先生と契約2
この町は恵まれた環境であったが故か、必要以上に荒らされていた。
土地も家も人でさえ焼き払われそこは廃墟と化していた。
両親は、、友人は、、
彼女は…エマは…。
生き残っている人から話を聞き、状況を把握した。ここまで好き勝手にされたのには理由があり簡単に言うと囮としてこの町は使われたのだ。
一進一退を繰り返す状況を見かねた国が重要な補給ポイントとしてこの町が機能していると情報を操作し、敵が攻めてきたのを尻目に救援は出さず一気に攻勢へ転じる、俺のようなこの町出身の兵は尖兵として隊から追いやれば文句を言う者もいない。
天井も壁も崩れてしまっている教会では
かろうじて生きている者達や怪我人が集まっている。
こうなってしまったら人は祈るしかないのだ。
だがそこに俺の知り合いは一人もいなかった。
知り合いを探して実家へ、次にエマの家へ、次に、次に、次に…と家を転々としたが誰もいなかった。
俺は虚しさを抱えながら教会に戻るしか無かった。
ここには人手も物資も無い、こんな状況で出来る事など何も無く、皆静かにうつむき人が息を引き取る音をただ聞いていた。
こんな時に彼女の言葉を思い出す。
子供の頃に彼女が
「昔は空が青くて夜になるとお星さまが見えるの!」
唐突にそんな話をするかと思うと彼女は自分の一押しである絵本を見せてきた。
「お星さまって?」
「お星さまは夜になると空に浮かんできらきら光るんだよ!」
「それにねこのお星さまには色々あって移動したら願いが叶う流れ星、星同士を結んで星座っていう形にもなるんだって」
絵本を見ながら楽しそうに語る彼女を見て自分も楽しい気持ちになる、思えばこの時から俺は彼女を好きだったのかも知れない。
「何でお星さまが見たいの?」
「お星さまをみんなが見たらきっと些細な事何てどうでもよくなってくるでしょ、そしたらパパとママも喧嘩しなくなるし...」
彼女の言葉に対して「そっか」と何も言えなかった俺は子供ながらに気を遣い
「じゃあみんなでお星さまを見ようよ!平和が一番だしね!」
と無理やりテンションを上げて気まずい空気を取り繕った。
そんな行動が可笑しかったのか彼女はふふっと笑い
「じゃあ最初は二人でお星さま見よっか、そしたら私がそれを絵本にするから」
彼女は俺に優しく微笑みかけるのだった。




