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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

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第1話 検査技師は、過去を思う。

 連載開始から1年。

 物語は最終章を向かえました。

 衝撃のシーンで終った前章から、タケ君やリーヤちゃんはどうなったのか。

 そして2人は幸せになれるのか。

 異世界CSI、最終章の始まりです!

 がちゃん!


 僕は、手を滑らせてガラス器具を落としてしまった。


「あ、ごめんなさい。僕が片付けます!」


 僕は急いでガラス破片を拾う。


「い!」


 慌てていたのか、ガラス破片で指先を切ってしまった。

 血がじんわりと出て、指先を濡らす。


「タケシ君、慌てなくても良いよ。あ、指怪我したんだ。ここの後片付けは僕がするから、怪我の手当てしてきてね」


 マサト先輩が僕を心配して見に来てくれた。


「……はい。すいません。伊藤さん」


 僕は、試験室からとぼとぼと歩き、事務所にある救急箱を取り出した。


「守部さん、大丈夫? 最近元気ないよ?」

「ご心配して頂き、ありがとうございます。大丈夫ですよ、僕」


 周囲の心配してくれる人に礼を言い、指を水道水で洗った後に絆創膏を張り、自分の席に戻る僕。

 写真立てを置いてあるけど、そこには満面笑顔の魔族な美幼女が映っている。


 ……リーヤさん……。もう会えないのかなぁ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 異世界帝国、帝都マメルティヌス監獄襲撃の直後に発生した少年皇帝を狙ったテロ事件。

 皇帝ミハイル・ウラジーミロヴィッチ・オルロフは、テロによる爆発に巻き込まれ、意識不明重体となった。


 急ぎ宮廷治癒術師及び捜査室のマム・キャロリンによる治療が行われ、当面命の危機は逃れたものの、少年皇帝の意識は戻らなかった。

 まだ幼く子もいない皇帝の危機に、このままでは帝国存続の危機になると、皇帝に近い血族の貴族達は(こぞ)って跡継ぎ争いを始めた。


 ここで一足早く勢力を纏め上げ勝ち上がったのが、保守派本流にして先々代の皇兄の血筋になる北方セレウコス領主ミロン・パーヴロヴィッチ・スルコフ公爵。

 彼は、皇帝の代行へと就任し、帝国を纏め始めた。


 他の改革派は旗柱たる皇帝を失い、またボリス・ヴェニアミノヴィチ・スダレンコフ子爵等に代表される中間派は、保守派に大人しく従った。


 半月以上、意識を取り戻さない皇帝、帝国の医術では彼の命を保てないと地球の病院へ搬送される事になり、キャロリンが付き添いを行い帝国を去った。


 ここから僕達の運命は大きく変わった。

 スルコフ皇帝代行の命令で、異界技術捜査室は解体、各員に与えられた騎士爵(ナイト)資格及び皇帝直属保安官の役は剥奪された。


 そして僕は武装解除の上、日本へと強制送還、警視庁預かりとなった。


 マムは、新たに皇帝代行の元に設立された親衛騎士団の師団長へとスカウトを受けたが辞退、子供を育てると実家の神殿へと帰った。


 ヴェイッコ、彼は地元帝国最北の地、ヴァレー領の巡回騎士となり、故郷へ錦を飾った。


 ギーゼラは、斡旋される帝都での職を全て断り、ライファイゼンの実家へ帰った。

 一度見た家族の危機から、もう家族から遠くへは離れたくなかったそうだ。


 ブルーノは、元々の雇い主、スダレンコフ子爵の下へと帰り、密偵を続けるとか聞いた。


 フォルは、今まで貯めたお金と辺境伯コウタ、義母のマユコの助けを借り、日本の大学院へと進学、同じく日本の小学校へ通う(ラウロ)と一緒に暮らしている。

 (リア)は、ポータムのコウタの屋敷で住み込みで働いていると聞いている。


 キャロリンは、皇帝と一緒に日本へ行った後の消息が分からない。

 過去に所属していた米軍に戻ったという噂もあるが、不明だ。


 ・

 ・・


 そしてリーヤ。

 彼女は、皇帝代行からの命令で、彼の配下レオニードの補佐として、期間限定ケラブセオンへの外交特務管として派遣されることになった。


「タケ、此方(こなた)はタケとは別れたくないのじゃ!! しかし、もう此方の勝手には出来ないのじゃ。とても辛いのじゃぁ……。うぁぁぁぁ!」


 僕との別れが決まった日、リーヤは僕にしがみ付き大声で泣いた。


「僕もリーヤさんとは別れたくないです!」

「タケぇぇ!」


 ぎゅっと抱いたリーヤの身体がとても小さい。


「此方、早く仕事を片付けて早くタケを迎えに帰るのじゃ! もうタケは此方の夫なのじゃ! 此方はタケの妻なのじゃ! タケの事は一生面倒を見ると約束したのじゃ。此方、タケをヒモにしても良いのじゃ!!」


「もうリーヤさんたらぁ。はい、僕待ってます。男としては夢のヒモですね」


 僕は、泣きながら笑ってリーヤを慰める。


「うふふなのじゃ。その夢かなえるのが此方の仕事なのじゃ! 毎日連絡をするのじゃ!」


「はい、こちらからも連絡します。同じ地球に居るんですから、たまには会えますよね」


「うむ。毎週末にでも会いたいのじゃ! レニューシャには好き勝手させないのじゃ!」


 そう言いあって、僕達は別れた。

 しばらくは毎日連絡が取れたが中々会うことは出来ず、ある時から一週間毎、一月毎と連絡間隔が遠ざかり、そしてぷつんと連絡が切れた。

 メールはアドレスが存在しない、電話をかけても電話番号が使われていないと返され、一切リーヤとは連絡が取れなくなった。

 それが半年前の事だ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「一体何がリーヤさんにあったんだろう。僕の事を忘れちゃったのかなぁ……」


 リーヤと別れて、もう一年程になる。

 今となれば、ポータムでの日々が夢にも思えてくる。

 毎日、小憎らしくて可愛くて楽しい幼女との暮らし。

 「タケ、タケ」と嬉しそうに呼んでくれた毎日。

 あの日々は、もう帰ってこない。


 僕は、県警科捜研から誰も居ないアパートへ帰り、窓越しに金色、まるでリーヤの瞳のような色の満月を見る。


「……リーヤさん」


 頬に涙が流れた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「タケぇ……」


 わたくし(リーヤ)は、1人、真っ暗なスイートルームの窓から満月を見る。


 ……タケも同じ月を見ているのであろうかや?


 涙が頬を濡らす。


「此方、タケにもう一度会いたいのじゃぁ!」


 わたくしは両腕で自分の身体を抱いた。


 ……どうして、このようなことになってしまったのじゃぁ。


 わたくしは、レニューシャがわたくしを得る為に行った事を思い悲しんだ。

「なんと大変な事になっておるのじゃ! 作者殿、リーヤ殿を幸せにするのでは無かったのかや!?」


 チエちゃん、落ち着いてくださいな。

 これには事情があるんですから。


「いかな事情があっても毎日泣いておるリーヤ殿を見るのはワシ辛いのじゃ。早くなんとかするのじゃぁ!」


 はい、書いてて作者も泣いちゃったので、早くなんとかします。

 あれ? どうしてチエちゃんは毎日リーヤちゃんの顔を見ているんですか?


「あ、またしもうたのじゃ! ワシ、早くリーヤ殿を助ける為に動くのじゃ! ばいならー!」


 あ、逃げた。

 全く困った魔神将ちゃんですね。

 では、明日をお楽しみに。

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