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勇者? 人違いです  作者: Adhen
114/128

114。イカれ野郎だ!

2025年9月1日 視点変更(物語に影響なし)


「いやぁ、ルナねぇ容赦ないな」


 ドーン!


「何言ってるの? 十分手加減したのよ?」


 わあああぁぁぁ!!! と海から悲鳴がした。


「ね、あなた達?」


「「「……」」」


 振り返ったルナに兵士たちは誰も返事しない、っていうか出来ない。


「諸君?」


「「「ルナオネーサマノイウトオリデス!!!」」」


「えぇ!? お前ら急にどうした!?」


 そしても一度ルナに訊かれると全員は一斉に敬礼して答えた!


「ほらね?」


「いや、何がだよ!?」


 ウチの兵士は洗脳されたあああぁ! とディアは頭を抱えたくなる状況だった……。


「それよりこれで向こうは何も出来ないでしょう」


「あ、ああ、そうだな……」


 その通り、マーセリア帝国艦隊はもう終わりだ。生き残りはいるかもしれないけど艦隊自体はもう終わりだ。


「私たちは西国境に行くが、念のためお前らはここで待機だ。隊長、任せるぞ」


「お任せあれ!」


「よし! 行こう、ルナねぇ!」


 すごい笑顔で隊長は頷いて、それを見たディアは安心してルナを促した。


「……」


 だけど当のルナは何も言わずにただ空を見上げているだけだ。


「ルナねぇ?」


「……ディア、あれ何でしょう?」


 彼女が指差しているのは精霊王国マナフルの西国境の上空に地上の一点を照らす光だ。その光の中には降りて来ている直線出来ないほど光玉があるのだ。


 その光景は神秘的であまりにも美しすぎるからディアたちは思わず見惚れている。


「ーーっ! ディア、走るよ!」


「……」


「ディアっ!」


「っ!? あれは何なのか知っているの、ルナねぇ!?」


「説明は後! 時間がないわ!」


 そう言ってルナは走り出した。


「フェル……!」



 西国境に戦っているフェルの名を心配そうに呟いていながら!







「……」


「あれは……!」


 降りて来ている光玉に見惚れられているレイアの背後からそんな声がした。


「……? 学園長? あれは何なのかしているのですか?」


 そこにはマナ学園の学園長、キーダフリナー学園長が居て同じく光玉を見ている。


「……かつて神々の間に戦争がありました。自分たちの膨大な力は世界に悪影響をもたらすと悟った神々は下界の生物に掛けをしました、五柱は人間に一柱は魔族に」


 これはこの世界に言い伝える人間と魔族の戦争の伝承だ。


 かつて六柱の神様はこの世界に存在して、各々の役割をやっていた。


 しかしとある一柱の神様は自分の欲を出して全てを、他の神様を含めて支配しようとしていた。


 それは良くない、許さない、許されないと他の神様はもちろん抗議して、一時神様たちだけの間に戦争は起こったけど世界に悪影響が出ていると気付き、賭けをした。


〝好きな種族を選んで、我々の加護を与えよう。もしその種族は勝ったら加護を授かった者の勝ちとしよう〟と神様たちは決めた。


 ある種族は知恵に優れている。ある種族は物に恵まれている。ある種族は繋がりをたくさん持っている。


 そんな様々な種族の中、欲深い神様は生き残りに慣れている種族に加護を与えて、信託通り他の種族が住んでいる所に侵略し始めた!


 それは魔神と魔族という言葉の由来だ。


 魔神の力は膨大すぎて、その力の一部に授かれた魔族は人間を一方的に押して、このままだとまずいと思った他の神様は団結して異界から人を召喚した!


 それは勇者の初登場だった。


 団結した神様たちから色んな力をもらった初代勇者は人々を導いてやっとのことで魔族を人間が住んでいる大陸から追い払って、魔族を住処にまで押し戻した!


