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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第8章 捜査その8:リーヤの昔話

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第6話 リーヤ、初めて事件に出会う

「皆、ちょっと話を聞いてくれないかしら。まだフルメンバー揃っていないけど、頼まれ事ができてしまいましたの」


 それは、わたくしが捜査室に入って一月もしない時期、まだフォルもタケも来ていない頃だった。


「はい。なんですか、マム?」

「もしかして事件? アタイ、早く事件を解決したいんだ」

「ギーゼラ殿、慌ててはダメでござる。拙者達、捜査のノウハウが一切無いのでござるよ」

「まだ科学捜査官がこちらに来ていませんから、アタクシでは簡単な事しか出来ませんわよ」


 会議室に集められた、わたくし達。

 マムは、一同の顔を見て話し出した。


「ポータムの貴族街にある衣料品店なのですが、そこの店主が自殺をしたらしいの。でも、そのお店は地球から輸入した高級衣料を販売していて景気が良くて、その上家族仲も良かったの」


 わたくしは、自殺と聞いて血の気が無くなるのを覚えた。


「あら、リーヤさん。大丈夫ですか? 気持ちが悪いのなら無理しなくてもいいですわよ。ただ、捜査室で働く以上人の生き死に係る事は多いの。覚悟が出来ないのなら、お家に……」


 マムはわたくしの顔色が悪いのを見て、心配してくれたが、


「いやなのじゃ! 此方(こなた)、ここで働くのじゃ!」


「でしたら、良いですわ。お話を続けます」


 家に戻されると思い、わたくしはマムに捜査室に居たいと意思表示をした。

 ただ、この際におもいっきり()の言葉、古語でしゃべったのに、誰も反応しなかったのは、不思議だった。

 その為に、わたくし自身「地」を出した事にだいぶ後まで気が付かなかった。


 ……此方、9年前には襲ってきた敵を沢山焼き払いもしたのじゃ。戦わねば守れないのなら、此方敵を倒すのじゃ! じゃから、死体でいちいち怖がってはいられないのじゃ!


被害者(ガイシャ)は、アダーモ・フラーキ。男性、ヒト族、54歳。自殺現場は、店舗付属の倉庫。天井の梁に縄を吊るしての首吊り。遺体は、埋葬前で寺院僧侶の魔法による保存処理(プリザベーション)済み」


 マムは、淡々と自殺した男性の事を話す。

 今までわたくしがあまり知らなかった世界、人は戦争で無くても簡単に死んでしまう。

 そして貴族内での家督争いでも死人が昔は出たと聞く。

 この時、わたくしが住むポータムでも、人は簡単に死ぬという現実を思い知った。


「自殺発見現場は保存……、されていないですわよね」


「ええ、キャロリンさん。発見時に大騒ぎになっていましたし、清掃もされていますの」


 キャロリンがマムに現場について問う。


「しょうがないですわね。皆様にもお教えしますが、事件の現場には必ずなんらかの証拠が残っていますの。それを元に捜査・犯人を特定するのが地球の科学捜査です。今回、ウチには科学捜査員は居ませんが、それでも証拠がある無しでは随分と違いますわ」


 キャロリンは、わたくし達を見ながら説明をしてくれる。

 この時のわたくしや他のメンバーは、捜査に関しては完全に素人。

 いいところ、捕まえて自白させればお終いと思っていた。


「ご遺族、娘さんがガイジャは絶対自殺なんかしない、殺されたに違いないから犯人を捕まえてと、商売柄付き合いの会った貴族の方に訴えて、それが領主代行経由で、わたくし達のところまで話が来たわけなの。だから、まだ御遺体は埋葬前ね。キャロリンさん、検死で確かめて頂けますか?」


「ええ、了解しましたわ、マム。先に縊死(いし)現場について聞きますが、そこに糞尿はありましたか?」


 キャロリンは死亡原因を確かめる医者と聞く、しかし意外な事をマムに聞いた。


「いえ、御遺体は綺麗なものだったそうよ。それがどうしてかしら?」


「通常、首を吊り亡くなった場合、体中の筋肉が弛緩、緩んで穴という穴から内容物、この場合は糞尿が普通こぼれてしまいますの。横になって亡くなっているのならまだしも、吊っているということは重力に逆らえませんし」


 キャロリンの話を聞いたわたくし達、ヴェイッコも含めて渋い顔だ。


「つまり……」

「他殺の可能性が高いですわ。後は、御遺体を解剖して調べますの」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「今では、此方も捜査の基本くらいは覚えたのじゃ! 現場100回なのじゃ!」


「リーヤさん、偉いですね。僕が来る前に、そんな事件があったのですね。確かにその状況では他者による絞殺かと。御遺体の傷を見ればすぐに分かりますね」


 タケは、わたくし(リーヤ)の頭を撫でながら褒めてくれる。

 実に嬉しい。


「それは一体どういう事なんですか? 自分はちんぷんかんぷんです。皆さんのお話が分かりません」


 完全素人のブルーノ、わたくし達の話す内容が一切理解できないらしい。

 わたくしも最初はそうだったので、ちょっと懐かしくて笑ってしまう。


「ブルーノ殿。ここで働く以上は、捜査について勉強するでござる。拙者が地球の刑事ドラマで教育するでござるよ!」


「あ、ヴェイっち。アタイも一緒に見るよ。あいぼーっとか、人情なんたらとか見たいな」


「ワシなら、西部でどっかーんも良いのじゃ! 爆発大歓迎なのじゃ!」


「うふふ、チエさんたらぁ。ではわたくしも勉強になりますから一緒に見ましょうね」


 そこにヴェイッコら仲間達が好き放題自分の趣味を押し付けようとするのが、なお更面白い。

 マムも一緒になるとは、どうやらブルーノをオモチャ認定したのだろう。


 ……これで、タケも少しは楽になったのじゃ。此方がタケで遊ぶのは当然なのじゃが、それ以外でタケを遊びすぎるのは此方困るのじゃ。特にマムと陛下、チエ殿が油断ならぬのじゃぁ!


「アタクシ、バディもののアニメが良いと思いますの。『とらさんとうさぎさん』とかぁ」


「此方もキャロに賛成なのじゃ!」


 更にダメ押しでアニメを主張するキャロリンに同意するわたくし。


「もー、皆暴走しすぎだよぉ!」


「タケお兄さん、もう手遅れなのぉ」


 真面目に困るタケと呆れているフォル。

 随分と休憩中の会話がますます盛り上がったのは、言うまでも無い。

「爆発バンザイなのじゃ! 消防法は怖いのじゃが」


 チエちゃん、結構派手に暴れますからねぇ。


「どっかーんは気持ち良いのじゃ。西部警察では日本中行脚して、各所で爆発どーんしたのじゃ。仮面ライダーV3では四国で島を吹っ飛ばしたのじゃ!」


 島の件は、地域の網本のお子さんがファンで許可出したら、沖合いの島の地形変えるほど爆破しちゃったとか、爆薬持ってかえるの不味いから全部使ったとか、聞いた事がありますね。


「とにかく面白さ優先なのじゃ! ということで、地味な話ばかりつづけてはダメなのじゃぞ!」


 はい、緩急つけますです。

 では、明日の更新をお楽しみに。

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