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勇者? 人違いです  作者: Adhen
117/128

117。き、貴様らそういう関係なのか!?

2025年9月1日 マイナー編集。


「ふんっ!」


「くっ!」


 激しい戦いが続いて魔力込みの接近攻撃お互いに交わしたけど、最後に女神様は右フックを出して、それを防いだフェルは勢いを殺せなくて吹き飛ばされた!


「ルーファス!」


 魔力込みの攻撃を防御するには魔力が必要だ。


 今の攻撃で結構魔力が持っていかれて底が見えて来たと感じたフェルは魔力を貰うためにルーファスを呼ぶとーー




「ハッハッハ! 熱いのが来ますよ!」




 当の本人は凄い笑顔で応えて、吹き飛ばされたフェルを受け止めた!


「やあああめえええろおおお! 誤解されるだろうがっ!」


「き、貴様らそういう関係だったなのか!?」


「違うからな!」


 しかしその言い方は女神様の誤解を招いてしまって、フェルは弁明しようとしている!


「私の熱いモノを受け取ってください、王様!」


「お前ちょっと黙ってろ!」


「や、やっぱり!」


 もっともルーファスの追い討ちでそれは皆無になって、二人は完全にホモだと思われてしまった……。


「ま、待て! マジで違うから! 魔力! 魔力の事だから!」


「……」


 身を引いて距離を取った女神様はフェルの必死の弁明の前にただジッと目になって何も言わなかった……。


「……コホン! ど、どうする、神よ?」


 何を言っても勘違いは解けないと思って、自分はこの戦いが終わった時社会的に死ぬ可能性があると受け入れたフェルは話を進める事にした。


「そう焦る必要ないでしょう?」


 フェルは女神様を撤退させたいけど、当の女神アルマはわざと時間を稼ぐような行動をしている。


 突破口を探っているために。


 最初はフェルを魔力切れの状態に追い詰めて勝利を取るつもりだけど、女神様はルーファスが現れた時その計画を捨てた。


 精霊、大精霊は魔力の塊みたいな者だから彼らがフェルを味方にしている限り彼の魔力は尽きない。


 故に女神様は自分の計画を捨てた。


「ほらほら! どうかしましたか、王様!? 行かないならこっちから行きますよ!」


「台詞は完全に敵側なんだが……」


「貴様、味方間違えているのでは?」


「……そうじゃないと思いたい」


 肩を落としたフェルに向けて女神アルマは憐れみを飛ばした……。


「ルーファス、お前のせいで敵に同情されてるんだぞ!?」


「王様、時に自分の間違いを認めた方が良いかと」


「じゃあお前に頼ることが間違いだと?」


「そんな!?」


 自分が言った言葉の返答にショックを受けている……四つ這いになったのだ、ルーファスは。


「……貴様ら仲いいな。やっぱりそういうかんーー」


「ウィンドカッター!」


 魔力を貰ったフェルは何か言おうとしている女神様に魔法を飛ばした!


「っ!? 卑怯だぞ!」


「うるせぇ! その先は言わせねぇぞ?」


 ……またホモだと言われたくないフェルは本気で魔法を放った。


「ルーファス! 畳み掛けるーー」


「あ、私戦闘得意じゃないので王様一人でやちゃってください!」


「ぞおぉおおいい! やちゃってください、じゃねぇ!」


 更に攻撃しようとして走り出そうとしているフェルはルーファスの言葉に思わず振り返った!


「魔力を送り続けますから頑張ってください!」


「そういえばお前の戦う姿見たことないな!」


 時の大精霊であるルーファスはいざ戦うと自分の力で時間を止めて、相手を仕留めるか逃げるか、この二択だけだ。


 その能力が効かない相手かつ逃げれない状況である今、彼が出来ることはただフェルに魔力を送り続ける事だけだ。


「よそ見とは随分と嘗められているな!」


「しまーーくっ!」


「王様!」


「くっそ! ルーファス、気を抜くな!」


 今度不意打ちするのは女神アルマだった!


 フェルを全力で蹴って、なんとか防いだ彼はまたも吹き飛ばされて、突然の出来事で驚いたルーファスにフェルは注意した。


 ルーファスもまたフェルと同様に女神アルマに敵として認識されているのだ。


 精霊は死ぬことはないけど、致命傷負うと長い間現世に具現化できなくなる。


 つまりルーファスがやられたら魔力源を失ったフェルもやられるのだ!


「遅い!」


「ーーそれはこっちの台詞です!」


 自分の後ろに転移した女神アルマを感知したルーファスは転移で距離を取った!


「まずいな!」


 そしてフェルの方は未だに吹き飛ばされた時の勢いに連れられて、このままだとエリア外になって女神アルマに止められた時間の領域に入ってしまう!


 そうなると彼は終わりだ!


 ん? なぜ女神様は直接彼の時間を止めないかって? 出来ないのだよ。


 下界の出来事に干渉してはならない、もし降臨する必要があったらその原因を自ら、下界生物らしく解決しなければならない。


 という神々のルールがあるのだ。


 まあ、下界生物らしく、とはどういう意味で、どんななのか分からないけど。


「ゲート!」


 飛ばされたコースの先にゲートの門を開いたフェルは上空に現れた!


