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3. 外国語を学ぶのはやはり大変だ

こんばんは。


ほぼ新規執筆です。

経験したことは無駄にならない、って思ってます。


わかるわかるって、思ってもらえたら嬉しいです。どうぞ宜しくお願いします。

さて。

想定外に異世界に来てしまった彬だが、案外楽しく過ごしていた。


元々心配性で少し後ろ向きな性格だったが、子供達が大変手のかかる性格で、ちょこまかと目が離せない事が多く、それに対応しているうちに随分肝が据わったからだ。なるようにしかならないと学んだ。どんなに事前に策を弄しても、子供は斜め上の行動をするので、子供が小さな頃から彬は方々に謝り倒していたことも原因だ。


旦那が子供達と自分に関心が薄く、何かあっても平気なように柔に育てなかったし、リュートルクの説明で元の時間に戻れることが分かっているから、子供達はあまり心配いらないと割りきったことも楽しく過ごせる要因だった。


普段は子供を起こすところから始まり、なんとか遅刻しないように追い立てて家を出し、慌ただしく出勤する。休みは休みで通院だの買い物だの、やることが満載だ。そんな中で、自分にかける時間も手間もあまりなかった彬にとって、客分として過ごす異世界生活はまるでバカンスのようだった。


何より人生初のエステ体験が楽しすぎた。人海戦術で、マッサージをしてもらえ、心地よい香りに包まれてあっというまに寝落ちし、気づくと終わっている。ストレスも少ないせいか健康になった気がするし、食べているのに痩せている。肌もつやつやになり、本当に若くなった気がしていた。


そして国家事業の一環で召喚された彬は、予定通り合コンのようなパーティーに出席している。まだ練習期間らしく、雰囲気を味わう程度だ。


しかし時間と金をかけた()()()()なので、リュートルクの失敗を隠す為に、既婚者なことと年齢は秘密だ。年はリーゼロッテと同じ30歳の設定だが、童顔のお陰で年齢確認をされたことはない。


日々過ごしていてはっきりしたが、リュートルクはだいぶ手がかかるタイプだった。思い込みが激しく、即行動するために失敗も多かった。だが今回の事は規模が大きすぎて、被害者の彬でさえ、既婚と年齢を秘密にすることに進んで同意した…。初日のリーゼロッテに同情したのは親近感だったな…と彬は思う。


秘密を守る為に、彬の詳細は転移の経緯を知っているアレクこと、アレックスと、姉のリーゼロッテだけとした。


そのせいかなんなのか、複数の人間から悪意を持たれることもあった。実際は当主のリュートルクとアレックス、リーゼロッテの時もあるが、人外美形と美男美女に囲まれて構われてるのが羨ましいようだった。三人も彬が一回り以上年上なので、こちらに慣れることも()()()()と思ってくれてるらしく、やたらと何かにつけて心配する。それを一部の使用人や、事務手続きで訪ねた王城などで悪意の上で話の種にささやかれているのが聞こえた。が、どこにでもいるなぁ、こういうタイプ…、と思ってスルーすることにした。何せ、年齢詐称と既婚という大きな秘密を隠しながら生活するので、気にしてる場面ではないと思えたからだ。むしろ、方向が違う悪口で安心した位だった。


そして実際、三人がどんな風に彬構うのかというと。例えば彬はこの世界の言葉は話せるが、読み書きができない。だから一から教わって覚えるのだが、何度も三人が代わる代わる様子を見に来る。アレックスは職務的に二人より邸を歩くせいか、しょっちゅう来る。まるで子供が勉強をサボっているのを見逃さんとばかりだ。実際は出来の悪い自分を気にかけてるだけだが。


そんなわけで彬は必死に勉強することになった。テスト勉強のように、口に出しながら手を動かしあいうえおに当たるものを覚え、言い回しや固有名詞はぶつぶつ言いながら歩く。体を使って覚えると忘れにくいからだ。


「あきら…なにやってんの…?ぶつぶつ言いながら歩いて…変に見えるけど…。」


アレックスが来た。若干引いてる気もしなくもないが、指摘が柔らかいのでまぁ許容範囲だろう。


「あぁ、こうやって体動かして覚えると、忘れにくいんだよ。人間、年をとる程覚えにくくなるからね。そのかわりの経験と工夫よ。ほんとは壁にも言語表貼りたいよ!」

「それは美的景観のレベルが下がるからやめてくれ。」


彬は了解と返事をしながら、一息つくために椅子に座る。


「あのさ。この世界では子供達はどうやって字を覚えるの?先生にはひたすら見て書いて覚えるのです!って言われたけど。…平民の子供にも、教えてもらうそんな時間あるの?」

「…正直ない。」

「だよね?だったらさー、カルタでも作れば良いのに。年取った後も遊びながら勉強できるよ。」


彬は何気なく言った言葉にアレックスが反応した。





お読みいただき、ありがとうございました。


次も楽しみにしていただけると嬉しいです。


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