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5. 試作にしても早すぎるが一先ずやってみよう

こんにちは。


筆が乗って続きがすらすら書けました。大人になって子供のゲームをすると、ムキになりません?

皆様が想像できて楽しんで貰えれば嬉しいです。


宜しくお願いします。




しばらくすると、リュートルクが来た。


「あ~、疲れたぁ。しんどぉ~、もう寝るっ。」


と言って、コテンと向かいのソファへ寝そべった。リュートルクが来たら、彬は傍に寄らずにはいられない。というより、その人外美形ぶりを拝みたいのだ。彬はまるで写真集のタレントのようなポーズをとるリュートルクを見て感動でうち震えた…。


今日も顔が良い!!人外美形すごっ!!


ぷるぷると手を口で押さえて、叫ばないように気をつけ、ちらちらとリュートルクを見る。ストロベリーブロンドの髪の毛はその美しい顔を愛らしくも見せる。睫毛がバチバチで許されるなら、マッチ棒をのせてみたい。ほわわ~。


「あきら~、勉強はどう?少し習得できた?」


片目をぱちりと開けたリュートルクが私に尋ねた。なにそのウインクみたいなの?!


「うーん、今はね書ける単語を増やしてるとこ。リュートルク達の名前は書けるようになったよ、ふふっ!あ、ねぇねぇ!文字をゲームのように楽しく覚えられる話、聞いた?!」


今度は両目を開けて、ガバッと起き上がった。ちょっと驚いた顔も美しい、尊い…。


「なにそれ、聞いてない!」

「あら?アレックスがてっきりリュートルクにすぐに報告に行ったと思ったのに。」

「あ~、邸内を…散歩してたから、かな?あはは~。」


どうやら政務を中断して逃げていたようだ。…ほんとこういうとこ、息子達を思い出させる。なにも知らなければ尊くて涙する外見なのに…。


「逃げ過ぎて後回しにすると、あとで労力三倍ぐらいになるよ?…それと、できるけどやらないのと、出来ないからやらないのは違うからね?アレックスに押し付けられなくなってリュートルクが困らないなら、まぁ、いいんじゃない?半分恒例のじゃれあいっぽいもんね。」


クッキーをパクリと一口で食べて、リュートルクに言う。アレックスとリュートルクは幼馴染みらしく、アレックスが色々面倒をみているようだ。でも決してリュートルクが能力がないとかでなく、分担のように任せちゃってると言う感じだ。アレックスもその辺分かってるようで、いつも軽口で応対しているのを見かける。


「…あきらは怒んないんだ?」

「何で怒るの?二人が分かりあってのやりとりなら、よく分からない私が口出す話じゃないでしょう?」


逆にそんなことで怒る人はどこが気になるのだろう?不思議に思い、リュートルクに尋ねる。少し困ったように笑い、リュートルクもクッキーに手を伸ばす。


「…そんな人だなんて思わなかったとか、アレックスのこと信用し過ぎだとか?」

「…話してる内容は分かんないけど、仕事の話の終わりには『俺の嫁すごいから♡』ってアレックスがにやにやして自慢してるじゃない。リュートルクはそう言われて、しれーっとスルーしてるし。それってお互い尊敬しあってるからでしょう?余計なお世話だねぇ。」


どこの世界にもいるもんだとぼやきながらもう一枚食べる。


「…アレックスも同じ事言ってる…。そんなやつ、放っておけって。」

「そうそう、いろんな人がいるから、分かってくれる人がいるなら放っておこう。それ考える時間は二人でじゃれる時間に当てなよ。」


リュートルクはクスクス笑いながらお茶を飲む私を見つめる。


「ほんと、あきらって実は年取ってるよね。」

「はぁ?!失礼だなぁ。」

「いや、何て言うか、大きくみてくれてるなっていうのかな。深いっていうか、見守られてる気分になるというのか。」


あははと笑う彼の笑顔は全く悪気もなく清々しい…。


「うんうん…誤解を生むから気をつけようね。」


はぁ…良い笑顔だ…顔が良い…。この笑顔をエネルギーに、そろそろ私も勉強しようかと思ったら、ノックがしてアレックスが部屋に入ってきた。


「お。リューもいいとこに。あきら、さっきの『かるた』はこんな感じでどうよ?イメージ用に作ってみたんだ。」


そう言って手作りの『かるた』を見せてくれた。急ごしらえなので、ぺらぺらの紙に書いてある。ただちゃんと絵が描いてあり、とても上手だった。そして文字札を見ると。


「え?これ、文字が簡略化したやつ?このちょっとの間で作ったの?!天才?!」


アルファベットのように、装飾が排除された文字が書いてある。それをみたリュートルクが説明してくれる。


「あきら、その文字は元々存在するんだよ。ただ一般的に公的な文字を覚える事が先だから、それが書けるようになってから、覚える字体なの。人の目に触れないものなら使ってもいいという字体なんだよ。」

「え、逆の方がいいんじゃないの…?」


肩を竦めてリュートルクは続ける。


「俺もそう思うけど、覚えるまでそんな字があるって知らなかったからね。苦労したよ。」

「…リュー、試しにうちの領地の学校で実施してみるのもありじゃん?あきらから案が出たってすれば実験ぐらい通るだろう?」

「……そうだよね?あの人達に言っておけばいいよな?じゃあ、アレクは手紙出しておいてよ。」


なにやら二人の間であっという間に決まってしまった。そしてお試しに、私達も手作りのかるたをすることになった。勿論ハンディつきだ。三人では少ないので、リーゼロッテも呼んだ。


私は表を見ながらの参加なので、毎回文章を読み終えて読み手は10カウントしてから合図を出す。しかしなかなか取れない。


「ちょっと、年上に忖度してくれない?カウント足んないよ?!」

「あら、あきら。それでは勉強にならないじゃない?」


にまにましながらリーゼロッテが言う。


「それはその通りなんだけども!くぅ~。折角上手な絵ですぐに分かるのに!文字が探せない。」


くぅっと唸り、若干の悔しさを込めてアレックスをチラ見する。何故ならこのカルタ、説明してないのにちゃんと物の名前である単語だけでなく、()()の絵札もある。

「人外美形、リュートルクの『じ』!」

なんて感じだ。説明不足でもこのかるたの仕組みを汲み取れるアレックスは流石、仕事ができる男だ。リュートルクを「俺の嫁♡」とか言わなければ、いい男なのに!面倒見もいいし、スタイルもいいし。…ほんと、私の周りは素晴らしい!


一瞬美形三人に囲まれた幸せにぼんやりしたが、するりと耳に詠み手の声が入ってきた。


「甘いお菓子と赤い薔薇は贈り物の定番です、の『あ』!」


アレックスの声だった。




お読みいただき、ありがとうございました。


次も楽しみにしていただけると嬉しいです。


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