自分と契約5
アンネ町の廃墟を拠点としてから暫くはクラップに世話になった。
医学の知識がある俺を必要とする色々な人物に紹介もらい、代わりといっては何だがクラップがアンネ町に来た時は宝探しを手伝っていた。
そんな日々が続いている頃、俺はある植物を発見する。
いわゆるタバコの葉だ、この時クラップに教えてしまったのが運のつきで「俺達でタバコを作って販売しよう」と言って聞かなかった。
俺が断っても一人でやる事は目に見えていたので結果として俺がタバコを作り、クラップが買い手を探す事になったのだがその買い手はあのハラスだったのだ。
タバコの完成が安定しなかった為、俺はハラスと嫌々顔を合わせ直接取引をしていた。
だがある日、クラップに呼ばれ俺達は二人で王国軍の駐屯地へ行く事になった。
呼ばれた理由は明白で駐屯地にきた負傷者の治療と物資の援助だ。
多くの負傷者でごった返しているその様子で思い出す、今もなお戦争をしているのだ。
「先生こいつを診てくれ」
「何言ってるこっちの奴が重傷だ」
「あっちの奴が突然意識を失った」
「あいつを移動するから手伝ってくれ」
色々な言葉が飛び交い現場は大混乱だった。
俺には目の前の救える命を救う知識と経験がある、気を引き締めて治療にあたる。
こうゆう時の体制が上手く出来ている為、優先順位の区別もはっきりと分けられており、俺は重傷者から治療にあたろうとしたがある声が聞こえた。
「そいつは助けなくていい」
軍の治療部隊へ冷めた指示がとんでいる。
あのハラスだった、隊長の独断で治療順を決めている。
明らかな軽傷者でも優先度が高い人物がいる始末だ。
「おい、この人達は今助けないと間に合わなくなるんだぞ」
俺はハラスに向かって怒鳴る。
「だろうな、だからどうした」
その物言いに俺はカッとなりハラスに殴りかかろうと胸ぐらに掴んだ。
「もう一度言ってみろ、本気で殴るぞ」
その言葉にハラスはため息をつき応える。
「軍に戻らず医療を学んでいたと聞き、少しは役に立つかと思ったがとんだ検討違いだったみたいだな」
恐らくクラップから俺のその後を聞いたのであろう、その言葉を皮切りに話を続けた。
「これだけの負傷者が来てるって事はだ、この後多くの人手と物資が必要になる」
「俺達の仕事は動ける兵士を増やし、物資を最小限に抑える事なんだよ、人の命を救う事じゃない!」
徐々に声が大きくなり最終的には全員に聞こえる声量になっていた。
俺は気をされ胸ぐらを掴む手が弱まる。
「だからって助かる命を見捨てるのか」
自分の言葉が弱くなった、ハラスの言ってる事が理解出来るからだ。
「そうだ、これが戦争だ」
俺の手を払いのけ仕事に戻れと言わんばかりにハラスは周りを睨んだ。
「お前はもういなくて良い」
そう俺に伝えてハラスはその場を去った。




