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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第2章 捜査その2:領主暗殺未遂並びに美幼女誘拐事件
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第8話 新米捜査官は、事件に出会う!

「では、もう一度見合いの答えを聞きたい。リーリヤ、ボクと婚約してくれないか?」


 イワンは、下品な顔でリーヤを嘗め回すように見ている。


 今日は、再度のお見合い。

 僕も前回同様、給仕の手伝い、使用人の格好をしてリーヤの後ろで待機している。

 今回はザハールらのご好意で、何かあったときは暴れても良いとの確約を貰っている。

 なので、錦の御旗になりそうなマムからの封書と拳銃を装備している。


 ……どうもザハール様は封書の中身知っているっぽいんだよね。何かあったら使っていいよって、封書見て言ってくれたし。


「前回は、ぼかして言いましたから通じませんでしたでしたのね。イワン様、わたくしは、まだ婚約をする気はございませんの。少なくとも貴方様との御縁は絶対にありませんわ」


 リーヤは、普段どおりのドヤ顔で「アンタなんか、だいっ嫌い」という事を言った。


「え、今ナニを言ったんだい、リリーヤ。キミはボクと婚約するんだよね」


 まだ理解していないイワンを前に、ため息をつくリーヤ。


「では、はっきり申しますわ」


 リーヤは大きく息を吸って言う。


「イワン、此方(こなた)其方(そなた)のような、愚鈍で間抜けで勤労の価値も分からぬ男とは、婚約も結婚もせぬ(しない)のじゃ! もう其方のヒキガエルのような顔なぞ見とうも(見たくも)無いのじゃ! とっとと親元へ帰るのじゃ!!」


 全力でイワンを拒否したリーヤ。

 その様子に、僕だけでなく、その場に居たリーヤの関係者は皆、「よっしゃー!」という顔をしていた。


「な、なんでだよぉ! 今までボクの予言が外れた事なんて一度も無いんだぞ! 予言じゃあ、リリーヤ。キミはボクのお嫁さんになって沢山子供を生むんだ。これは絶対に決まっている未来なんだよぉ!」


 イワンは半狂乱になり、幼子のように手足をじたばたさせて叫ぶ。

 しかし、この言動は明らかに変だ。

 先だっての時も、犯罪の臭いがする発言をしていた。


「今までも邪魔者は皆勝手に死んでいたし、欲しいものは全て手に入れてきたんだ。今までの妻も同じさ、欲しい女の子は全員妻になった。飽きたら何故か死んじゃったけどね」


 ……おい! これは自白に近いぞ。


 本人に犯罪をしている自覚はないものの、不自然な事態が発生し過ぎている

 この発言、今持っている多機能スマホで録音をしている。

 証拠能力としては微妙だけれども、今後リーヤを守る為に使うべきだろう。


「まだ、バカいってるのかや? そこな無能なビヤ樽(イワン)は。とっととここから立ち去るのじゃ! さもなくば、灰にしてくれようぞ!」


 リーヤは立ち上がり、上げた右手に「火炎球(ファイヤーボール)」を生成した。


「ひ、ひぃぃ。そんなバカなぁ。ユーリ、これは夢なのか?」

「いえ、悲しいかな現実でございます」


 イワンは後ろに立っていた老魔族に問いかける。

 老魔族(ユーリ)の目は冷たく、リーヤを凝視していた。


「大丈夫でございます、イワン様。まもなく、リリーヤ様もお立場を理解なされて、イワン様の妻となるかと思います。今日のところはお(いとま)致しましょう。またの機会の際には必ず事情が変わっていますでしょうから」


 そうユーリは言うと、ザハールの方へ向き話す。


「今日のところは帰らさせて頂きますが、必ず近日中にもう一度お伺い致します」


「あ、もう来られなくて結構。もうしばらく娘には縁談はさせませんから」


 ザハールは、しっしという感じでユーリの提案を跳ね除けた。


「そうですか。では、御身お気をつけ致しますように」


 そう、ニヤリとイヤな笑いをしたユーリは、まだ狂乱状態のイワンを連れて部屋から立ち去った。


「ふぅぅ。アレは一体どういうバカか? 親は一体どういう教育をしてきたんだ? ニコライ様には今度会った時に問い詰める必要があるな」


 ザハールは、ため息をつき文句を言った。


「ええ、リーヤ。よく言ってやりました。あんな暗君、当家には必要ありません! ああ、タケ様が長命種であれば、即婚約を致しましたのにぃ」


 ……お母様! 頼みますから、そこで僕をダシに使わないで下さいな。


「うむ、此方もタケとなら考えないでもないのじゃ!」


 ……あれ、リーヤさん。この間と話が違いますよ。僕とは友人関係じゃなかったのですか?


「まあ、これでもうリーヤが困る話は終わりだ。茶も冷めてしまったな。新しいのを入れよう。タケ殿もこちらに座って頂けるかな?」


「はい、ザハール様」


 僕は、皆から離れた場所に座ろうとしたら、リーヤの隣に座らされてしまった。


「うみゅ。タケや、よー其方の顔を見せるのじゃ。ヒキガエルを見て、気分を害したのじゃ。其方のへーぼんでのほほんとした『平らな族』の顔は、見ていて心が休まるのじゃ!」


 ……リーヤさん。それ、僕の顔を褒めていないよね、絶対。


 そうこうしている内に、皆の前に新しく入れられた茶が並べられる。

 まずは毒見としてザハールが飲むべく、お気に入りらしい柑橘(かんきつ)の汁を茶に加えた。


 ……あれ、この茶の匂いって杏仁(あんにん)? こちらで(あんず)茶は聞いた事無いよね。


 そしてザハールの方から臭うアーモンド臭。


 !!


「皆、飲んだらダメ!! ザハール様、早くカップを遠ざけて!!」


「何?」


 僕は大声で叫んだ。

 それを疑問に思ったザハールは茶の匂いを嗅ぐのをやめた。


「タケ殿、一体何を言っているのだ?」

「後から説明します。ザハール様、早くカップを遠くへ」


 僕は椅子から飛び出してザハールの方へ走った。


「な、何が……。う!」


 急にザハールは立ちくらみををしたのか、カップを取り落とし、その場に倒れた。


「リーヤさん、早く風の術でお父様の周囲を浄化して! 皆さん、茶を少しでも身体から遠くへ離して!」

「わ、分かったのじゃ!」


 ザハールの周囲に風が舞う。


「リーヤさんとお母様は、ザハール様についていて下さい。僕は解毒の道具を持ってきます!」

「わ、分かったのじゃ!」


 僕は宛がわれた自室へ道具を取りに走った。


 ……なんでシアンが茶に仕込まれていたんだ!?

 事態は急展開、ここからはタケ君がリーヤちゃん達を救うべく大奮闘します。

 では、これ以降も宜しくお願い致します。


 応援、お頼み申します!

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