表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者? 人違いです  作者: Adhen
116/128

116。Yes look! No touch!

2025年9月1日 視点変更(物語に影響なし)


「よくも神である私に対して性欲でたな!」


「おいおい、ホモじゃないから当然だろう?」


「っ! この下衆(げす)が!」


「ホモじゃないのは何が悪いんだよ!?」


 まあ、女神アルマの言い方だとまるでホモじゃない事は悪いのだ。


 そうではないフェルからするといきなり罵倒(ばとう)されて、理不尽でしかない。


「貴様をここで消せねば多くの女性が犠牲になる!」


「なんだと!? そっちの勇者二人と違うんだぞ!」


 しかしフェルにはポリシーがある。


「|Yes look! No touch!《見るだけ! 触りなし!》」


 美人を見るだけなら罪じゃないから、自分の女以外触らない!


「問答無用!」


「っ!」


 女として見られた女神アルマはフェルの言い訳を耳にしなくて、右手を水平に振った。


 その刹那、凄まじい圧縮した細い風は現れて高速でフェルに迫る!


「くっ! パクリかよ!? お前オリジナルないのか!? 神の名は泣くわぁ!」


「何ほざいている? 別に貴様が作った魔法じゃあるまい?」


 女神様が放った魔法はエアカッターなのだ。


 ギリギリそれを躱したフェルは文句を言っているけど、女神様の言う通り、エアカッターは彼が創った魔法じゃない。


 昔の誰かが創った魔法なのだ。


「何かこう、神っぽい魔法ねぇのかよ?」


「必要ない。貴様相手に人間の魔法で充分だ」


「……パクリしか出来ないだけだろう」


「ほう? 神を侮辱するのか?」


 得意顔だった女神アルマの顔はフェルの言葉を聞いて険しくなった。


「侮辱もなにも事実だ」


「なら見せてやろうーー神の魔法(きせき)を」


 右拳をに顔の高さまで持ち上げると、女神アルマはゆっくりその拳を開いた。


 その動作の直後フェルの周囲に虹の光は現れ、逃がさないと言わんばかりに瞬く間にプリズムに変形した。


 つまり檻だ、虹の光はプリズムの檻になった!


「っ!」


 凄まじい衝撃は体を襲って、フェルは思わず膝についた!


「何が、奇跡、だ!? ただの、重力、魔法だろうが!」


 相手を魔力で包み込んで、押し潰すもしくは上げる魔法。


 フェルに起こっている現象は重力魔法による物だ。


「ほう? これならどうだ?」


「しまった! 挑発するんじゃなかったぁ!」


 立ち上がったフェルの挑発に簡単に乗せられた女神アルマは先ほど開いた拳を再び閉じる。


「ぐぅ、ううおおおおおおぉぉぉ!!!」


 やや大きかったプリズムの檻は急に縮まって、更に強くなった圧力を耐えずフェルは再び膝についた!


「先ほどの大口はどうした?」


 上空へ舞い上がっていながら女神アルマは高から、文字通り高からそう言ってフェルを嘲笑した。


「ま、マジで、神だな、おい!」


「ふん、やっと実感したのだな? だがもうおそーー」


「相変わ、らず、神の光、が、邪魔だな!」


 くっそおおおおお! 絶好の眺めなのに! とフェルは悔しくて地面を強く叩く……。


「……最後まで欲望に忠実か? 哀れな人間だな。その惨めな人生から解放してあげる」


 それを聞いた女神アルマの得意気な顔は消えて、半眼でフェルを見ながら右人差し指を彼に向けさせ、その指先に光を集める。


「ま、まぁ、そうあせるな、って……」


 流石にあれはやばいと本能は訴えていて、フェルは引き攣った笑顔を浮かびながら頭を走らせる。


「さらばだ、異端児」


 どうすると考えているフェルだけど、何か思いつく前に女神アルマは自分の指先に築瀬したエナジーを一気に開放した!


「っ! ぐはっ!」


 光はそのまま体を貫けた!


「何をした!?」


 女神アルマはフェルに向かって怒りを含んだ言葉を飛ばした。


「なに、簡単なことさ。お前の攻撃を転送しただけ」


 そう。光は女神アルマの体を貫けたのだ!


