115。ナイスレッグ!
2025年9月1日 視点変更(物語に影響なし)
「マナーというもの知らんのか?」
おぉー、さすが神様! 言葉を放っただけで空気が震える!
……。
すまん、神様の登場を格好良く言葉で説明したいけど、よく考えたら別に大した事じゃない。
音がするから当然空気は震えるわぁ。
「どうした? 怖くて言葉も出ないのか?」
「……いや、そうじゃない」
神様の言葉を聞いて俯いたフェルは小さく呟いた。
「無理もない、神の御前だかな」
「そうじゃない……」
ぷるぷるとさっきよりやや大きい声でフェルは言った。
「いや、違わなーー」
「お前光ってるからなんも見えねぇんだよ! 光を消せ、光を! 他人の事配慮しないオメェこそマナーねぇだろう!」
目がいてぇよ……とついにキレたフェルは最後に目を押さえた。
「おっと、失敬。罪深い人間にとってこの光は毒そのものだからな」
神様は光を消しながらまるでフェルは穢れに満ちている生き物のように貶した。
「その罪はお前が勝手につけたものだろう?」
「人間はもとから罪深い生き物なのだよ。神である私の前ではゴミ同然だ」
「おいおい、ここでそれ言っていいのか? 人たくさんい……る……?」
そこでフェルは気付いた、周りが静かすぎる事に。
「さすがに信者たちの前で言うわけないだろう?」
笑顔で言ったアルマ神は背後にいる勇者たちに目をやる。
全く動いていない勇者たちとレヴァスタ王国の兵士たち。まるで一瞬で氷漬けされたかのようにある者は走っている、ある者は転んでいる動作で止まって微動だにしない。
「な、なにこれ? まるでーー」
「なに、簡単なことだ。時間を止めただけだ」
女神の言う通り今世界の時間は止まっているのだ。
「……」
「どうした? 神の奇跡の前にただただ呆然とするしか出来ないのか?」
周囲を見渡してフェルは驚愕していて、何も言わない、言えない彼を見て女神アルマはドヤ顔を浮かぶ。
「……まるでフラッシュモブじゃないか! すげー!」
まあ、もっともその理由は女神が思っているものと違うけどな……。
「は?」
「お前フラッシュモブしらないのか? 神やめたら?」
ここでフラッシュモブについて説明しよう!
フラッシュモブとは公の場で突然人々が静止してから踊り始める、一種のエンタテイーー
「そんな事知っているしどうでもいい!」
「んだよぉ、知ったら先に言えよ……ナレーターが可哀想じゃないか」
本当に……説明して損したわぁ。
「神は全知全能だぞ? それはどういう意味か理解できない貴様は頭が足りないということだけだ。ちっぽけな人間にとって理解しがたいことだから許そうではないか」
さりげなくフェルの身長についてディスした。
「すごい毒口だな。せっかくの美貌が台無しだ」
「ふん、口説くてもむだだぞ」
「といっても美女か美男かわからないんだけどな」
「……」
フェルのナイスヒット! 一方的にやられるわけにはいかないからと思ってお返ししたのだ!
整った顔と綺麗な金髪をしている女神様だけど、スカート着てなかったら誰も美男と思う体をしている。
「ふんっ! 子供は大人の魅力というやつ知らないから仕方なーー!」
「な、なに!? ただ男に興味ねぇだけだ!」
「な、なに!? もういい! 貴様を消す!」
「上等だ! かかってこいやぁ! エアカッター!!!」
そう言って自分から先に行っている!
「ちょっ! ああ言ってなぜ貴様が先にしかける!?」
汚い、汚いけどその効果はある! 女神様はびっくりして不意打ちに取られた!
「神をなめるでないぞ、人間!」
取られたけど、ベシ! とフェルの魔法は片手で叩き落された!
周りにうろちょろ飛んでいる虫を叩き落すような動作で……。
「さすがにそう簡単にいかないか」
「そもそも神である私がやられる未来はない」
「そうか? エアカッター! エアボム!」
当たり前だけど女神様は凄い自信の持ち主である。
魔法は精神の強さに反映されるから当然女神様の魔法の強さは疑い余地ない。
そんな女神様にフェルは再び水平のエアカッター、そして時間差に足元にエアボムを放った。
「何度やっても無駄だ」
足元に展開された魔法をなんとも思わない女神アルマは先ほど同じ動作でエアカッターだけ叩き落した。
「それはどうかな?」
余裕な態度で言いながらフェルは後方へ跳躍し、すごい悪い笑みを浮かべる。
「さぁ! 見せてみろ! お前の色を!」
「っ!?」
ドーン!
その直後、さっき彼が女神アルマの足もに仕掛けたエアボムは爆発した!
「はっはっはああぁぁ!? ば、ばかなっ!」
突如として発生した強風によって女神アルマのスカートがめくられて、計画通りだと違う意味で勝利を確信したフェルは自分の目を疑いたくなった!
何故ならーー
「謎の、神の光、だと!?」
アニメや漫画の中に女性が転んだ時によく出てくる謎の光、神様が出現した光だと人々(男)は言うその光は女神アルマにもちゃんと発動した!
「……無駄だと言っただろう?」
魔法の効果が切れて、女神アルマのスカートは自然に戻ったあと女神様は完全に冷めた感じでフェルに言った。
……最後まで謎の光はフェルの邪魔をしていた。
「くぅー! 仕方ない! 足だけで満足としよう! ナイスレッグ!」
しかし彼はエグいメンタルをしている男! 親指を立てて女神アルマの美しい足を褒めてやがった!
「こ、この男! 生かすに危険すぎる!」
流石に女神でもフェルのエグいメンタルに身の危険を感じて、身を引いてしまった!
「おいおい、褒めてるのになんで危険人物扱いなんだよ?」
「危険人物だからだ!」
「心外だな!」
確かに彼は危ない人物ではなーーいや待て! 魔力で女の体の形を探れる彼は確かに危険人物だな!
主に女性にとって!
「いやぁ、本当に美足だった!」
流石神様だな! と凄く満足している顔を浮かべているフェルだった……。
女神アルマ「こうなったら足にも光を展開するしかないな」
フェル「や、やめろー! 楽しみが、楽しみがなくなる!」
女神アルマ「えーい! やかましい!」
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