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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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グランドフィナーレ3:明るい未来に!

 連載期間、約15ヶ月。

 全93万字の大長編になりましたタケ君とリーヤちゃんの物語も、今回で最終回。

 では、最後の物語をどうぞです!

「チエ姉ぇ。これでイイ?」


「アキト殿、しっかりするのじゃ! 年下のアリサ殿の方がしっかりしておるのじゃ」


「そーだよ、アキト兄ちゃん。この設定くらいは覚えておいてよぉ」


 外側では桜舞い散る東京湾岸にある宇宙港、そこの宇宙船のコクピットの中、アキトと呼ばれた青年は美幼女(チエ)美少女(アリサ)に挟まれて小さくなる。


「異世界戦隊、宇宙支部始めての大仕事なのじゃ! 救援を望む星に早く向かって事件を解決するのじゃ!」


「分かったよ、チエ姉ぇ。俺も父さんから魔剣シャドウスマッシュを受け継いだんだから、しっかりしないとな」


「我が主よ。最初から気張らぬでも良いが、油断はするでないぞ!」


 チエはドヤ顔でアキトに文句をいい、愚痴るアキトに魔剣は金属らしくキンキンとした声で答えた。


「アタシも高卒後の初仕事だもん。国立大学合格もしたんだから、春休みの間に早く仕事終わらせたいよぉ」


 中学一年生くらいに見えるアリサだが、既に高校を卒業し理系国立大学に入学が決まっている。


「そうなのじゃ! 一週間弱で終わらせるのじゃ! あ、母様からの連絡なのじゃ」


 なおもドヤ顔でパネルを操作するチエ。


「チエちゃん、アキトとアリサちゃんを宜しく頼むわね。あーちゃん達、ひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃんの10回忌までには絶対に帰ってくるのよ?」


「アキト! くれぐれもアリサちゃんに手出ししたらダメだよ! 何かあったらボク、リーヤちゃんに顔向けできないんだからね」


「アキト。もうオマエも22歳で一人前だ。俺の影なんて追わずに自分の道を進め!」


 まだまだ年齢(古希)よりは圧倒的に若いマユコ、そして同じくアラフィフには決して見えないナナ、貫禄が出てきたコウタが息子(アキト)に対して、声援を送る。


「マユコママ、うちのお母さん(リーヤ)は?」


「今日は、首相と打ち合わせらしいわ。忙しいのはしょうがないわね」


「お母さんって、今や売れっ子美人外交官だもんね。さあ、アタシも頑張るの!」


 アリサは、金色の瞳に力を入れる。


「では、出発なのじゃぁ! テストード号発進なのじゃ!」


 一見、細長いカメのような宇宙船は、メインスラスターを吹かして上空に舞い上がった。


「現在、メインスラスター順調なのじゃ! ん? 打ち上げ重量が25kg程重いのじゃ? 誰か荷物を追加したのかや?」


 慣性制御が行われている宇宙船内には、ほとんどGが掛からないものの、宇宙船は最大動圧点(マックスQ)の空力を越え、第一宇宙速度へと加速する。


「いや? 俺、荷物は殆ど持ってきていないぞ?」


「アタシも追加なしだよ? じゃあ、なんだろうね?」


 昔の化学ロケットでもないので、推力には余裕があるから問題にはならないが、微妙な重量増加にチエは首を捻る。


「まるで、子供1人分の重さじゃな? ま、まさか!」


 チエは、操縦席から後ろを魔神(デーモン)の目で見る。


「あ! そこなロッカーの中に誰かおるのじゃ!」


 チエが指差すロッカーを、シートベルトを外したアリサは開けた。


「えー!! どーしてアンタがここに居るのぉ! ゆーり!!」


「アリサお姉ちゃん、ごめんなさい! 僕、お姉ちゃん達が冒険しているの、いつも気になっていたんだぁ」


 ロッカー内には密航者、小学一年生くらいに見える、黒髪で小さな巻き角が生えた黒目の男の子が居た。


「はぁ。どうしよーか、チエお姉ちゃん?」


「今更、地球に帰るのも、どーかと思うのじゃ。まもなく低軌道まで上がるのじゃ」


 コクピットから見える空は、青から蒼、そして黒へと近付く。


「低軌道上に機体を安定させたら、地球へ連絡するのじゃ!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「お母さん。お仕事忙しいのに、ごめんね。ユウリが一緒に来ちゃったのぉ!」