 諦めなかった魔族たちは何度も侵略をしようとしたけど、その度に人間の団結の力でその試みは虚しく終わった。


 もう無駄だ。魔族は人間に勝てない。これ以上命が勿体ない。


 と、結論に出た魔族たちは侵略をやめて、そこで魔神の負けは確定になった。


「それでですね、伝承にでは伝わらないのですが、実は人間と魔族の戦いでこの光景と同じ出来事がありまた」


 光玉を見ているまま、睨んでいるまま学園長はさらに続ける。


「あれは神様が降臨している時の起こる現象です」


 と、レイアに視線を戻した彼女は真剣な顔で真っ直ぐレイアの目を見ている。


「……は? え? じゃ、じゃあ、フェルはーー」


「陛下は神様に恨まれる事でもしました?」


「知っている限りありませんね」


 当然レイアは知らない、っていうか誰も知らない。


 フェルは自分の事をあまり語らないからな。


「ところで学園長、何故伝承にない事知っているのですか?」


「父上が教えてくれましたよ」


 いや、そう答えたら新たな疑問出てしまうじゃない……とレイアは改めて考えてみれば学園長のことほとんど知らない事に気付いた。


「父上の話によりますと、この光景は終わりのお知らせですよ」


「終わりの、お知らせ? どういう意味ですか?」


「気付いたらもう終わった、と父上が仰っていました」



 光玉を見て、キーダフリナー学園長はそう言った。







「チッ! お前らゾンビか!」


 蹴っ飛ばしてもまた立ち上がって、襲ってくるレヴァスタ王国の軍人たちにフェルは鬱陶しくなって来た。


 じゃあ殺せば? と思うだろうけど、無駄な血を流したくないフェルにそれは出来ないよ、っていうかしたくない。


 そもそも殺したら今までの手加減の意味は分からなくなる。


「はっはっは! もうすぐ終わりだ、ガキ!」


「だからお前らより年上なんだぞ!」


「もうずぐ神のお出ましだぜ、犯罪者さんよ!」


 その言葉とと共に一筋の光は青空に漂っている雲を分けて、ゆっくりと落ちる。


「スポットライトを付けたくらいで随分と大きく出るな!」


「はっ! 負け犬がよく吠えるとは本当みたいだな、おい!」


「言ってろ! こっちは筋通り(・・・)でやってるんだよ!」


「貴様の計画なんぞ知らん! どうせ神に防止されるだろう!」


 そりゃそうだろう。神だぞ? いくらフェルが強くて、計画は完璧であってもさすがに無理がある。


「お? きたきた!」


「隊長! もう少しの辛抱だ!」


「聞いたな総員!? やつに隙を与えるな!」


「「「はい!」」」


 降り注ぐ光の中から光玉は現れると勇者たちの士気が上がる。


 この戦いはもうすぐ終わりと思っている勇者たちは気合いを入れても仕方がない。


「おら!」


「どうした!? もう疲れてんか!?」


「くらえぇ!」


「ファイアアロー!!!」


 まばらに攻撃してくる兵士たちはフェルに反撃の隙を与えない! 一斉襲ってくれたらフェルにとって楽だけど、レヴァスタ王国はいい連携している!


「お前らの神遅いな!」


 まるで神様は降臨している事よと全世界に見せるかのように光玉はゆっくりと降りて来ている。


「貴様頭大丈夫か!?」


「敵の切り札待ち遠しいかよ!?」


「イカれてる! イカれ野郎だ!」


 神様が完全に降りたらそこはフェルの終わりだと思っている勇者たちにとってそれを早く来い! と暗に言っているフェルは確かにイカれている。


「うるせぇ! こっちはこっちの事情あるんだよ!」


 邪魔だ! とうんざりしたフェルは襲ってきている兵士たちを威力低めのウィンドカッターで押し戻した!


「さっさと降りろ!」


 それによって生まれた隙を活かして、彼はゆっくり降りてきている光玉のはるか上に魔力の壁を作って一気に降ろす!


 バキン!!!


「ちょ、テメェ何してんだよ!?」


「だまれ! オメェらの神とやらを早めに来させるからありがたく思え!」


 そんな彼の行動を見て、勇者ナリタは引いてしまった。


「早く降りて来い、よ!」


 そこでフェルは更に魔力を追加してーー


 バッキイィィン!


「に、逃げろぉぉー!」


「イカれてる!」


 魔力壁に押された光玉は凄まじい勢いで落ちて来ている! 


 それを見た勇者たちは叫びを上げていながら蜘蛛の子のように逃げ散った!


 ドーン!!!


 ……残念だけどここは草原だから砂埃は舞い上がらない。あったらすごくいい絵になるだろう。


 ん? なんの話だって? わからないのか? あるだろう? 敵もしくは味方が強風と共に現れた時砂埃は舞い上がって、その直前に思わず閉じてしまった目をゆっくり開くと登場した人物の姿は目の前に! というシーン。


 しかしまあ、もしここは砂原(さわら)だとしても現れた相手が光っているから誰も何も見えないだろう。


 色々と台無しだ……。


「随分といい挨拶だな、異端児」


「……うん、まず光消そうね」



 と光玉からの声にフェルは言った。

神様「ヒーロー、登場!」

フェル「神じゃないのか?」

神様「……神、登場!」

フェル「やり直した!?」


よかったらぜひブックマークと評価を。

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