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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第24話 砂塵吹き荒れるエリア51!:その2 算多きは勝つ

 砂塵吹き荒れるエリア51に銃声が響く。


「なんだ、アイツは!? 銃が効かないぞ!」


 アラブ人男性達は、自分達に迫る妙な男達へ銃撃を加える。

 しかし、彼らの持つAKライフルからの銃弾は、男達の身体の周辺で弾かれて一向に着弾しない。


「ふふふ、どうだ! オレの、トニー様の新しい力は!」


 集団の中で戦闘に立つ男、トニーは異世界共通語で叫ぶ。

 彼の右手首から先は、機械とも生物とも判別できない義手で覆われていた。

 タケの狙撃で右手首を飛ばされたトニーは、デビット達によって行われた生体改造により、タケへの怨念も強化されていた。


「おい! タケ! 早く出てこいや! オンナを助けに来ているんだろ! オレは、オマエに飛ばされた手首が今も痛むんだぞぉ!」


 無関係な生贄、元テロリストのアラブ人達に暴言を吐きながら近づくトニー。

 彼の周囲には、灼熱の砂漠でありながら全身、そして顔まで漆黒のボディスーツに身を包む男性らしき者達4人が、アサルトライフルを持ったまま周囲を警戒し時折応戦している。


「な、何をコイツは言っているんだ? それ以前にどうして弾が当たらんのだ!」


 生贄になった男達は、想像もできない事態に困惑する。

 いくら撃っても撃っても、男達の弾はトニーを、そして周囲の男達には当たらない。

 そして向こうは遊び半分に男達を撃ち、1人ずつ倒されてゆく。

 トニー達の周囲には、ぼんやりと光るバリアーらしきものが(まと)っていた。


「バカ共め、いくら撃ってもオレ達にはアタりゃしないぞ。オレ達には弾除けの魔術があるのさ。おい! タケ! 早く来ないとバカなコイツらが全員死ぬぞ! さあ、オマエ達、オレの真の力を見ろ!!」


 トニーが叫ぶと、彼の戦闘服に包まれた身体がボコボコと動き出す。

 そして戦闘服の上半身が弾け飛び、中から異形になった姿が現れた。


「ひ、ひぃ! シャ、シャイターン(サタン)!」


 アラブ男達はトニーの姿、頭部から(ねじ)くれたヤギの角、血の色の瞳、背中からは2対のコウモリの羽を生やし、カギ爪が生えた腕を4本生やして、紫色の(うろこ)に全身が覆われているのを見て、恐怖に陥る。


「さあ、怖がれ! (おのの)け! タケ、まだ出て来ないのかぁ! 臆病なオマエが悪いんだぞぉ!!」


 トニーは右腕を鞭の様に伸ばし、腰を抜かしたアラブ男の一人の脚を掴み、引きずり逆さに高く持ち上げた。


「今からコイツを殺す! タケよ、遠くから何も出来ない自分を恥じろぉ!」


 下級魔神(レッサーデーモン)と融合され、異形と強大な魔力、そして肥大化した怒りを持つトニー。

 もはや、説得も会話も出来る状態になかった。


「さあ、死ねぇ!」


 トニーは、男を掴んだまま右手を上に振り上げた。

 そして、勢いをつけて地面へ叩きつけようとした。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ターゲットロック。シュート!」


 僕は、白黒の視界に捕らえたトニーへ向けて、土嚢に乗せた大型狙撃銃(バレットMRAD)の引き金を引いた。

 銃口から.338ラプア・マグナム弾が超音速で飛び出す。

 その衝撃波は、僕と横に居るスポッター(観測手)が着ている身隠しのマントを舞い上がらせる。

 僕は銃弾発射の衝撃に耐え、ボルト(遊底)を動かして次弾を装填した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ぐぎゃ!」


