Q&A:ジョン・フォン・ノイマン
― 文明即死圧を構造化した観測者 ―
Q1. ノイマンの本質的な役割は何でしたか?
A.
数学者でも物理学者でも軍事顧問でもありますが、
構造論的には
「文明が自滅し得る状況を、
感情ではなく安定条件の問題として定式化した観測者」
です。
戦争を止めようとしたのではなく、
破局が起きない構造条件を計算可能な対象にした
最初の人類の一人でした。
Q2. ゲーム理論は何のために生まれたのですか?
A.
勝つためではありません。
「合理的主体が互いに破滅を選ばずに済む
均衡が存在するか」を調べるため
です。
核戦争時代においては、
勝敗よりも
「破局が吸収状態にならない力学が存在するか」
の方が本質的だったからです。
Q3. 相互確証破壊(MAD)は冷酷な思想では?
A.
冷酷ではなく、
破局を避けるために
破局可能性を構造の中に組み込んだ安全装置
です。
滅亡を変数として無視するのではなく、
最初から方程式に入れることで封じる
という設計思想です。
Q4. ノイマンは英雄になりたかったのですか?
A.
名声や栄光という意味ではありません。
彼が言った「英雄になっても構わない」は、
構造が失敗した場合、
全責任を引き受ける位置に立つ覚悟がある
という意味に近い。
成功すれば理論は透明化し、
失敗すれば自分が悪役になる。
そのどちらでも構わない、という立場です。
Q5. 蕭何型と言えるのはなぜですか?
A.
•表に立たない
•勝者の背後で構造を組む
•成功すれば消える
•失敗すれば全責任を背負う
という点で、
英雄を成立させる構造そのもの
を担う人物だからです。
勝利の物語に名前は残るが、
構造の物語では静かに基盤になるタイプです。
Q6. ノイマンは人類をどう見ていたのですか?
A.
善悪や理想ではなく、
不完全な合理主体の集合が
どの条件で自己破壊に至らないか
という動的システムとして見ていました。
国家も感情も信念も、
すべて状態変数です。
Q7. 彼は破滅論者だったのですか?
A.
逆です。
破滅が起き得ると
正面から認めた最初の楽観主義者
と言った方が正確です。
滅亡を想定できる構造は、
滅亡を回避できます。
想定できない構造は、必ず破局します。
Q8. ノイマンの位置づけを一言で言うと?
A.
人類が初めて
「自分たちは一手で絶滅できる存在だ」
と自覚した瞬間、
その破局条件を抽象空間に持ち上げて
設計問題に変換した観測者。
英雄でも悪役でもなく、
文明の安全係数を
数学で初期化した人
だったと考えられます。




