8. アレックスの苦悩
こんにちは。
やっとここまできました。
感覚的には半分!きた感じです。
少しても楽しんで頂ければ嬉しいです。
宜しくお願いします。
黒髪に、夜明け間近のような紺碧の瞳をもつ、端正な顔をしたアレクは貴族の末席に席を置く、男爵家の長男だ。名前はアレックスだが、親戚の美麗姉弟はアレクと呼ぶ。姉のリーゼロッテと同じ年で、弟のリュートルクとも仲良く育った。学生時代は三人で一緒にいることも多く、リュートルクを熟知していて心配なこともあり、そのまま伯爵になる予定のリュートルクに政務補佐として仕えることにした。
このリュートルクの家はある魔法に特化した家で、ちょっと特殊だ。異世界を往き来できる力を持つ。この国に異世界の血と文化を持ち込むのが主な仕事だ。尚、ここの男児は強い魔力をもって生まれるが、その分どこかしらのネジが外れている。リュートルクは思い込みがひじょーーーに激しかった…。幼少からやらかすこと数知れず、しかし人外の美貌と周囲の助力で、なんとか事なきを得てきた。ちなみに周囲の助力とは、ここ数年はアレックスが担当している。
アレックスは優秀だ。王城への文武官、両方の推薦を貰えたし、王子から側近の誘いも受けた。本人も努力するし、達成感はなんとも言えない。しかし側近をしながらリュートルクのサポートは全力主義なアレックスには難しいと思え、有り難いが辞退した。
ちなみにリュートルクほどではないが、アレックスも美形とされ、紳士的な振る舞いと、リュートルクのサポートが評価され、同世代では人気が高い。
そんな、リュートルクのフォローを何度もこなしているアレックスからみても、今回のやらかしはないな…と思う。
溜め息をつき、吐き出し窓から庭に視線を落とす。三人が外でお茶をしているところのようだ。
今回の召喚は拉致に近い…。リュートルクのあの顔とあわせたごまかしと、相手のひとのよさでなんとかなったが、真っ当にごねられても仕方ない話だと、後処理に励むアレクは思う。
こちらの女性の妙齢は20歳から30歳位までだ。43歳なんて聞いたことがない。いくら若く見えても、年齢を知ったら引くだろう。既婚であることも考えると、遊び相手に誘われる位だ。
あきらには年齢を隠して暮らしてもらっているし、中々人気はあるが、あきらが選ばなかったという体で全員断ればいいだろう。
その方があきら自体を著しく傷つけることはないと思う。薄々は気づいてはいるだろうが。
あきらに説明した際、リューはだいたい10分位の誤差で戻れると言い切ったが、続きがある。
こちらで彬が心を動かされるものがあった場合は誤差は大きくなる。しかも好きな相手ができた場合は戻れない。儀式で弾かれる。そしてその好きの気持ちが、一方通行な、あきらだけの思いだと最悪だ。何もかも失うだろう。今回はリュートルクのミスなので、今後も伯爵家がサポートをするので、まぁなんとかなるだろう。リューには人身御供になってもらい、定期的に彬のご機嫌をとってもらわねばならない。あきらはリューの顔を鼻血が出そうだという理由で、長く眺められないらしい。まぁ、あきら達から見ると、この世界の人間は美形率が高いそうだ。今のところ、貴族の中で生活しているせいもあるだろうが。
それで。問題は俺だ。
四六時中一緒で、成長過程をみているリューが言うぐらい、あきらは気が合うなと思う。金銭感覚もまともだし、でしゃばりすぎても気づくことができ、すぐさま謝罪ができる。男性女性問わず、綺麗なものは認め、褒め称える。また子育て中のせいか、13も離れているせいか、あきらにとって恋愛対象外なのだろう、結構近い距離で過ごしているが楽だ。何かあると落ち着けといわんばかりにポンポンと、肩や腕を軽く叩く。まるで親が子供の背中を叩くように。異性というより、同性の付き合いだ。酒を飲みながら、過去の恋愛話をしたり、好みの異性の話をしたり、リーゼもリューも羽目を外して一緒に飲んでいる。リューを見ると鼻血がでそうだというのも、その時聞いた。人外だの、王子様だの(実際こちらでも同様の評価だが)、必ず一度は悲鳴をあげて、喜んでいる。集まった後は毎回自分が部屋まで送るが、酔っていると平気でもたれかかってくるし、部屋の中にも普通にいれて貰える。
他の使用人とも気安い。人見知りしないのか、にこにことやりとりしている。嫌みもスルーしているが、あとで確認すると気付いていないことも、多々ある。…鈍感なんだろう。あきら曰く、そこまで気にしてたら子育てできない、そうだ。手のかかる子供らしく(といっても10歳と12歳なのでそこまでじゃないだろう)、あちこちに謝って日々暮らしてるらしい。夫の話はでない。話に出そうになると、少し怒った顔になるか、悲しそうな顔をしている。それを喜んでいる自分がいる。
でも43歳って年上すぎるだろう?!
リューのお陰で、好みははっきりした。今まで選んだ女性達とうまくいかないわけだ。俺はきれいな落ち着いた女性が好きだと思っていた。いや、見た目は間違いない。しかし、ほぼ必ず相手から振られる。あなたには私ではない、というように優しく諭されることが多い。そして数ヶ月後、大体女性達は良い相手が見つかることから、いまや俺の代名詞は「恋の修行相手」だ。まぁ、美貌が過ぎて畏れ多いという理由で選ばれないリューと対になっている。
ようやく自分の好みが分かっても、間違っても口に出せる相手ではない。普通に考えて子供を残すことに不安があるし、年齢離れすぎだろう?どんだけ子供にみられてるのか、好みじゃないのか。気になる気持ちを抑えるのが悪いのか、ますます気になる。目がいくし、声をかけられるのをみているのが歯痒い。どうせ振られるのにと、斜に構えて、あきらと相手をイライラしなから見ている自分がカッコ悪い。
俺は最後まで平静で、気取られないようにできるだろうか。
いっそのこと…。
早く帰ってほしい。
あの笑顔で、俺に元気でねと言いながら消えてほしい。
きっと俺は長くは隠しておけないと思うから…。
お読みいただき、ありがとうございました。
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