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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第49話 最終決戦! その3:死線のその先に、何がある?

「この障壁の向こうが第2補助炉なのじゃ!」


 チエの乗るM2改7号機が杖で指し示す先には、シャッターで閉ざされた部屋がある。

 そして手前には約20機程のゴレムが立ちはだかる。


「撃ってこないんですね。もう射程には入っているのに?」


「おそらくは、壁役じゃな。あれだけ固まっておると迂闊に接近戦も出来ぬのじゃ。近付いた途端、一気に袋叩きにあって死ぬのじゃ」


 僕の呟きにチエが反応する。

 ゴレムは、レオニードが僕と戦ったときに乗っていた機動兵器の無人型。

 今は要塞内仕様なのか、重機関銃以外の兵器を持たない。


 ……いくら12.6mmとはいえ、あんだけの機体から一斉射撃を喰らったら、M2改でも危ないよね。


 M2、僕が乗っていた初期型よりは、現在の改良型、低率初期生産モデルは、機動性をやや落とした代わりに武装と装甲が強化されている。

 胸部や肩部、前腕部など装甲が分厚い部分なら12.6mmなんかモノともしない。

 その代わり、頭部センサー部などは7.62mmでも簡単に貫かれる。

 更にゴレムの豪腕と殴り合えば、軽量なこちらは圧倒的に不利。

 接近戦をするにしても一撃離脱方式にしないと危険だ。


「でしたら、僕が奥の反応炉共々撃ちぬきましょうか?」


「そうですわね。チエさん、タケちゃんの案は可能かしら?」


 僕は機体に装備された秘密兵器を使う事を意見具申し、マムはその成功可能性をチエに聞いた。


「そうじゃのう。向こうがこのまま手出ししてこぬなら、可能じゃな。では、その案で行くのじゃ。各員、衝撃に備えるのじゃ!」


「はい、では発射準備します。リーヤさん、御願いします」


「了解なのじゃ! 76mm狙撃ランチャー起動。発射位置へ変形移動、脚部固定アイゼン及びパイルアンカー作動なのじゃ!」


 腰部後ろの補助アームに固定されている2つ折のランチャーが前に向きながら1つに繋がる。

 両足裏にアイゼン(スパイク)が立ち上がり、床にアイゼンの爪が刺さる。

 そしてダメ押しとばかりに、外くるぶしにある火薬稼動使い捨て型パイルがドスンと床に突き刺さった。


「反応炉位置よりの照準位置表示、慣性制御全開、ランチャー通電開始、いつでも打てるのじゃ!」


「ありがと、リーヤさん」


 僕はランチャーをしっかりと機体の両手で保持し、指示された照準点を狙う。

 そしてトリガーに指を当て、叫ぶ。


「いきます! 当れー!」


 そして砲口から砲弾が放たれ、機体にはとてつもない反動が襲ってきた。

 僕達が乗る別空間のコクピットも、3D酔い防止のアクチュエーターからの衝撃で大きく揺れた。


 艦砲(オート・メラーラ)を利用したランチャー、口径は昨今の戦車砲よりも小さくても発射火薬量が多く、榴弾でありながら簡単にゴレムの群れを吹き飛ばし、反応炉室の防護壁ごと撃ち抜き、奥の反応炉に着弾、そこで炸裂した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「あの機体サイズで、あのような砲撃を行うとは驚きですね。では、今度は別のプラン、分断後各個撃破にしましょうか」


「はい、了解です」


「チエ、面白い手勢を作ったのね」


 要塞内CICでは、デビット達がまるでシミュレーションゲームの様にタケ達を追い詰める作戦を組んでいた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「タケ殿、機体は大丈夫かや?」