 わたくし(リーヤ)は、仕事中に緊急連絡を受けて、ひと区切りをつけた休み時間に宇宙船の(アリサ)から電話を受けた。


「困ったユウリじゃな。今は軌道上じゃろ? 今から帰るのは無理じゃな。しょうがないのじゃ。チエ殿に電話を変わるのじゃ!」


 わたくしは、ため息をひとつしてチエに電話を繋いでもらった。


「リーヤ殿、今回はワシのチェックミスなのじゃ! すまんなのじゃ!」


「いえいえなのじゃ! 勝手にもぐりこんだウチのバカ息子が悪いのじゃ! まったく誰に似たのかや? すまぬが、しばらく頼むのじゃ!」


「了解なのじゃ! お子様2人には、誰も指一本近づけぬのじゃ!」


 わたくしは通信を切り、いたずら坊主の長男、ユウリの顔を思い浮かべる。

 今年10歳になる長男、姉同様、姿は純血の地球人と比べて随分幼いが、頭脳とすばしっこさは年齢以上だ。

 あの子は、わたくしからは多大な魔力、そして黒髪と角を受け継いだ。


 ……まあ、此方(こなた)もタケも、地毛は黒じゃがな。


 日本名、守部 佑理(ゆうり)、異世界貴族名がユーリ(Юрий)・タケシェヴィッチ・モリベ・ペトロフスキーとなる、ペトロフスキー家としても守部家にしても、数少ない男の子、跡継ぎだ。


 今回も、インターネットとかで仕入れた情報を駆使し、コトミなどから助けてもらったに違いない。


「またユウリがイタズラしたんだって? 全く誰に似たんだろうねぇ」


 警備としてわたくしに付いてくれているタケ、白髪も少し増え、ようやく年相応の貫禄も出てきたのだが、わたくしと同じ事を言う。


「そんなのタケに決まっているのじゃ!」


「あれ? そうかなぁ。昔、ザハール様がユーリに襲われた時、僕らの静止を振り切って飛び出して捕まったのは、リーヤさんでしたよね?」


「あ! そうなのじゃが、今更あの時の恥ずかしい事を言うのでは無いのじゃぁ! 此方(こなた)も、もう母親でイイ歳なのじゃからぁ!」


 わたくしは、思わず事実を突きつけられて慌てる。


 ……そういえば、そうだったのじゃぁ。考え無しの暴走突撃は此方の遺伝なのかやぁ!


