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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第9章 捜査その9:終末への序曲、帝国に蠢く闇

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第29話 騎士爵は、CQBをする!

 カツンと時々音がする度に、僕達は周囲を警戒する。


「後方クリアーね!」

「右クリアーじゃん!」

「左クリアーです!」

「正面もクリアー。チエさん、敵はこの奥ですよね」


「ああ、そうなのじゃ。先ほどの偵察では重量級サイボーグ1、突撃歩兵サイボーグ4、ニンジャサイボーグ2じゃった。他に老戦士、これは生身っぽかったのじゃが、こやつが指揮官らしいのじゃ。彼らが囚人を6人連れて居ったのじゃ」


 今、僕達は帝都西南部にある元要塞、マメルティヌス監獄内を進んでいる。

 敵は、米軍義体化(マシンナーズ)小隊(プラトゥーン)

 サイボーグ化された強化兵達。


「僕達、勝てますか?」


 僕は小声でチエに話しかけた。


「そうじゃのぉ。先ほどもタケ殿の覚醒でやっとじゃった。今度はリーヤ殿も居らぬし厳しいかもなのじゃ。じゃが、やらねばなるまいて」


「センパイ、チエ様。怖いことを言わないで下さい」


「ブルっち。覚悟しておけって事。ここがオトコの見せ所だよ!」


「そうね。油断せずに一気に勝負かけましょう」


 監獄内へと突入したのは、マム、ギーゼラ、ブルーノ、僕にチエ。

 リーヤとヴェイッコが負傷で不参加な為に、やや攻撃力に不安はある。

 更に先ほど僕が使った25mm狙撃グレネードガンは、室内では威力がありすぎて使えない。


「おそらく、この先の中庭でヘリを待っておるのじゃ。まともに勝負はしたくないから、屋上へ上がって上から攻めるのじゃ」


「了解よ! 皆行くわよ!」

「アイ、マム!」


 僕達は足音をさせないように、屋上へ上る階段を警戒しながらそっと上った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「タケは大丈夫なのかやぁ」


 わたくし(リーヤ)は、野戦病院となっている監獄外縁で点滴を受けている。

 先ほどまで監獄周辺で行われていた戦闘で被弾したからだ。


「チエ様も一緒だから大丈夫と思うわ。リーヤさんは点滴が終わるまでは動かないで下さいね。そこのワンコ侍(ヴェイッコ)もよ!」


「拙者は大人しいでござるよ?」


 わたくしと同じく銃弾を受けて治療中のヴェイッコを軽く睨むキャロリン。


「うー、しょうがないのじゃぁ。でも此方(こなた)、タケが心配でならぬのじゃぁ!」


「すっかり脳内桃色ね、リーヤちゃん。タケちゃんは、ああ子供っぽく見えてもヤル時はヤル子よ。さっきの『がんかた』は凄かったわね。だからリーヤちゃんの今の仕事は身体を治す事よ」


 キャロリンはわたくしの枕元に来て、わたくしの頭をなでて乱れた髪を整えてくれる。


「そうだったのじゃ! タケのさっきの動きは凄すぎたのじゃ。此方、あんまりはっきりは見えなかったのじゃが、気がついたら全部タケが敵を倒していたのじゃ!」


 わたくし、そしてたぶんタケもアニメくらいでしか見たことが無かった義体(サイボーグ)兵士。

 以前、鉱山事件で見たパワードスーツ同様、アニメ世界の兵器が現実化してここ帝国でも暴れた。


「タケ殿、まるで全部の敵や弾の動きが見えていたようでござった。とても拙者ではあのような動きは無理でござるよ」


「あれは、リーヤちゃんを守りたい一心からの『火事場の底力』。タケちゃんは帰ってきたら、地球の病院送って精密検査ね。絶対、どこか壊れているはずよ。ホント、貴方達を含めて無茶するコ達ばかりで、おねいさんは困るわ」


 ヴェイッコはタケの動きを賞賛し、キャロリンは逆にタケを心配する。


 ……確かにずっとあの動きを生身でやっておったら、此方ら魔族種でも死ぬのじゃ。


「タケぇ。早く無事で帰ってきて欲しいのじゃぁ」


 わたくしは小さく呟いた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 中庭に、サイボーグ兵士に周囲を囲まれ警護されている囚人達が居た。


「まだ迎えは来ぬのか? 我らは本来ならお前ら汚らわしい地球ザルの手を借りぬでも皇帝を討てたのだぞ。それをわざわざお前等の策に乗るのだからな! そこを分かっているのか?!」


 四肢が欠損した魔族種の男は、車椅子の上で偉そうに吼える。


「そうですわ。わたくし、かのような牢獄で美貌が失われてしまいましたのよぉ」


 中年魔族女性は、パタパタと服に付いたホコリを払う。


「オレは、もう一度戦えるのなら、地球の力でも借りるぞ。その代わり、全てが終われば地球にも攻め入るぞ!」


 大柄な魔族男性は、ふてぶてしく叫ぶ。


「あのエルフ女、今度は指先から引き裂いてやるぅ!」


 軽薄そうな魔族男性が、怒りに満ちた声を放つ。


「ワシは、もうお主達とは行動を共にはせぬ。ワシは正々堂々戦って陛下に負けたのだから、死を賜っても当たり前なのだ。もうてこでも動かぬ!」


 老齢の魔族男性は、どすんと地面に座り込み、動こうとはしない。


「アンタら、貴族は勝手だな。オレは助けてくれるのなら悪魔にでも魂を売るぞ。特に銃なんて使って俺の手を吹き飛ばしたアイツに復讐できるなら、なんだってやってやる! だから早くしろ!」


 ただ1人のヒト族、右手首以降がフック状の義手の男は、老兵士を急かす。


「皆様、もうまもなく私共の飛行機械が当地に来ます。それまではご辛抱を」


 老兵士は、1人反抗的な老魔族に顔を向ける。


「マスロフ卿、もう一度聞きます。私共と一緒に来ては下さらないのですか?」


「ああ、例え殺されてもワシは動かぬ!」


「それは残念です。では……」


 座り込んで動かないアンドレイ・マスロフ元伯爵の額に右手で持った拳銃を押し付ける老兵士バトラー。


 そして彼が引き金を引こうとした瞬間、小さな銃声と同時に拳銃が吹き飛ばされた。


「一体誰です!? 殺気も無かったのに!?」


 バトラーは、銃撃で人差し指が欠損した右手を押さえて周囲を見回した。

「最後の狙撃はタケ殿じゃな。覚醒せぬでもスナイパーとしては凄腕なのじゃ! 殺気を放たずに狙撃ができるのは強みなのじゃ!」


 今回は、戦場でも解説でもお忙しいチエちゃん。

 お疲れ様です。

 さて、おっしゃるとおりタケ君の攻撃、今回の狙撃には殺気は乗りません。

 だって殺す気が最初から無いのですからね。

 バトラーを殺す気なら初弾でヘッドショットしてますし。


「つまり指揮官を捕まえる気満々という事じゃな?」


 ええ、事件の全貌が見えない以上、ちゃんと話せるかどうか怪しいサイボーグ兵士じゃなくてヒトの指揮官を確保したいですもん。

 なので、戦闘力を奪うように指飛ばしをやりました。


「実にエグくて見事なのじゃ! さて、囚人共は見覚えのある輩ばかりなのじゃ。これが伏線なのかや?」


 そこは、これからをお楽しみに!

 では、明日の更新まで、さようなら!

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