「えーっと、何箇所かレッドですね」


「タケ、足回りがガタガタなのじゃ! アイゼンも一発で壊れたのじゃ。漏電箇所は遮断、補助回路を動かすのじゃ!」


 チエが心配して僕に声をかけてくれたが、予想以上の反動で機体の腰から下で警報が沢山出ている。

 チエ機体からの映像では、僕の蒼い機体の脚部から火花が出ている部分すらある。

 リーヤは、テキパキと破損箇所の迂回をするようにシステムを組みなおしてくれている。


 ……関節部の損傷率高いね。これじゃ、走るのは無理。歩くのでやっとかな。となれば、移動方法は……。


「とりあえず、無理に歩行せずにホバー移動したら、まだいけそうです。スラスターガスも残り8割なので、作戦終了までは大丈夫でしょう」


 僕は、床に深く刺さったパイルを爆破ボルトで廃棄、移動をホバーモードに設定した。


「了解なのじゃ! うーむ、テスト砲撃では問題無かったのじゃが、反動が想定以上だったのじゃ。では、マム殿。次の補助炉まで1.5km、出発なのじゃ!」


「ええ。皆、行くわよ!」

「あい!」


 そして僕達は、更に要塞内を走った。


・・


「えらく散発的な攻撃ですね。まるで僕達を誘っているような?」


「此方も同意見なのじゃ! 罠がこの先にあるのじゃ!」


「ええ、わたくしも同意見です。マユコさん、どうですか?」


「間違いないわね。皆、油断しないで」


「おう!」


 補助炉を破壊して以降、敵の出方が変わった。

 今までは数で押しつぶす様に来ていたのに、散発的に表れて撤退する。

 まるで「巣」に誘っているかのように。


「この先の通路は狭いのじゃ。一列でしか通れないのじゃが、注意なのじゃ」


 チエが指示を出したとおり、僕達が進んでいる通路が急に狭くなっている。

 身長8m級のゴレムなら幅いっぱいになる程。

 4mサイズのM2改でも、2機横に並ぶのは苦しいくらい。


「ここじゃとゴレムでは攻めてこぬじゃろう。じゃが……」


 チエがぼそっと呟いた途端、天井からシャッターが落ちだす。


「危ない!」


 僕は、スラスターを吹かして前に転がる。

 しかし、後方にいた6号機と8号機が間に合わない。


「陛下!」


 僕の直ぐ前に居た、ヴェイッコの駆る漆黒の4号機がスラスターを全開にし、閉まるシャッターの下を滑り込むように滑り込んだ。


 どすん、という音をさせて厚みが1m近いシャッターいや、防御壁が閉まった。


「8号機、陛下、ヒロ! 大丈夫!?」


「慌てるでは無い、タケよ。余もヒロも無事だ。幸いなことにヴェイッコもアヤメも無事に一緒だ」


 壁の向こうから、正確には僕達が操縦するコクピットの隣から陛下の肉声が聞こえる。


「ふぅ。良かった。チエさん、マム、マユコさん。どうしましょうか?」


「地図だと、かなり遠回りすれば合流可能じゃな。ん? しもうた。こちらのルートが防御壁で補助炉に直接行けなくなったのじゃ!」


 イルミネーターに表示された要塞内地図の一部が、先ほどの防護壁作動で大きく変わった。

 これで僕達と陛下は完全に分断。

 そして僕達では補助炉の破壊は難しくなった。


「チエさん。防御壁を僕の大砲で吹き飛ばしましょうか?」


「おそらくは無駄じゃろう。先ほど威力を見せてしもうたのに、対策をせぬ訳はなかろうて。それに、その足では後一回が限界じゃろ。うーむ、想定以上の反動じゃったのじゃ!」


 チエは、珍しく苦虫を噛んだ様な顔をする。

 自分が作った機体の不具合と、敵の策にまんまと引っかかったからだろう。


「エレンウェイさん。こちらからなら補助炉に向かえそうです。まだ弾薬もありますし、陛下と一緒に補助炉破壊に行きたいのですが?」

「ウチのカミサンなら、だいじょーぶさ!


「うむ、ここからが余の仕事なのだ」

「タケ。陛下の事は僕に任せてね」


「チエ殿、マム。拙者達に任せて欲しいでござる!」

「アタイも、もうひと暴れ出来るよ!」


 アヤメや陛下達から、別行動の意見具申が来る。

 幸いなことにヴェイッコが向こうに行ったおかげで、戦力的には不可能でもない。


「わかりましたの。陛下、くれぐれも無茶はなさらないでください。ヴェイッコ、アヤメさん。わたくしの可愛い陛下を宜しくお願いします。わたくし達は主反応炉破壊に向かいます!」


「了解です、マム!」

「あい!」

「僕、子供じゃないんだけどねぇ」


 愚痴る陛下を温かく笑う皆。


「では、全員必ず勝って生きて帰るのじゃ!」

「あいあい!」


 そして僕達は2手に別れて行動を開始した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「さて、まずはこのザコ退治が先かな?」


「陛下、くれぐれも無駄弾を撃たないでくださいませ」


「拙者達が先陣を切るので、フォロー宜しくでござる!」


 漆黒の機体が、まるでウンカの様に沸いてくるゴレムの群れに突撃をした。


「余は負けぬ!」


「わたしも行きますわ!」


 8号機からのガトリング砲撃支援を受けて、黄色の機体が接近射撃戦闘、ガンカ○を仕掛けた。

「しもうたのじゃ! 敵に分断させられたのじゃ!」


 デビット達も必死ですからね。

 これで動力炉を全部落とされたら負けですもの。


「これ以上はやられぬのじゃ! タケ殿の機体もまだ設計甘かったのじゃぁ!」


 鼻息荒いチエちゃんでした。

 では、明日の更新をお楽しみに!


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