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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第9話 検査技師は、説明を受ける。

「タケシお兄さん、ごめんなさい。アタシの監視の眼が外れた時に限って、あんなことになってしまって」


 事件があった翌朝、僕は警察庁へと出向いている。

 庁内の端っこ、まるで倉庫みたいな区画に、超常犯罪捜査室がある。


「いえいえ、ルナさんには日頃から守ってもらっていましたし。それに今回中村さん達が早く僕を迎えに来てくれたのも、ルナさんが知らせてくれたからです。どうも、ありがとうございました」


 僕に平謝りの蜘蛛娘ルナ。

 彼女が僕をずっと警護してくれていたのは、フォル経由で聞いていた。


「しかし、タケシ君は無茶をしたわね。化学薬品で銀の武器を作るなんて」


「まあ、僕に使える戦い方って科学知識と銃の腕くらいですからね」


 アヤメは、半分呆れ気味に僕が行った、吸血鬼退治について話す。


「オレにはちんぷんかんぷんだよ。まー、俺ならホノカグツチ様に頼んで焼いてもらうけどね」


「あら、貴方。そういう事ではカナミの教育に良くないですわ。家に帰ったら、存分に勉強してもらいましょう」


「あ、あやめさん。ちょ、それは勘弁を。オレ、学校をろくに通って無いから、科学とかは……。ぎゃー!」


 狭い室内を鬼嫁アヤメから逃げ回るタクト。

 とても、ここのエースにしてアヤメの夫には見えない。


 ……ここも姉さん女房で、尻にしかれているのね。確かタクトさんは、同じ市内出身だったっけ?


「アヤメさん。夫婦漫才はそのくらいで。タクトさん、僕と同じ市出身だったんですね。チエさんに詳しく聞きました」


「お、そういえばタケシ君、そうだったな。ウチは山ン中だけど、同じ四国民として、頑張ろうな!」


「はいです!」


 とりあえず夫婦喧嘩&漫才を止めた僕。


「そういえば、こちらの人員ってこれだけですか?」


「そうなの。予算も無いし、まず戦えるレベルの術者って居ないのよ。何かあったらマユコさんのところやダンナの家系から戦力を借りて、なんとかしているのが実情ね」


 狭い室内には僕の他、アヤメ、タクトの遠藤夫婦、ルナ、そして嘱託職員の遠藤。

 4人しかいない弱小組織な超常犯罪対策室。

 まだ異界技術捜査室の方が戦力的にも上だった。


「その分、上の課長はマユコさんの同級生で話早いから仕事はやりやすいわ。今回もタケシ君の身柄確保で課長には頑張ってもらったの!」


「その中村課長はどちらに居ますか? 僕はお礼言いたかったのですけど?」


「確か、都内の防犯会議に参加中よ。今回の吸血鬼騒ぎは大問題ね。タケシ君が倒した個体が始祖なのか、それともただの犠牲者なのか。そこで問題が分かれるの。そこで、なんだけど、タケシ君。しばらくウチで働かない? この件が落ち着くまでで良いから」


 僕をスカウトするアヤメ。

 確かに、対策室に入れば拳銃の所持許可も出るし、ケラブセオンも監視や口出しが難しくなる。


「はい。皆様が良ければ、僕はありがたいです。宜しくお願いしますね。では、雇用形態ですけど……?」


「それは、前職と一緒で専門捜査官として、警部補は無理だから巡査部長級扱いでごめんね。その分、手当て一杯つけるから!」


「はいです!」


 こうして、僕は対策室に巡査部長として採用された。

 県警から、警察庁、異界技術捜査室、その後県警科捜研より再び警察庁、国家公務員へとなった形だ。


「やったー! これでオレ事務処理から逃げられるぞー」


「タクトくぅん。帰ったら折檻ね」


「ひぃぃ!」


 いらんこと言って、アヤメに睨まれるタクト。

 夫婦漫才の様子を見て、僕は捜査室での日々を思い出しだした。


 ……あそこでの日々を取り戻すんだ!


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ほう、逃亡した被検体。よりにもよって関東地方で吸血事件を起こしていたのですか」


「はい。幸い被害者が1名の段階で、こちらの局員が被検者を回収しています。ただ、被害者にレトロウイルスが感染してしまったようで、死後グールとして復活をしてしまいました」


 リコリス号の最上階ラウンジ、ホームバーでグラスを磨きながら報告する老戦士、バトラー。

 高級ブランデーを飲みながら、それを聞くデビット。


「で、その成りそこない吸血鬼が、搬送された科捜研で復活。それを退治したのが、例の坊やとは。何の因果でしょうか」


「誠に申し訳ありません。幸い、ウイルスや遺体の記録、映像データについては科捜研のサーバにアクセスし、サーバ異常を装い削除を行っています。残るは直接グールと対決をした坊主ですが……」


「しょうがないです。彼の事は、今後も監視対象としましょう。碌な武器も無いのに、知識で吸血鬼を倒すとは実に素晴らしい。敵対する人物でなければ、彼も欲しいよ」


 タケの事を随分と買っているデビット。


「そ、それは私に対しての嫌味でしょうか?」


「あ、悪く思ったのならすまないね、バトラー。優秀な人物だと思っただけさ。もちろんキミの方が私には必要だ。今後とも頼むよ」


「はっ!」


 少し機嫌を損ねるバトラーに対して、労を労うデビット。


「しかし、魔族化や吸血鬼化がレトロウイルスによる感染、DNA書き換えだったとはねぇ。案外と魔神様とやらも科学的な存在なのかも知れないね。そういえば、ソフィア君は今何処に?」


「今、彼女は姫のお側におります。こちらに呼びますか?」


「いや。お姫様の安眠を邪魔したくないよ。それに、キミとサシで呑むのも楽しいさ」


「ありがたきお言葉にございます」


 夜ふける中、悪巧みは続く。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「タケぇぇ」


 ベットの中で眠りながら涙を流すリーヤ。

 その様子を慈母の表情で眺めるソフィア。


「リーヤ様、もう少しの辛抱なのじゃ、いえ辛抱ですわ」


「泣きながら眠るリーヤ殿を見ておるのは辛いのじゃ。しかし、ワシではまだ動けないのじゃ!」


 チエちゃん、リーヤちゃんの側で護衛お疲れさまです。

 さて、タケ君は対策室へ加入し、武装も出来るようになりました。

 後は、隙が来るのを待つばかり。


「その隙じゃが、近日中に交代でデビットとバトラーが船を離れるのじゃ。ただ、完全にどちらも船から居なくなるタイミングも無いので、これは狙えないのじゃぁ」


 いかな秘書でも予定を知っていても、予定を動かすのは難しいですからね。


「そうなのじゃ。いかなワシが優秀な美人秘書でも限界があるのじゃ! そうそうバトラーが削除したデータはワシが既に回収済みなのじゃ!」


 もうネタバレ気にしないチエちゃんですけど、今回の物語はまだまだ序盤。

 次回、300回記念特別回をお楽しみに!


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