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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第42話 アルフ星を襲う恐怖!

「そうなのね。情報ありがとう、チエお姉ちゃん」


「リタ殿も気をつけるのじゃ。母上のところと違い、そちらには戦力が足らぬのじゃ」


「チエ姉貴。リタちゃんの事は俺に任せろって。ぜってえ、アイツらには指一本手出しさせねぇよ。その代わりに、上手いメシ準備しておいてって、マユコさんに頼んでおいてくれや」


「了解したのじゃ。『(ランス)』、お前も死んではならぬのじゃ! では、また続報があれば連絡するのじゃ!



「うん、お姉ちゃんも気をつけて!」


 エルフ族が住まう星アルフ。

 その王宮で、わたし(リタ)はチエお姉ちゃんから、魔神の星セテを襲ったデビットの物と思われる兵器の事を聞いた。

 イルミネーターには、セテでの戦闘映像が映し出される。


「オヤジ、やるなぁ。敵の本拠へ一直線に侵入、敵はそれを嫌がって逃げるんだからな」


「要塞攻略の基本だもん、内部進入は。アニメでも大抵そうだよ」


「姫様、現実は創作物とは違います。確かに今回は効果アリだったのでしょうが、我々エルフでは魔神王のような大暴れは出来ませぬ。姫様には絶対安全で居ていただかなくてはなりません。本来ならば、姫様は地球に避難なさっても良いのですぞ」


 槍お兄さんは、自分の父親が活躍する映像を見て嬉しそう。

 しかし、私の側仕えの老人ルーペットは口煩く、わたしの心配をする。


「ルーペット。そう言ってもお爺様がベットから動けない今、残る王族はわたくしのみ。民衆を守る役目がわたくしにはあります!」


 わたしの唯一血が繋がる肉親の祖父、お爺ちゃんはもう100歳を越えている。


 わたし達アルフのエルフ族は、地球人やアルフに居た現住民族たちと長く混血をしたため、寿命がエレンウェ様のような純粋エルフ種よりも短命だ。

 それでも地球人種よりは長命らしく、以前は80歳くらいだった平均余命も地球医療の活用や上下水道の普及で、100歳越えも珍しくなくなった。

 更に新生児の死亡率も下がったのは良かった。


「せっかく皆の生活が安定して来たのです。ここでわたくしが逃げてしまうのは許されません それに逃げたら、お兄ちゃんやお姉ちゃん達に笑われるもん!」


 わたしは、どんな事があっても諦めなかったコウタお兄ちゃんの事を思い出す。

 わたしの初恋の人、そして大事なナナお姉ちゃんの旦那様。

 最近生まれたアキト君も可愛くて仕方が無い。


「わたしも、早く素敵な旦那様欲しいなぁ」


「姫、この非常事態に何を言われているのですか!?」


「だってぇ、わたしの好きになった男の人はみーんな、素敵なお姉さん達と結婚しちゃったんだもん。ルナお姉ちゃんも、中学時代生徒会で一緒だった森川先輩とお付き合いしているし。あ、今度三木先輩に電話して、元生徒会の皆で宴会しようかな?」


 わたしは、昔の事、地球に来たばかりの頃を思い出していた。

 最初は日本語も話せなかったし、母国語でも難しいことは何も知らなかった


 ナナお姉ちゃんやマユお母さん、そしてコウタお兄ちゃんと一緒に勉強して、また学校や生徒会で一杯色んな経験をしたのが、今に繋がっている。

 その下地があって、わたしは日本の大学まで通えて、どうしたら皆を幸せに出来るのか、その切っ掛けを知ることが出来た。


「リタちゃん、楽しそうだね。そうそう、戦う前から負けた時の事を考えるのは良くないさ。そりゃ、王たるもの。民衆の避難計画とか最悪の事態は考えておかなきゃって俺も思うけど、それはそれさ!」


「うん! 絶対に勝って、また皆で一緒に遊ぶの!」


 わたしは、皆の笑顔を思い浮かべながら、ルーペットと住民の避難計画を話し出した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 チエお姉ちゃんから連絡を受けた一週間後、アルフ星に問題の敵が現れた。


「アルフの民よ。私は、デビット・ウォン。宇宙に平和をもたらすものです。抵抗は無駄です。私に降伏をし、共に宇宙平和の為に働きましょう!」


 都の北方海上に浮ぶ巨大な黒いウニ、飛行要塞からは沢山の無人戦闘機が飛び立つ。

 王宮からは、まるでウニの周囲に沢山の魚の群れが泳いでいる様に見える。


「どうする、姫さん? 俺達、駐留魔族軍だけじゃ、あの飛行機達だけでも手一杯だな。第一、オヤジでも要塞には手出し出来なかったからな」


「そうですね。ルーペット、住民の避難状況はどうなってますか?」


「現在、都の約3割が地下遺跡へと逃げました。残りは兵士達が急いで避難をさせています」


「リタよ。今のアルフの王は其方(そなた)じゃ! 思うようにするのだ!」


「はい、お爺様。いえ、王様。わたくし、リタ・オカモト・フォン・エスターライヒが、アルフを守ります! 皆さん、まずは住民の避難を最優先、特に北の港付近は戦場になります。早く避難をさせてくださいませ」


 わたくしは、脚に力を入れる。

 ここが踏ん張りどころなのだから。


「『槍』お兄様、今からわたくしは、デビットと交渉をします。その間に、魔神の方々は北港付近で待機。わたくしの指示で敵無人機群を突破、要塞内部へ侵入してください」


「了解しました、リタ様。姫さんこそ、無茶しちゃダメだぞ!」


 槍お兄さんは表情を引き締めて、わたしの命令を受けてくれた後、優しい眼をしてわたしの頭を撫でてくれた。


「もう! わたしも24歳、子供じゃないんですよぉ、お兄ちゃん。無茶して勝てるなら、無茶もします。世の中、そう甘くないのですけどね。それよりも魔神の皆さんには、とても危険な事をお願いしてしまいます。申し訳ありません」


「良いって事さ。美人の姫様を守って戦うのは、古今東西宇宙何処でも戦士の誉れ! ぜひ、武勲を挙げてまいります」


 わたしは、久しぶりに子供扱いされた事を嬉しくも恥ずかしくも思い、思わず顔を膨らませてしまった


「ええ、ご武運を!」


 「槍」お兄さんは、戦場へ向かう際にわたしへ手を振ってくれた。


「さあ、ここからがわたくしの戦場です!」


「リタ殿、とても強く美しく成長したのじゃ! ワシの自慢の妹なのじゃ!」


 久しぶりに前作設定を読み直して、リタちゃん視点で話を進めてみました。


「リタ殿は魔法もスゴイのじゃが、とても勉強家なのじゃ! 1人地球に来た時から日本語や社会、科学を学び、そして王族に相応しいレディに育ったのじゃ!」


 チエちゃんも、随分とリタちゃんを可愛がっていますよね。


「じゃって、ワシを最初にぎゃふんと言わせたのはリタ殿じゃぞ。ワシの迷宮での活躍は凄かったのじゃ! その後もナナ殿と一緒にワシを家族に向かえてくれたのじゃ! 感謝しても仕切れぬのじゃ!」


 こうやって、物語を終盤に進めていく上で、過去部分を思い出すと、作者の私も感慨深い思いになります。

 私が作った世界で、チエちゃんを含めて皆「生きている」のですから。


「創造主たる作者殿よ。泣きそうになりながら書くでは無いのじゃ! 笑って物語をハッピーエンドに持ち込むのじゃ!」


 はい、頑張りますね。

 では、明日の更新をお楽しみに!


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