悪魔と契約
~半年後~
最近の俺は忙しく頻繁にワビの所に通い、俺達の夢に向けて励んでいた。
俺の役目は主にキュウスウでは手に入りずらい物資の供給だ。
俺の周りで変わった事といえば二つある。
一つは毎日契約しようと提案してきた悪魔があの教団へ行った日以降何も言わなくなった。
諦めたとは考えずらく何を考えているのか分からない不気味さが際立つ。
もう一つは盗っ人三兄弟と言われていた三人が付いてまわる様になったのだ。
上納金が無くなった件について、クラップから情報を得て俺の元に辿り着いたらしい。
相変わらずアイツの情報収集能力には驚きを隠せない、特に恩を感じる必要も無いのだが恩を返す為、日々俺の元へとやってきて機会を得ようとしている。
毎日来るので話を聞くと三兄弟と言われているのは周りが勝手に言ってるだけで血の繋がりはないらしい。
三兄弟の中心は【アマク】という男で少し長い髪を後ろに結っている。
面倒見が良い反面、その態度は少し鼻につく。
次に【エンブ】という男は三人の中ではガタイが良く、オールバックの髪型が決まっている。
体力があり力仕事を任せられてはいるが、時折こちらの意図しない行動をして柔軟性に欠ける。
最後に【シン】という男は坊主頭で周りに気を使い動けるが、気を使い過ぎるあまり主体性が無い。
しつこく付いてくる三兄弟と現在はワビの所へ行き花火を量産している。
俺はこの作業とは別に訪問診察を実施し、ハラスへタバコの納品も忘れない。
また別日には教団へ行きラルクと仕事をする。
あの教祖に会わせてもらった日、ラルクは教祖に会わせる代わりにワビに兵器を作るように言っていたが当然俺は断った。
するとラルクはあっさり引き下がり
「じゃあお前が俺達の仲間になれ」と条件を出してきたのだ。
この条件を承諾し、定期的にラルクの元へ訪問する事になった。
今日もラルクと他愛も無い会話が始まった。
「作業は順調か?」
「あぁ、順調だよ」
「何か足りない物は無いか?」
「問題ない」
「…」
「こっちも問題ない、必要な物があれば今の内に言えどうなるかは分からないんだから」
「…」
「一週間後だ、忘れるなよ」
そう言い残し、ラルクはその場を立ち去った。
一週間後、ラルクはクーデターを起こし教団を解散させる手筈だ。
教祖様には何の力も無く、信者の悩みを解決してきたのはそれを知っている周りの人間が動いているだけというインチキを公表する。
その際の武力抗争は回避できない為、武の心得がある俺を味方に付けたいという事らしい。
別に達人という訳では無く、悪魔の力によるものだ等という話は信じてもらえないだろう。
この時の俺はまだ知らなかった。
自分の周りで色々な思惑がゆっくりと動いているという事を…。




