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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第4話 検査技師は、先輩の家に行く。

「ようこそ、我が家へ!」

「ようこそぉ!」


 今日、僕はマサト先輩の御宅、高層マンションへお邪魔している。

 マサト先輩の横には娘、チナツが居て、一緒に僕を歓迎してくれた。


「先輩、これ、どうぞです。チナツちゃん、お出迎えありがとう。来年小学校だって? しっかりしているよね」


 僕はお土産に買って来たお菓子の詰め合わせを先輩に渡した。


「ちーちゃん、お姉ちゃんだもん!」


「あらあら、まだ皆にナイショでしょ? タケシ君、いらっしゃい。気を使わなくてもイイのに」


 マサト先輩の妻、コトミも出迎えてくれた。

 眼鏡美人、まだどこか学生っぽい雰囲気をも残す若奥様だ。


「こんばんわ、コトミさん。え、……という事は!」


「うん、今4ヶ月目かな。つわりも落ち着いて来たところなんだ」


「おめでとうございます!」


 僕は3人に祝福をする。


「ありがとう、タケシ君。もうアタシ、アラサーなんだけど高齢出産にならなくて良かったわ。まあ、マユコさんみたいな例もあるけどね」


 すっかり幸せそうなコトミを見て、落ち込んでいた僕も幸せな気分になった。


 ……確かマユコさんの次女のアンズちゃんって、ナナさんより14歳くらい歳下だったっけ?


「さあさあ、玄関口でいつまでも居ないで、中へどうぞ! 今日はすき焼きパーティだよ!」

「すきやーきー!!」


 マサト先輩の声に続けてチナツが嬉しそうに叫ぶ。


「はい!」


 僕は、すき焼きが準備されているであろうリビングへ案内された。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「かんぱーい!」


 僕は久しぶりに誰と楽しい夕食を食べる。


「ちーちゃん、お肉欲しいの!」


「はいはい、これをどうぞ! 貴方もこれね」


「コトミさん、ありがとう。タケシ君も遠慮しないで、どんどん食べてよ!」


「ありがとう、ありがとうございます……」


 僕は温かい食卓に、思わず涙をこぼした。

 僕が目指した、世界を温かい食卓で満たす夢。

 それすらも、僕はすっかり忘れていた。


「おにーちゃん、痛いの? 痛いの痛いの、とんでけー!」


 泣いている僕の手に、小さな手をかざしてくれるチナツ。

 その優しさがとても暖かい。


「チナツちゃん、大丈夫だよ。すいません、先輩。せっかくの楽しい夕食に水を差しちゃって」


「いいよ、タケシ君。今日は無礼講。どんどん食べて嫌な事吐き出しちゃおうよ」


「そうよ、溜め込んでいても良い事は無いわよ!」


「はい!」


 僕は、いつも以上に沢山食べた。

 こんな食事はリーヤと分かれてから初めてだった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「まだぁ、ちーちゃん起きてるのぉ」


「ダメダメ。さっきからお船漕いでるよ。お兄ちゃんは、また来てくれるから、おやすみなさいしましょ?」


「うん! おにーちゃん、おやすみなさい!」

「チナツちゃん、おやすみなさい」


 コトミに抱かれて子供部屋に行くチナツ。

 すっかり僕に懐いてくれて、いろんな冒険話をさせられた。


「タケシ君、お疲れ様。小さな子のパワーすごいでしょ。僕もいつもアップアップだよ」


「いえいえ。リーヤさんと一緒だった時の事思い出して楽しかったです。というと、リーヤさんは子ども扱いしちゃダメなのじゃ! って怒りそうですが……」


 マサト先輩は、僕にビール缶を差し出す。


「実は、今日はその事もあってタケシ君を招待したんだ。僕がチエちゃんと組んでいるのは、もう知っているよね」


「はい、リタ姫のアイテムとかイルミネーターシステムにも係っていると聞いてます」


 僕はマサト先輩が一口ビールを呑んだのを見て、自分の缶を開けてビールを呑んだ。


 ……今日はビール苦いな。


「チエちゃん情報では、そろそろ動きがありそうなんだ。で、近日中にタケシ君はマユコさんの家に行って、作戦に参加して欲しいんだよ」


「え! もう、そこまで動いているんですか! あ、でも、そんな事、ここで話すのは危ないです。僕にはずっとケラブセオンの監視が付いてます。チナツちゃんまで危険に晒しちゃいますよ!」


 マサト先輩は、チエが作戦、おそらくリーヤ奪還計画を実行している事を話すが、僕は周囲の監視がマサト先輩を巻き込むのを心配する。


「そこは大丈夫。このマンションはチエちゃんがオーナーだから、ちゃんと防音、そして防犯体制もしっかりしているんだ。現に彼らはマンションの玄関近くで待機中だね」


 先輩は、タブレットを操作してマンション監視カメラの映像を写す。

 そこには、どう見ても怪しい2人組がこちらをきょろきょろ見ている。


「誰の眼も無いと安心しているの、ダメだよね。でも、これで安心して話せるよね。元々僕達の関係は職場の先輩後輩。お互いの家に訪ねても不自然じゃないし」


 どうやら、先輩もタダモノではなかったらしい。

 チエやコウタ辺境伯の関係者は、魔法が使えなくても普通じゃない。


「貴方。ちーちゃん、寝かしつけてきたわ。あー、ビール良いなぁ。アタシ、しばらく呑めないのにぃ。タケシ君、無事にリーヤちゃんを奪還した後にアタシにビールオゴリなさい! その代わり、おねーさんは全力で協力するわ!!」


「はい!」


 僕は温かい2人の夫婦の心遣いに、また涙した。


「あらあら。すっかり泣き虫になったのね、タケシ君。リーヤちゃんも泣き虫だったのに感染したのかしら」


「かもですね。ははは!」


 僕は泣きながら笑った。

「マサト殿には今回も助けられたのじゃ。ワシはタケ殿の近くには居らぬから、タケ殿の心は守れていないのじゃ!」


 チエちゃんはリーヤちゃんを守るので必死ですものね。

 でも、ちゃんとマサト君も守るようにしているのは偉いです!


「ワシ、身内を守るのには手加減しないのじゃ! まあ、安めじゃがちゃんとした価格でマンションを売ったのじゃがな」


 オーナーがチエちゃんなら、大安心ですよね。


「ワシ、頑張っておるのじゃ! 資金運用もお手の物なのじゃ!」


 はいはい、チエちゃんは偉いです!


「では、次はコトミ殿による情報開示じゃ。ブックマークをして待っておるのじゃ!」


 では、また明日!


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