過去と契約3
~三年前・アレン~
「アレン今度はこっちを手伝ってくれ」
アーツ先生から指示がくる、あの火葬の後
「君は察しが良いし行動力もある、もし君さえ良ければうちの助手として働かないか?」
突然先生から意外な提案をされ俺は少し悩んだが「よろしくお願いします」と頭を下げ現在は【ロクスウ】を新たに住まいとしアーツ先生の助手として働いている。
先生の仕事は基本的に診療所での診察、治療、診療所に来れない人への訪問だ。
家族で運営しており、現在は先生と長男夫婦、その子供の【フェルモ】と先生の亡くなった次男の妻とその娘【ミエーラ】、そんな中で俺が浮かないよう先生は主に外出時の付き添いとして連れていく事が多い。
外出先でのトラブルは多く、故郷の事を忘れさせてくれる。
皮肉な事に戦場での出来事が役に立っている気がしてならなかった。
そんな日々を乗り越え先生から学んでいっていたある日。
「あなた優秀なんだってね」
外出の準備をするため普段は診療所にいない俺にミエーラが話しかけてきた。
「お爺様がよくあなたの話をしてるわ」
「なんて?」
「覚えも良いし、突然のトラブルにも対応出来て、周囲をよく見ている子だって」
「いや、そんな事ないよ」
「...」
しばらく沈黙が続いた、何か言いたい事でもあるのか、再度彼女が話しかけようとした時。
「ミエーラそっち何か手伝おうか?」
フェルモが言葉を発しながら入ってきて、俺を見るなり顔を歪めた。
「大丈夫、もう出るわ」
この二人とは歳は近いが大きな壁を感じて仲良く出来そうにないなと俺は思った。
ある日の朝、大嵐が町を襲った、今日は外出できないなと俺は外を見る、すると枝や物が飛ばされてる光景を目にして、もしかしたら今日誰か怪我をして診療所に来ているかも知れないなどという考えがよぎり、俺はコートを着て診療所に向かった。
ーーー
次の日いつもどおり外出を終えて診療所に帰ってくるとそこには大量の食べ物や手紙が置いてあった。
「昨日、君に助けてもらった人達が持ってきてくれたんだ」
アーツ先生の息子さんが伝える、周りの人達からも「すごい」「頼りになる」と言葉を掛けてもらい、先生からも「流石私の見込んだ男だ」と俺は少し照れくさかった。
この時フェルモとミエーラがあまり良い顔をしていなかったのを俺は見逃さなかった。