「えー! まだまだ女子大生で十分通じるくらい若くて可愛いですよ、僕の姫様は」


 タケは、そっとわたくしに近付き優しく抱いて、軽く頭を撫でる。


「此方、前にタケの娘と言われて嫌じゃったのじゃ! 此方は、タケの妻なのじゃ!」


「僕は、可愛いくて綺麗な奥様が、いつまでも若くいてくれて嬉しいですよ」


 タケは、わたくしの顎に手を当てる。


「この、スケベオヤジがぁ」

「リーヤさんが、いつまでも魅力的なのが悪いんですよ。さあ、おしゃべりなお口は……」


 タケは、わたくしの唇をそっと塞ぐ。


 キスをするタケの頭の向こう側、窓の外。

 もうすぐ夕闇になる空の上に、明るい星が見える。


「あれが、たぶんアリサ達が乗る船なのじゃ!」


「じゃあ、子供たちの無事の帰還を待って初仕事解決パーティの準備でもしますか?」


 わたくしの唇から離れたタケが嬉しそうな顔をするので、わたくしはふと「ある計画」を思いついた。


「そうじゃな。じゃが、これから一週間は此方とタケ以外は家に誰もおらぬのじゃ。あのぉ……、3人目は、どうじゃ?」


「もー、エッチなリーヤさんですね。では、お姫様のおっしゃるように致しましょうか」


 わたくしを、お姫様だっこしてくれるタケ。

 わたくしは、嬉しくなってタケの胸に顔を押し付けた。


「此方、いっぱい子供に囲まれるのが夢なのじゃ! タケには、絶対寂しい思いはさせぬのじゃぁ!」


「はい! ずっと一緒に居ましょうね」


 多分、タケとわたくしは、ずっとは一緒にはいられない。

 しかし、別れの日まで、絶対にわたくしはタケとは離れない。

 そう、どこかにいるであろう神に誓った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「リーヤひーひーひーおばーちゃん、これ誰なのぉ? この女の子は、おばーちゃんだよね? 角や尻尾に羽、綺麗な金色の瞳が一緒だもん」


 日当たりの良い縁側に座るアラサー程に見える異世界美女、そこに幼児たち10人程が写真を表示させたデジタルデバイスを持ってくる。


 幼児達は、角や羽、尻尾に耳や金色の瞳など美女(リーヤ)の特徴の一部をそれぞれ持っている。


「この人はじゃな。此方(こなた)の夫、ソナタらの、ひいひいひい御爺様、タケなのじゃ。タケは地球の日本警察の科学捜査官、そして此方は異世界ゼムーリャの貴族令嬢として出会ったのじゃ!」


「その名前、アリサひいひい婆ちゃんやユウリひいひい爺ちゃんから聞いた事あるよ!」


「えー、そんなに違う世界の人が出会って一緒になったんだぁ!」


「どんな出会いだったの?」


 来孫(らいそん)(ひ孫の孫)達に囲まれて問われるリーヤ。


「それはな、楽しい物語なのじゃ。あれはな、此方が100歳過ぎの頃なのじゃ……」


 リーヤは、過去を思い出しながら、にこやかに語る。


 ……タケや。お主の血は、ずっと繋がって此方と一緒じゃぞ!


 その様子を、遠くから東欧系幼女(チエ)が見ている。


「リーヤ殿、お疲れ様なのじゃ! 今後ともリーヤ殿とタケ殿の子孫はワシが見守るのじゃ。しかし、まさかアリサ殿とアキト殿が結婚して、ワシとも親戚になるとは思わなかったのじゃ!」


 そして魔神将(アークデーモン)チエは、虚空を見ながら呟く。


「これで、タケ殿とリーヤ殿の物語はお終いなのじゃ! 読者の皆様、ここまで読んで頂きありがとうなのじゃ! この先も、この世界は、どこかで続くのじゃ。リクエストでもあれば外伝でも続編でも作者殿に書かせるのじゃ。では、また何処かの世界で会うのじゃ!」


(完)


「作者殿、お疲れ様なのじゃ! 今日は最終回という事で、リーヤ殿も連れて来たのじゃ!」


「ほう、お主が此方達の『生みの親』かや? いつも此方を可愛く書いてくれてありがとうなのじゃ!」


 あら! お2人とも、いらっしゃいませ。

 リーヤちゃん、長い事お疲れ様でした。


「此方を可愛く描いてくれた池原殿にも挨拶したかったのじゃ! 池原殿、いつも此方を可愛く描いて頂き、ありがとう存じます、なのじゃ!」


 さて、これで物語が終了。

 ちょうど掲載日が私の54歳の誕生日です。

 53歳の一年間、リーヤちゃんの物語を書いた事になりますね。


「それはメデタイのじゃ! ワシとリーヤ殿でお祝いするのじゃ!」

「そうなのじゃ! お誕生日、おめでとうなのじゃ!」


 ありがとうね、君達。

 さて、次の作品ですが構想はありますが、しばらく一休みしてインプットいっぱいしてから書こうかなと思っています。


 では、長い間ご愛読頂き、ありがとうございました。

 今度とも、リーヤちゃん達を愛してあげてくださいませ!

 また、次の作品でお会いしましょう!


「「今まで、ありがとうなのじゃ!」」


(おしまい)

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