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  作者: 本能寺の変人
182/224

補論:ゲリラ国家

―― 構造に要請された「国家規模の特殊部隊化」――


蜀漢と甲斐武田家は、時代も文明も違うが、

構造的には同一型の国家である。


両者に共通する条件は以下。

•生産力が根本的に不足

•人口が少なく動員余力がない

•平野・穀倉・海上交易から遮断

•正面決戦の長期戦では必敗

•しかし降伏=国家消滅


このとき国家は必然的に、


「数で勝てない国家が、生き残るために

全軍を精鋭・機動・奇襲・撤退特化に進化させる」


すなわち、


国家そのものがゲリラ部隊化する


という相に入る。


1. ゲリラ国家の戦術構造


ゲリラ国家は以下の性質を持つ。

•機動力最優先

•兵站線破壊を主目標

•正面決戦を避け、縦深攪乱

•少数で大軍を拘束

•撤退戦が主戦術

•指揮官密度が異常に高い


蜀漢では

諸葛亮・姜維が「外征そのものを攪乱装置」として運用し、


武田では

風林火山に象徴される「高速機動・一点集中・秩序撤退」が

国家運用原理となった。


いずれも


勝利よりも「敵構造を疲弊させ続けること」が目的


であり、


国家存続=敵の安定を破壊し続けること


という戦争観に収束している。


2. 高国力国家にとっての最悪の敵


ゲリラ国家は、

•正面から潰せない

•包囲しても決戦を拒否される

•常に補給線を脅かされる

•兵力を広域拘束される


ため、


文明的には劣位だが、

軍事的には最も厄介な敵


となる。


魏にとっての蜀、

織田・徳川にとっての武田は、


勝てるが、国家コストが異常にかかる摩耗装置


だった。


3. 致命的欠陥:回復不能性


しかしゲリラ国家は、

•人口が少ない

•生産余剰がない

•指揮官の再生産ができない

•練度が文化的蓄積であり、量産不可能


ゆえに、


一度の大敗で構造そのものが崩壊する。


蜀漢では段谷の戦いで外征能力が破壊され、

武田では長篠で精鋭中枢が焼かれた。


五丈原や川中島は「耐えた戦場」だが、

段谷と長篠は


ゲリラ国家構造の不可逆破壊点


だった。


構造的一文


ゲリラ国家とは、


国力で劣りながらも滅亡を拒否した結果、

国家全体を精鋭・機動・攪乱・撤退特化に進化させ、

高国力国家の最悪の摩耗要因となる一方、


一度の構造的敗北で回復不能に崩壊する、


「最強で、最も脆い国家形態」


である。

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