「全然止まる気配はーーチッ! ディスペル!」


 自分に何が起こっているかやっと気付いたフェルは自分にかかった魔法を全部打ち消して、それで勢いがやっと緩まった。


「良く気付いたな! お返しだ、落ちろ!」


 しかし女神様はすでに次の手に移して彼の更に上に転移して、無敵な笑みを浮かべながら女神様は剣を振り下ろそうとしている!


「はっ! 大人しくやられると思うか!?」


「っ! 正気かーー」


「エアボム!」


 だけど女神様より早くフェルは彼らの間にエアボムを設置して爆発させた!


「王様、大丈夫ですか!?」


 咄嗟に設置したから魔法の威力を全然制御できなくて、フェルは勢いよく地面に落とされた。


「あ、ああ、大丈夫だ……」


 なんとか立ち上がって近寄ってきたルーファスにフェルはそう言うけどーー


「涙出ていますよ!?」


「う、うるせぇ! すげぇ痛いから涙が勝手に出るんだよ!」


 強がりはバレバレである……。


「そ、それより神は?」


「さっきの魔法ではるか彼方へ追い払われました!」


 女神アルマはフェルと正反対に、さらに上空へ飛ばされたのだ。


「まったく……人は虫みたいに言うんじゃない」


「やっぱりあまり効かないな……」


 何ともないような顔して女神様は普通に戻ってきた。


「それで? そろそろ諦めます?」


「いや、なんでお前が言うんだ?」


 いいけどさ、とまるで自分がやった事に振る舞った、女神様に問い掛けたルーファスにフェルは呆れた。


「そうする必要はないと思うが?」


「おいおい、凄い自信だな?」


「当たり前だ。ゴミに遅れなんてとらん」


 傲慢な態度だけど、実際に女神様からしたらフェルたちはちっぽけな存在だ。


「はっ! そこまで言われたらちょっと本気を出そうかな」


「うわぁ、良くそんな恥ずかしい事言えるな」


「王様、今だけ味方ではない事にしてくれませんか?」


 流石に今のはダサかった……聞いた側でさえ恥ずかしいと女神様たちは引いてしまった。


「……なんとでも言え! こっちのとっておきの技を使わせてもらうわ!」


「王様、まさかアレをやるつもりで!? 本気ですか!?」


 恥でちょっと赤面になったフェルはヤケクソになって、彼はやろうとしている事に気付いたルーファスは驚愕している。


「ふん、どうせ小賢しいまーーぐふっ!」


 台詞の途中で女神様は突然血を吐いた!


「何をした!?」


 腹の右部分を押さえながら距離を取った女神様はフェルを睨みつけている。


「バカめ! 技の種を明かすわけなーー」


「剣の先をゲートに突っ込んだだけですよ、神よ」


「何敵に説明してるんだよ!?」


 味方にもバカがいるぞ!


「……この私に感知できない魔法だと!?」


「すべてはお前基準じゃないってことだ、よ!」


 と、フェルは気合いを入れてもう一度同じ技を放った!


「き、貴様!」


「おいおいマジで!? 今の避けたのかよ!?」


 女神アルマはフェルを睨みつけているけど、全力の攻撃が避けられたフェルの方が睨めたい所だった。


「卑怯だぞ!」


「はっ! 戦いの中に卑怯はない!」


 その通りだけど、実際にフェルが放った技は卑怯そのものだ。


 簡単に説明するとフェルが出した技はゲートで高周波ブレードを敵の中に転移しただけだ。


 ゲートはその名の通り出入り口があって、一つはフェルの短剣の先かつ敵に見えない位置で、もう一つは敵の体内。


 しかしこの方法にはそれなりの代償がいる。


 魔力というものは自然に防御力を持っているのだ。その防御力は魔力の源に近付けば近付くほど強くなる。そして生き物の体内に魔力は必ず存在する、体はずっと生み出しているからな。


 それはなんの意味をするかというと生き物の体内に魔法を発動するには無理に近いということだ。


 ましてや女神様は強い精神の持ち主、魔力は最上級で、その防御も当然人間離れレベルにある。


 だからフェルに下された代償はーー


「あー、やる気なくなるわぁ……」


 ーー魔力だ。


 魔力は一気に枯渇状態に陥ってしまって、彼の精神は現在ボロボロである。


「この方法を使うといつもげんなりになりますね、王様は」


 と、ルーファスは魔力を提供していながら言った。


「仕方ないだろう? 魔力もやる気も、そして矜持も全部持っていかれたんだぞ?」


 なぜ矜持が? と思うかもしれないけど、フェルはチートに近い技を使うことに抵抗を感じるのだ。


 プライドが許さない。


「それで、神? このままだと埒が明かないぞ? ここで一つ、取引しないか?」


「……取引、だと?」


 怪しいものを見るような目で女神様はフェルの言葉に反応した。


「お前にとって損しない取引になるはずだぞ?」


 言葉をちゃんと守るならな、とフェルは更に加えた。


「さぁ、どうする、神よ?」



 無敵な笑みを浮かびながら、フェルはポーチからある物を取り出した。

女神アルマ「貴様、虹の旗持てば?」

フェル「冗談じゃーー」

ルーファス「これですか!?」

フェル「持ってるううぅぅ!!!」


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