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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
「戦隊ヒロインのこよみさんは、いつもごはんを邪魔される」など4作品合同コラボ作品 「チエちゃん、ご乱心。異世界でスマ○ラ大決戦!」

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第7話 戦闘終結へ、そして待っていたオチ。

此方(こなた)は絶対に負けないのじゃ! タケのためにも、絶対に負けられないのじゃああああ!」


 リーヤが大きな声で吼える。


 ……うん、恥ずかしいよね。


「あと少しで優勝なのー! おにーちゃんとあまあまするの!」


「メイ、そういうこと言うのヤメロよぉ!」


 メイは、恥ずかしげもなく叫ぶ。

 それをアキラは赤面しながら、(たしな)める。

 いかにも中高生カップルって感じだ。


「あと少し……あと少しで上代くんと……! 負けん! 私は絶対に負けられないんだああああ!」


 ヴレイシルバーも大声で宣言する。

 それを聞いてコウタは困り顔だ。


 残った3人とも「男」を求めてというのは、ちょっと困る。

 僕もその1人なだけに。


 ……もー、リーヤさんたらぁ。


「いくのじゃ!」

「いくのー!」

「参る!」


 そして最終決戦が始まった。


「食らうのじゃ! 全てのモノよ凍てつき、氷の棺に覆われるがよい! 永久凍結地獄(コキュートス)!」


 先手はリーヤ。

 戦闘フィールドを凍結させて滑りやすくするのと、上手くどちらかが引っかかればという感じだろう。


「そう簡単に当たってあげないのー!」

「フ……ぬるい!」


 2人は、凍結範囲から即座に逃げ、その後はフェイントをしながらリーヤに近付いた。


「なれば、こうじゃ!」


 リーヤは部分パワーアップをして羽を大きく広げ、後方へと高く跳び、距離を稼いだ。


「あまねく水の精霊よ、我が願いを聞きとげ、龍となりて敵を襲え、『水龍(ウォータードラゴン)いでよ』!」


 そして全長5m程の水の龍を戦場内へと呼び出し、リーヤはメイとシルバーへと襲い掛からせた。


「わたし、水とはあいしょーわるいのぉ!」


「く! 切れぬ!」


 ……リーヤさん、ここが勝負どころだ!


 僕はじっとリーヤの戦いに集中してしまい、オニギリを作る手が止まってしまう。


「ううん……ウチが世界一好きになった男の子は、やっぱり世界一やった、ちゅうことや」


「そんな風に考えられるのも、世界一素敵なこよみさんがいるから、ですよ?」


「はわ……耕太くん、大好き」


「僕もです」


 そんな中、隣ではバカップル(笑)がますますイチャコラしながら料理を作っている。


「「「「「「「「「「コホン!」」」」」」」」」」


 僕を含めた、退場した全員が咳払いをしてジト目でバカップルを見る。

 チエに到れば、仲睦まじく寄り添い合って調理をしている様子を分身で至近距離からHDカメラで容赦なく撮影している。


 ……もう1人のチエさんは解説席で今も生中継をしているんだ。あれ、録画して試合内容を皇帝陛下とかに送るんだろうか? 僕、また羨ましがられるのかなぁ。


 そして戦いは最後の場面を迎えた。

 2人が水の龍の対処に手こずっている間に、戦闘フィールドの端まで逃げたリーヤは地面に手をつけて、呪文を高らかに詠唱した。


「大地の精霊よ。我が願いに従い、大地を天へと打ち上げよ! 『大地爆裂陣メガ・グランド!!」


 そして発動した呪文によってリーヤの周囲半径1m以外の闘技場の地面は、天高く空へと打ち上げられた。

 もちろん、その上で戦っていた2人を巻き込んで。


 ……あ、あの呪文はリタ姫のお得意技だ。


 確か聞いたところ、古典ラノベのドラ跨ぎ少女が使う呪文がオリジナルらしく、リタ姫がそれを自己流アレンジしたそうだ。

 リーヤは凍結呪文(コキュートス)をリタ姫から教わったのだけれども、大地を吹き飛ばす呪文も一緒に教わったのだろう。


 きゃーという悲鳴がドップラー効果で音域を変えながら、闘技場の場外遠くまで土砂や敷石と一緒に吹き飛ばされていく2人。

 これで勝負あり。

 さあ、後は頑張って料理作るぞ!


