自分と契約
~一年前・アレン~
アーツ先生の元を去り、俺は故郷へ戻ってきた。
焼け落ちた実家では無く、形がある程度残っている家を住みかとして住むことにした。
次に食べ物を探すが当然見つからない、もしかすると瓦礫の下にはあるのかも知れないが、食料が無くなる度にそんな事をするのは現実的では無い。
(やはり隣町まで行って食料を買い込むしか無いのか)
そんな事を考えながら歩いていると瓦礫の山に人影が見え、俺は思わず声をかけた。
「何してるんですか?」
すると俺の声に反応して、こちらに向かってくる。
「お前、アレンじゃないか?今まで何処にいたんだ?」
こちらに向かってきた男は俺を知っているらしいが俺には心当たりが無かった、その様子を察して男は言う。
「俺が誰だかわかんないか?ははっそりゃ無理も無いかもなぁ」
「俺はクラップっていうもんで三年前に尖兵隊として送られたアンネ町出身の兵士だったんだよ」
そう言われてもピンときていない俺にクラップは「影が薄かったからなぁ」と笑いながら言う。
気まずさもありこちらも愛想笑いを返した時、
ふと疑問が浮かんだ。
「何であんたは俺の事を覚えてるんだ?」
するとクラップはきょとんとした顔で言う。
「だってお前は有名人だっただろ、地元でも軍に入っても」
有名人だった、それ自体が初耳で言葉を疑う。
「有名人ってどんな風に?」
俺の言葉にクラップは少し黙り、小さなため息を吐く。
「どんな風って一言でいうなら天才ってやつだろ」
天才?俺はクラップの言った事にまたしてもピンときていない。
「なんだよその顔は…だからハラスにも…」
「まぁ、いいや、ところでお前軍に戻るのか?」
また突拍子も無い事を言われて驚きを隠せない。
「軍に戻るってなんで?」
「なんで?ってお前ここに派遣された後黙って何処かに消えただろ、だからお前はまだ軍に所属してるんだぞ」
そう言われてみれば俺はあの後先生に誘われてそのままロクスウへ行ってしまった。
俺の様子を見てクラップが話を続ける。
「もし軍を辞めるんなら、テンスウのハラスを訪ねるのが早いかもな、アイツは今や隊長だしお前が言ってきたらすぐに除隊手続きをしてくれるよ」
「テンスウのハラスか、わかったそうしてみる」
俺は普通に返事をしたつもりだがクラップは苦笑いをしている。
「ハラスの事も覚えて無いのか…」とクラップは小さく呟いた。
俺がその言葉を聞き返そうとした瞬間
「どうせ行くなら少し手伝ってくれ、そうしたらハラスの所まで案内してやるよ」
「手伝うって?」
「宝探しだよ!」
クラップはいやつきながらとても楽しそうにそう言うのだった。




