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2日目ー無属性のいろいろー

「……私は?」

 

そんな二人を尻目に、唯一名前のあがらなかったコイデさんが僕の袖を引いた。

 

無属性、しかも魔法を消す魔法を使うコイデさんの魔法を堂々と他の子の前で使うわけにはいかないから、彼女の指導の仕方についてはまだ方向性が決まってないんだよね……。


「そうだな……コイデさんは他の属性は使えるのかな?」


「……できない」


「そっか……なら、コイデさんには武術を中心に頑張ってもらおうかな。力不足で申し訳ないけど、コイデさんの魔法は今の僕からじゃ教えられることが少ないから、何かできることがないか調べておくよ」


「……わかった」

 

納得して……くれたんだよね? やっぱり表情が変わんないから判別がつかないや。


「? どうしてコイデさんだけ教えられることが少ないんですか? まさか、ぼくたちを除け者にしてコイデさんだけ特別レッスンを……」


「いやいやそうじゃなくてね、コイデさんの属性はかなり珍しい無属性だから普通の魔法の知識じゃ教えられることがないんだよ」


「「ムゾクセイ?」」


「そう、無属性。魔法史を勉強してる人くらいしか知らないことなんだけど、人によってできることの違うどんな属性にも当てはまらない特別な属性のことだよ。例えば人の心が読める魔法とか、行きたい場所どこにでも一瞬んでワープできる魔法とか、念じるだけでラッキースケベに遭遇する魔法とか」


「最後のだけものすっごくしょうもない魔法だった気がしますけど、ムゾクセイがすごいってことはぼくにでも分かりました。それで、コイデさんはどんな魔法が使えるんですか?」


「……それは——」


「それは内緒だよ。無属性の魔法は便利なものが多い代わりにそれしか使えないっていう弱点があるんだ。だからその人が使える魔法を教えるってことは『私にはこんな弱点がありますよ』って言っちゃうのと同じなんだよ。だから魔法しか自分の身を守る方法がない今はまだ言えない。コイデさんが武術の練習を頑張って、魔法がなくても戦えるようになったら教えるから、それまでは我慢してね」

 

事実を話しつついくらでも誤魔化しが効くように仕込んでおく。ここまでしてこそコイデさんを遮って割って入った甲斐があるというものだ。


「それなら仕方ないですね……。そうですよね、ぼくみたいなザコにそんな大事なこと教えられるわけないですよね……」


「別にムダイさんのことをザコなんて——」


「無属性! 自分だけの魔法! カッコいい!」

 

エルさんがコイデさんのてを握って勢いよく振り回す。

 

お気に召したようで何よりですけど、少しタイミングも考えてくれたら先生は嬉しいですよ。

 

そして、図ったかのようなタイミングで一人の先生とその後ろをついて歩く生徒たちが演習場に入ってきた。


「お〜い、そこの人たち! 今から私の授業だから出ていってくれないか」

 

意地悪とかではなく、一単元分の授業が終わって、次の授業が始まろうとしている。

 

つまりまあ……時間切れってことだ。


「仕方ないか、一回教室に戻って…………」

 

続きを、と言いかけたところで口を閉じる。

 

このまま教室に戻ったところでムダイさんとエルさんに魔法について教えることはできても、コイデさんだけはどうしても手持ち無沙汰になってしまう。

 

なら今日はここで終わりにして明日の準備を、彼女たちが使う武器を用意する方がいいんじゃないか? それに、この後師匠にルウマさんのことを聞きにいかないといけないんだ、報告書を書くことも考えるとあんまり時間ないな……。


「ごめん、やっぱり今日はこれで解散で。その代わり、明日はお楽しみを用意しておくからね」


「えっと、いきなりですね……」


「本当にごめんね。ただ明日の準備にすごく時間がかかるからお店が閉まる前に街に出ないといけないんだ」


「……なに買うの?」


「それは明日のお楽しみってことで。コイデさん、ムダイさん、エルさん、今日は残って話を聞いてくれてありがとう。お疲れ様でした」


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