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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第9章 捜査その9:終末への序曲、帝国に蠢く闇

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第17話 騎士爵は、科学の力で事件を調べる。その2

「では、集まりました情報を報告しあいましょう。まずはキャロリンからどうぞ」


 僕達は捜査室のブリーフィングリームで毎度の報告会をしている。

 キャロリンは前面スクリーンにモザイク入りでガイシャ遺体の観察映像を表示する。


「はい。では、報告いたします。ガイシャ、グレータ・オリアーリの死亡状況ですが、暴行、おそらくなんらかの尋問を受けていると思われます。画面にも表示していますが、肋骨が数本、手足、指複数本が骨折、顔に亀裂骨折、歯の欠損数本、内臓が複数内部出血、後は手指の爪が数本剥がされています。明らかな拷問跡に見えますね。ただ、これらは彼女の死亡原因ではありません。ここからはタケに説明を変わりますわ」


 ガイシャのCT映像には、複数の骨折が見られる。

 それに歯や爪など痛みを感じやすい場所を徹底的に痛めつけられており、明らかに人を拷問する事に慣れた人物の犯行と思われる。


 ……僕は、たとえリーヤさんを害した相手でも、ここまではやらないな。手足に銃弾くらいは撃ち込むだろうけど。その後、命乞いする芋虫状態の相手に冷たく笑って、口に銃口ぶっこんで……。あっぶなーい、僕も危険な考えになりそうだよ。前言撤回、リーヤさんを傷付ける相手には、一切容赦しません!


「はい、変わりました。彼女の最終死因ですが、麻酔薬の大量投与による呼吸中枢麻痺からくる窒息死です。彼女の体内血をGC/MSで分析しましたところ、麻酔薬の一種プロポフォール及びチオペンタールが致死量検出されました。これですが、おそらく自白剤として使用されたと類推されます」


「タケ、自白剤とは何なのじゃ? 麻酔なら眠るのでは無いのかや?」


 僕の報告にリーヤが疑問を投げかける。


「リーヤさん、良い質問ですね。自白剤とは、敵の間者、スパイなどから情報を得るためにフィクションなどで使われる薬剤です。ただ現実ではなかなか上手くいかなくて、今回みたいに致死量投与になってしまう事もありますね」


「それじゃダメじゃん。でも、タケっち。今回の犯人()は、分かって使ったんだろ?」


「はい、ギーゼラさん。おそらくですが、どんなに拷問をしても口を割らなかったグレータさんに痺れを切らして、しょうがなく使ったのかと。自白剤としては脳の理性を司る前頭葉、脳の前半分の機能を麻痺させて、大事な事を話させるのですが、一緒に延髄の呼吸中枢まで麻痺させてしまったのが、今回の事件です。では、後はキャロリンさん御願いします。」


 僕はギーゼラの想像を肯定した。

 酷い拷問跡を見ても、絶対に口を割らなかったグレータの忠誠心はスゴイと思う。


「はい、タケ。ガイシャには注射痕もあったので、タケの想像通りだと思いますの」


「なら、どうしてトドメとばかりに頭を撃たれたのかしら、キャロリン?」


 マムは射撃を不思議に思う。

 それは僕も同じ意見、死んだのなら発見しにくい場所に放置でも良い。

 更に銃創という地球が関与した証拠まで残す必要も無い。


「そこもこれから説明しますわ、マム。まず殺害現場になったのは発見現場では無いですわね。死後硬直がまるで椅子に座った状態みたいになっていたので、拷問中は椅子に座らせていたと思われます。更に路地には犯人は長時間居なかったらしい、またガイシャは発見される2日前から行方不明とヴェイッコ達の聞き込みにもあります。なので、死亡後数時間たった遺体を路地まで運んで、更に頭部の破壊に到ったのではないかと。銃創には生活反応は無いので、死後に受けたものに間違いないですわ」


「まさか復活魔法やネクロマンシーの妨害?」


「さあ、そこまでは魔法に疎いワタクシでは分かりかねます。もしかしたら恨みとかもあったのかしら? 実は彼女の歯から彼女以外の皮膚片が発見されていますの。彼女が襲われる時に噛み付いたのでしょうね。こちらはDNAラボ送りしてますわ。銃弾に関してはタケから説明どうぞ」


 ……それなら、なんとなく理由も分かる。ただ、仕事のやり方が乱暴すぎる。CIAや軍の正規特殊部隊なら、もう少し丁寧にスマートにやりそうなイメージがあるよ。


「はい。銃弾ですが、前回イザッコ・バッティの体内から発見された銃弾と同一機種の.45口径自動拳銃から発射されており、組成・種別より同一メーカ製品と類推されます。よって敵は拳銃の機種を統一化している地球の組織的集団と思われます」


「つまりヤクザとか個人では無いと言う事ね、タケ」


「はい、マム。軍、情報機関、もしくはPMSCでしょう。PMSCならかなり裕福な組織かと」


 マムの問いに僕は正解を出す。


「どうして同じ銃を使うPMSCなら裕福でござる?」


「普通のPMSCなら武器は自分のを持ち込みにして、銃弾の口径だけ統一って場合が多いです。弾さえ一緒なら補給問題も起き無いでしょうし。けど、拳銃すら買い与えて支給する組織なら、資金や補給も余裕あると思われます」


 ヴェイッコの疑問だが、僕は想像と知識の範囲で予想を出す。

 PMSCの映像を何回も見たことがあるが、自動小銃は最低統一化されていても大抵、拳銃は違っていた。


 ……ヨーロッパ系は9mmが主流だけど、アメリカは.45信仰が強いものね。


「っていうかPMSCって何ですか、センパイ?」


「ブルーノさん。それは民間軍事会社っていうのぉ」


 新米捜査官のブルーノに対して、お姉さんぶって説明してあげるフォルが実に可愛い。


「なるほどね。それはヴェイッコ達の報告とも一致しますわ。キャロリン、タケ。ありがとう。では、ヴェイッコ、ギーゼラ。市内での聞き込みと追跡結果を報告してくださいな」


「はいでござる。拙者達2人は帝都内で聞きこみをしたでござるが、途中敵らしき存在に尾行され、逆尾行に成功したのでござる!」


 珍しく自慢げにドヤ顔のヴェイッコ。


 ……逆尾行だって! かっこいいぞ、いぬのおまわりさん!!

「実に気分悪い犯人なのじゃ! しかし、ヴェイッコ殿は見事なのじゃ! 敵のアジトを見つけたのかや?」


 そこは明日の更新をお楽しみくださいね、チエちゃん。


「しかし、ワシの予想する組織が敵じゃと、タケ殿リーヤ殿は苦しくなるのじゃ。作者殿のいけずなのじゃ!」


 えー、そうですか?

 まあ、チエちゃんの予想が当るかどうかは不明ですけど。


「しかし、着々とフラグが立ってきておるのじゃ。先が心配になるのじゃ!」


 伏線管理、ちゃんと考えてますよ。

 最後はハッピーエンドしたいので、応援宜しくです。


「では、明日の更新まで待つのじゃ!」

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