 光がフェルに直撃する寸前に彼は自分の正面に転移魔法ゲートを展開し、女神アルマに返した。


 しかしどこ狙ったか分からなかったからフェルは大きめのゲートを発動して、そのせいでどこに返すか狙えないから光は女神の右肩を貫けたのだ。


 自分の攻撃が自分に当たった事に動揺しているみたいで女神アルマが展開したプリズム織は解けて、やっと解放されたフェルは両足に立った。


「こんな簡単に対応されるなんて、神の名本当に泣くぞ?」


「人間風情が!」


「おうおう! 怒ってる〜!」


 はっはっはと今回嘲笑するのはフェルの方だった。


「神をどこまで侮辱するつもーー」


「お前がしっかり神をやってるまでだ!」


 激昂(げきこう)してる相手に不意打ちは有効だとこの瞬間フェルが証明した。


 目の前の事しか集中していない空中にいる女神の真後ろに彼は転移して短剣を振った!


「くっ!」


「フッハッハッハ! ほらほら! どうした、神!?」


 不意打ち自体は成功したけど相手は女神様だ。彼女は反応してちゃんとフェルの攻撃を防いで見せた!


 それでもフェルは攻撃を続けて衝撃に対応できなかった女神はやがて吹き飛ばされた!


「落ちろ!」


 そして追い討ちに女神様が吹き飛ばされた経路の先にフェルは転移して、全力で短剣で女神様を叩き落とす!


 女に対して外道な行為だけど相手は女神様、フェルはなんとも思わないのだ。


「仕上げに大きめの魔力玉だ!」


 ドカーン! とフェルは転移前に右手に蓄積した魔力を地上に落とされた女神に投げて、大きな爆発が起こった!


「くぅー! 気持ちいい!!! 気分はドラゴンボ〇ルのキャラだぜ!」


 あー、確かにそのアニメだとそういうシーンは沢山あるよな!


「フッハッハーーうお!? おい! 卑怯な真似するんじゃねぇ! それでも神か!?」


 満足して笑っているフェルは自分の真下に魔力を感じて、回避の行動を取った。


 その直後彼の目の前に下からやってきたウィンドカッターが通り過ぎた!


 戦闘場は平原とはいえ、フェルの凄まじい魔力玉の攻撃が起こした爆発によって土埃は舞い上がったのだ。


 そのせいで女神アルマは何をしてようとするか彼には見えなかった。


「不意打ちした貴様がそれをいうか!?」


 ウィンドカッターの影響で土埃が消えて、今にも激昂している女神の姿はハッキリとなった。


「真っ二つになるところだったろうが!」


「知るか!」


 まあ、敵だから女神アラムからするとフェルの安否などどうでもいい、むしろ無事じゃないの方が望ましい。


「はぁ……んで? 諦めるか?」


 溜め息を吐いて地面に下りたフェルは女神様に問うた。


「私の方が有利なのに諦める? 貴様こそ諦めたら?」


「……すごいな、現在の状況下でも自分が有利だと言い切れるなんて、神経やばいな……神だけに」


「……」


 ……。


 責任取れよ、フェル! この空気どうするんだ!? 女神様は半眼になっているぞ!?


「……ど、どこが有利なんだ?」


 無理矢理話を進めてやがった……。


「コホン! 確かに貴様は強い。だがその力は神と違って無限じゃない!」


 そりゃフェルは人間だから限界がある。


「故にこっちの方が有利だ! さぁ、いつまで持つかな? 時間はたっぷりあるよ」


 なにせ止めたからな、と女神アルマは無敵な笑みを浮かびながら言った。


「……確かに無限じゃないが、充填できるから問題ないんだが?」


「充填? はっ! どこから? この空間の外の生き物も無機物も何もかもの時間を止めた! むろん魔力もな!」


 勇者たち、周囲のはもちろん、女神アルマは地面に着いた(強制的に)途端世界中の時間を止めたのだ。


 だからフェルを助ける者なんて現れない、来れない。


 と、女神アルマは思っているけどーー


「お前なぁ、神の眷属の時間止められると思ってるのか? まして時空を司る神の眷属のを、だ」


「ーーだとしたらなめられたものですね」


「っ!」


 とタイミング良くフェルが台詞を言い終えた同時に、彼のやや後ろに洋映画に出てくるカウボーイ格好をしている男、ルーファスは現れて、その事に女神様は驚きを隠せなかった。


「さーて、第二ラウンド行きましょうか?」


 挑発的な表情を浮かびながらルーファスは前に出たけどーー


「……いや、なんでお前が言うんだよ?」



 まあそうなるよな……。

ルーファス「ヒーロー参上!」

フェル「あー、遅刻したからか?」

ルーファス「そうです!」

フェル「時空の精霊も遅刻するんだな……」


よかったらぜひブックマークと評価を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