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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第15話 魔神将は、母に相談する。 そして悪意は……

母様(かあさま)、相談があるのじゃ!」


 ワシ、魔神将チエは抱え込んだ問題が大きすぎて悩み、案件を母様(マユコ)に相談する事にした。


「なに、改まっちゃって。チエちゃんらしくないわよ?」


 母様は家事の手を止め、とっくに祖母になっているとは思えない美貌でワシを見た。


「実はなのじゃが、……」


 ワシは、今まで暗躍していた事や、伯母上、魔神女帝(デーモンエンプレス)が封印から解かれ、敵方へと付いた事を説明した。


「あら、それは大変ね。確かに厳しいかもしれないけど、リーヤちゃんの奪還を諦めた訳じゃないでしょ?」


「そうなのじゃ。リーヤ殿の奪還は絶対条件、その上でデビットの野望を打ち砕きたいのじゃ。さもないと、ワシ安心して遊べないのじゃ!」


 世界が平和でエンタメが一杯、周囲の人々が幸せに世代を繋いでゆく。

 ワシが望むのは、そのような幸せな世界。

 ヒトの様に子を成す事も出来ず、無限の寿命の為ただ1人世界に取り残されるだろう、ワシのタダ一つの願い。


 ……魔族だろうが地球人だろうが、ワシからすれば(はかな)くて愛おしくてたまらない存在なのじゃ。なんとしても皆を幸せにしたいのじゃ!


「なら、やる事はいつもと同じよ。ただ、今回は異世界帝国の事もあるし、法律的にはわたし達の方が悪者。よく準備して喧嘩売らなきゃね。あ、チエちゃんの叔母様の相手は、わたしがするわね。もちろん、殺さない程度に虐めるわよ」


 母様は、いつも通り笑ってワシの頭を撫でてくれる。


「母様には、いつも無理ばかり言ってごめんなのじゃ。ワシ、悪い娘なのじゃ」


 ワシは、母様の愛が嬉しくなって母様に抱きついた。


「あらあら。久しぶりに泣き虫チエちゃん見ちゃったわ。大丈夫よ、全部わたしに任せてよ。チエちゃんのお母さんになった時から、このくらいの事は想定済みなんだからね。チエちゃん、イタズラも多いけど、ここぞという時は必ず誰か助けているの、わたし好きよ。今回も頑張りましょうね」


 ワシは、知らぬ間に涙を流していたらしい。


「うんなのじゃ!」


「あー、チエお姉ちゃん、泣いてるの?! だいじょーぶ? でも、いいなぁ。おかーさんにヨシヨシしてもらってぇ」


 アンズ殿は、ワシと母様が抱き合うのを見て羨ましがる。


「いいじゃろ! ワシ、頑張ったからなのじゃ。アンズ殿、色々頼む事もあるのじゃが、よろしくなのじゃ!」


「いーよ! またイッパイバケモノ吹っ飛ばすからねー!」


 小学生ながら、もう凄腕の退魔師になっているアンズ殿が実に頼もしい。


「はいはい、アンズちゃんもどーぞ!」


「わーい!」


 ワシとアンズ殿は、存分に母様を堪能したのだった。

 なお、後からナナ殿が赤ちゃんを連れて来て、更に大変になったのは言うまでも無い。


「ボクもヨシヨシしてぇ、おかーさん!」


「はいはい。お母さんなのに、ナナはまだまだ子供ねぇ」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「バトラー。計画(プロジェクト)はどうなっている?」


「はい、『生命の木』に関しましては、女帝(エンプレス)様の協力により、ほぼ完成となっております。また、この研究の一環で吸血鬼の安定生産にも成功しました。彼らを兵士として運用すべく、現在試験運用を開始しました」


 デビットは、ラウンジで魔神女帝(デーモンエンプレス)と共にくつろぎながら、バトラーから報告を受けている。


「実に効率的じゃな、デビット。お主は何を目指すのじゃ?」


「私は、ただ世界に平穏をもたらしたいだけですよ。その為に働く尖兵が欲しいだけですし、世界を永遠に統べる為には永遠の命が必要ですから」


「なんとも可笑しな話よのぉ。望みがあると思えば、自らでは無く他者の為とは……」


 女帝は、妖艶な笑みを浮かべながらデビットを見る。


「では、続きまして『アイアンゴーレム』。試験初号機は予想以上の性能でした。これより先行量産型の試作に入ります」


「実に結構。で『魔道(マジック)義体化(サイバー)(ソルジャー)』は?」


「そちらは、吸血鬼になったものに対して義体化を行い実験中です。再生能力が高いために、なかなか機械の埋め込みに苦戦をしております」


「まあ、そこはしょうがないか。脳内コントロラーの埋め込みは出来ているのだろ?」


「はい、それは無事に出来ています。後は被検体での実証次第でしょうか。幸い、元軍人の老人達が若返って殺戮できると希望者が多いようです」


「ヒトの業かな? こういう愚劣な乱暴モノをコントロールするのも、私の役目だね」


 ソフィアは、微動だにせずに非道な人体実験の内容を聞いている。


 ……ワシ、本当は暴れたいのじゃ。こんなヒト殺し共はとっとと牢獄送りにしたいのじゃ!


 ソフイア、いや魔神将チエは動きたかった。

 これ以上の人死にを見たくなかった。

 しかし、眼の前にいる女帝はチエの事を見ている。

 そう、正体を知りながらも面白そうに、ただただ見ているだけなのだ。


「あ、ソフィア君。すまないね、君には血なまぐさい話で。こういう非人道的な話はもうすぐ終わりだよ。私が世界を取れば、これ以上は何も起きない。私が永遠に地球を、そして異世界や銀河を統治するのだからね」


「は、はい……」


 チエは、デビットの「正体」を見切れずにいた。


 ……こやつ、本当に私欲で動いておらぬのか?


「ええ、それは私の望みでもあります、デビット様。貴方様の事は御爺様、(ワン) 月笙(ユエション)様から頼まれておりますので」


「バトラー、君には両親が亡くなって以降世話になりっぱなしだよ。祖父が首領だった香港三合会(トライアッド)18Kが跡継ぎ問題で、アメリカに移民をしていた私の両親を暗殺し、1人残された私が今の地位につけたのも、君のおかげさ」


「デビット様、ご両親はマフィアの抗争で亡くなられたのですか?」


 ソフィア、いやチエは気になってデビットに聞いてみた。


「ソフィア君には話していなかったよね。もちろん女帝様にも。では私、(ワン) 大為(ダーウェイ)が、どうやってケラブセオン社長デビット・ウォンになったかを話そう……」

「いよいよ敵ボスの正体が分かるのじゃ! これで、どうやったらデビットを停められるか分かるかもなのじゃ!」


 チエちゃん、大忙しですが物語を上手く閉める為にも宜しく御願い致します。


「そこは、まかせて欲しいのじゃ! しかし、伯母上は一体何を考えておるのじゃ? ワシを排除もせずに、面白がっておるのじゃ!」


 そこはチエちゃんと似た者じゃないですか?

 状況を面白くして欲しいのではないかと?

 どうせ、デビットの計画には女帝は面白いから協力しているだけですし、それ以上にチエちゃんが暴れてくれるのも楽しんでいるのでは無いかと。


「うみゅぅ。それなら良いのじゃがなぁ。とりあえずデビットの話聞いてから、母様に相談するのじゃ!」


 では、明日の更新をお楽しみに!


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