 トニーの胸ど真ん中に、銃弾が突き刺さった。

 そう、魔力バリアーや魔神の鱗、皮膚装甲を簡単に貫いて。


「う、うぅぅぅ。な、何が起こったんだぁぁ!」


 トニーは撃たれた衝撃で、右手に持っていた男を放り出し、転がったまま撃たれ紫色の体液を流す胸を押さえていた。


「ま、まさか、今度もタケの仕業かぁ!」


 トニーは、銃弾が飛んで来ただろう方角を見る。

 しかし、周囲には砂以外何も見えないし、タケを発見できない。


「ん?!」


 トニーは、閃光を見た気がした。

 そして次の瞬間、撃たれたトニーを警護していた黒ずくめの兵士達が全員撃たれ、吹き飛ばされた。

 そしてその後に、銃声がトニーの耳にようやく聞こえた


「な、なんだ。あんな遠くから撃ったのかぁ!!」


 閃光が見えた場所、それはトニーが撃たれた場所からは800m以上は離れた所にある砂の小山。

 そんな遠くから自分達が狙撃されたのだと、トニーは気が付いた。


「だ、だがなぁ。オレ達は不死身! こんな銃撃じゃ死なないんだぁ!!」


 トニーの撃たれた傷は出血が止まり、早くも塞がり始めていた。

 それは黒ずくめの男達も同じだ。


「ん! なんだぁ!」


 トニーが撃たれた穴から何かの結晶、いや氷の華が咲き出した。


「ま、まさかぁ! 魔法の弾丸なのかぁぁ!」


 トニーの身体が、氷に包まれだした。

 それは周囲の撃たれた黒ずくめ兵士達も同様で、彼らも凍りだした。


「こ、こんなところで、またオレは負けたのかぁ! ち、ちきしょぉぉぉ!!!」


 トニーは大声で悔しがる。

 そして人外になってもタケに勝てない己の身を後悔して凍りついた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ふう、全ターゲット撃破です。CP、どうぞ」


 僕は全員を撃ち倒せたのに安心して、魔力の開放を止め大きく深呼吸をした。

 今回は頭痛も前回魔力開放をした時よりも少ない。


 ターゲット達は全員氷の棺に納められているのが、スコープ越しに見える。


「タケ、見事なのじゃ!」

「ありがとうございます」


 僕の横で双眼鏡で敵を見ていたスポッターから、可愛い賞賛の声が聞こえる。


 ……流石、チエさんとリタ姫達の開発した魔法弾ですね。これで吸血鬼でも殺さずに一発で無力化できます。ありがとうございます。


「こちらCP、コトミ。お見事です、タケシ君。続いて第二ターゲットのところまで移動宜しく。可愛いスポッターちゃんにも宜しくね」


「了解です。では、次行きますよ!」

「のじゃ!!」


 僕は新狙撃銃を持ち上げ、可愛い相棒と共に次の狙撃位置へと移動を開始した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「い、一体何が起きたんだ!?」


 アラブ男達は、周囲の敵がいきなり凍りついたのを見て混乱していた。


「それは、ワシらがお主達を助けただけなのじゃ」


 急に幼女のアラビア語が聞こえ、男達はその声の方向を見た。


「き、キミは一体?」


「ワシらは、お節介焼き、お人好しの異世界戦隊なのじゃ! お主らも危ないから凍っておくのじゃ!」


 東欧系に見える幼女がそう言うと、男達は自分達も凍りだしたのに気が付いた。


「な!」


「安心するのじゃ! 次に眼が覚めたら、全部終わっておるのじゃ!」


 男達は、幼女の笑顔を見ながら凍りついた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「CP,こちらチエ。生贄共も負傷者多数で面倒じゃったから凍らせておいたのじゃ。異次元ポケットに吸血鬼共と一緒に放り込んで置くのじゃ!」


「CP了解です。では、マユコさんの支援を御願いします」


母様(かあさま)に支援が本当に必要なのかや? ワシの本体の方が支援欲しいのじゃ。まあ、しょうがないから行くのじゃ!」


 チエは、文句を言いながら無造作に氷の棺達を掴んではポケットにポイポイ投げ込んだ。

「ワシ、今回は本体じゃないから戦闘支援がメインなのじゃ!」


 チエちゃん、お疲れ様です。

 タケ君の新型武器の準備もお疲れ様です。


「7.62mmNATO弾と12.7mmNATO弾の中間の狙撃銃を探し出したのじゃ。今回のは凄いのじゃぞ。有効射程が1.5kmなのじゃ!」


 口径的には7.62mm(.308)と.338では10%くらいしか違いませんが威力は倍以上、精密狙撃用に開発された専用弾なので強力ですね。


「その分反動も強いし、自動化は無理、ボルトアクション専用なのじゃ。確か狙撃競技専用弾なら1.5kmでも0.5MOA(分角)、210mm程度の着弾誤差と凄いのじゃ!」


 そこにタケ君の「力」があれば無敵ですね。


「今回、タケ殿には便利アイテムを渡しておるしのぉ。更に相棒が『アレ』じゃから、タケ殿は無敵なのじゃあ!」


 さて、誰が相棒、スポッターなのかは、明日以降の更新をお楽しみに!

 ブックマーク宜しくね!


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