするのも好き。


 ハンバーガーを頼むときは大体チーズバーガー。てりやきバーガーでもチーズを追加する。

 ハンバーグは今の通りチーズを乗せたものを頼んだり自分で乗せる。あるいはチーズ・イン・ハンバーグも好きだ。

 チーズ・インと言えば、チキンカツはチーズが入っているタイプが好き。オムレツやオムライスもチーズが入っているタイプが好き。むしろそうじゃないと頼まない。

 ナポリタンにはもちろん粉チーズをたっぷりかける。あるいはチーズを乗せて炙るなんてのも好きだったりする。

 カレーにもチーズを乗せる。あるいは、カレードリアもチーズが入っているから好きだ。


 それゆえに彼は、何にでもチーズを付与(トッピング)する男、チー付与とあだ名がつけられている。

『明日のランチはどうするんだろうな?』

 白米とチーズのせハンバーグを幸せそうにかきこみながら食べている雨宮を見ながら、私はBランチの鯖の味噌煮定食を食べるのであった。

もうコンセプトにはお気づきだと思います。

はい、チー付与って「なんにでもチーズを付与する男」の話だと思っていたのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