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  作者: 本能寺の変人
27/82

社会論:政策自然選択説

タイトルの制作を政策へ修正

生類憐みの令は「自然発生政策」だったのか


― 戦国乱世の記憶層が生んだ振れ幅 ―


0. 位置づけ


生類憐みの令は、しばしば


将軍の暴走

異常な動物愛護令

悪法


として語られてきた。


しかし、当時の社会構造と時間軸を丁寧に辿ると、

この政策は 不自然なもの というより、


戦国乱世を経験した社会が、

極端な振れとして自然に生み出した政策


と見る方が整合的である。


1. 戦国乱世の「経験層」は、まだ社会の中核にいた


生類憐みの令が本格化する17世紀末は、

戦国の終結(1615年)から 70〜80年後 に過ぎない。


これは現代に置き換えれば、


大規模戦争を

当事者として体験した世代が、

まだ社会の意思決定層にいる状態


である。


実際、当時の江戸社会には:

•元足軽・元雑兵

•合戦で家族を失った人々

•飢饉・焼き討ち・流浪を経験した層


が、町人・百姓・下級武士として多数存在していた。


「命がいかに軽く扱われ得るか」を、

抽象ではなく 身体感覚として知っている社会 だった。


2. 振れ幅の強さは「異常」ではない


生類憐みの令の特徴は、

•中途半端ではない

•例外が少ない

•生命保護を制度として極端に固定した


という点にある。


しかしこれは、歴史的に見ると


強い破壊経験の後に現れやすい反動型政策


である。

•戦国期:

生きるために

殺す/奪う/見捨てる

•江戸前期:

「もう二度とあの世界に戻りたくない」

•結果:

生命を絶対化する方向への急激な振れ


極端から極端へ振れるのは、

人間社会としてむしろ自然な挙動である。


3. 生類憐みの令は「上から作られた理念」ではない


この政策は、

•民衆運動ではない

•しかし、完全な思いつき政策でもない


という中間に位置する。


実態としては、

•社会の底層に

「命を粗雑に扱いすぎた」という

集合的後悔や疲弊 が溜まっていた

•それを

•仏教(不殺生)

•儒教(仁・徳治)


が言語化し、

•将軍権力という増幅装置に乗って

制度として表出した


この意味で生類憐みの令は、


自然発生した価値観が、

国家によって制度化された政策


と捉えることができる。


4. なぜ運用が破綻したのか


理念が自然発生的だったからこそ、

現実調整が追いつかなかった。

•「命を守るべきだ」という感覚は共有された

•しかし同時に

•食料

•財源

•行政インフラ


が不足していた。


結果として、


理念としては共感され、

運用としては現場を圧迫した


このギャップが、

後世の「悪法」という評価を生んだ。


5. 徳川綱吉の位置づけ


綱吉は、この自然発生的な価値観を

•止めなかった

•妥協しなかった

•制度として徹底した


という点で、確かに責任を負う。


しかし彼は、


異常な思想家

ではなく

時代の振れを、そのまま引き受けた為政者


と見る方が、史実に近い。


6. もし戦国の記憶が薄れていたら


仮に、

•戦国乱世の記憶が

社会から消えていたなら


ここまで極端な生命絶対政策は

成立しにくかっただろう。


実際、18世紀後半以降は:

•生命保護は

国家政策ではなく

家制度・地域慣習へと分散していく。


7. 結論


生類憐みの令は、

•誰か一人の暴走ではなく

•理念だけの空論でもなく


戦国乱世を生き残った社会が、

もう二度と同じ世界に戻らないために、

無意識に選び取った振れ


だった。


超圧縮まとめ(1行)


生類憐みの令は、

戦国乱世の記憶がまだ生きていた社会が、

極端な形で「命の扱い直し」を試みた自然発生政策だった。

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