  ◆ ◇ ◆ ◇


「優勝は、リリーヤ・ザハーロヴナ・ペトロフスカヤなのじゃ!」


 チエが必殺のドヤ顔で宣言をする。


「お、終わったのじゃ……」


 リーヤ、力を使い果たしたのか、残った敷石の上にぺたんと女の子座りでへたり込んだ。


「リーヤさん、お疲れ様です」


 僕は、料理の手を止めてリーヤのところへ向かい、リーヤが立ち上がれるように手を貸した。


「タケ……此方は頑張ったのじゃ……」


「ええ……よく頑張りましたね」


 僕はリーヤの頭をナデナデしつつ、興奮で紅潮したリーヤの顔を見た。

 リーヤも、うっとり顔で僕を見てくれる。


 ……やっぱり可愛いよね、リーヤさん。


「タケ……これで此方とタケは幸せな結婚を……って、元々結婚する予定じゃから、ひょっとして……あんまり関係なかったのかや?」


「あはは、そうですね。でも……」


 僕はリーヤをそっと抱く。


「あ……タケ……」


「僕とのために、こんなに一生懸命になってくれたこと……僕は永遠に忘れません……愛してます、リーヤさん」


「此方もなのじゃ……」


 僕は、リーヤの戦う姿に感動して、またプロポーズをしてしまう。


「「「「「「「「「「「「コホン!!」」」」」」」」」」」」


 ……あ、またやっちゃった! まあ、リーヤさんも嬉しそうだから良いかな。公衆の面前でキスした訳でも無いし。


 僕は、間近でHD撮影しているチエを半分無視した。


 ……あちらのカップルも良い雰囲気だし、良かったよ。


「ウーン……しかし、そうなったら優勝賞品はナシ、ということになってしまうのう……」


「あ、それでしたら、こうしてはどうですか?」


 チエが賞品の扱いに持て余したので、僕は案をこっそり2つ提案した。

 どうせチエの事だから、それなりに策は準備していただろうけど。


「うむ! それは良いのじゃ! まさにお祭りなのじゃ! それー!」


 そして、その1が発動する。


 どんどんと、闘技場全体を囲むかのように、盛大に次々と花火が打ち上がった。

 まさにスターマイン!


「タケ、綺麗なのじゃ!」


「ええ、そうですね」


 こういうエンターテイメントは、さすがチエである。


「はわあああ……綺麗……」

「そうですね……」


 向こうのカップルも寄り添いあっている。


「みなさーん! 今日はお疲れさまでした! おにぎりと豚汁をご用意しましたので、みんなで食べましょう!」


 コウタによって作られた料理が全員へと配られる。


「食べるのじゃ! 実は密かに楽しみにしてたのじゃ!」


「もう……負けちゃったけど、上代くんのご飯が食べられるんだから、まあいっか」


 どうやら人数分を準備していたのに、青乃という人の分が無い。


「アレ? 俺の分は?」


「あ……あれ……? 全員分用意したはずなんですが……」


 良く見ると、2人に分身したチエが横に並んで料理を食べていた。


 ……もー、チエさんたらぁ。


「えええええ……」


「あ、あははー……」


 うなだれる青乃、苦笑するしか無いコウタであった。


「さて、皆さん食べ終わったら片付けして帰りますわよ。チエさんには、先ほどの紹介について、一言あるんですが?」


 マム、『年齢コミコミでみんなのお母さん』と言われたのが、気に食わないらしい。

 いかな子持ちの女性とはいえ、マムはエルフ種としては乙女の年齢。

 そりゃ、怒るに決まっている。


「それはじゃな、えーっと……」


 2人のチエは、後ずさりしながら逃げようとする。

 しかし、がっちりとその身体は女性の手で押さえられた。


「チエちゃーん。これは一体、どーいう事かしらぁ?!」


 2人のチエが恐れながら振り向くと、そこにはチエの義母にして岡本家最強の女性が立っていた。


母様(かあさま)、これには理由があって……。メイ殿やリーヤ殿達に娯楽を提供しようと……」


 真っ青な顔で言い訳を始めるチエ、しかしマユコに勝てるはずも無い。

 その怒りの波動は、僕達にもビンビンと迫る。


「チエちゃん、ごめん。マユ義母さんの足止めできなかったよ」

「チエ姉ぇ、こんな楽しいこと、身重だってボク見るくらいは出来たんだけど?」


 お腹の大きくなったナナに寄り添う功刀康太辺境伯。


 ……あー、コウタが2人居るからまぎらわしー。


「ご、ごめんなのじゃぁ!!」


 2人のチエが土下座をし始めるも、マユコの怒りは収まらない。


「謝っても今回はゆるしません。相談も無しにこれだけ沢山の皆さんにご迷惑をおかけしたんだから……」


「あ、あのー許してあげてください。悪気があった訳では、ひぃ!」


 僕はチエのフォローに入るも、マユコの一瞥で黙ってしまう。


 ……まるで魔眼だよぉ!! 怖いよぉ!


「タケシ君。今回の件は流石に問題が大きすぎます。チエちゃんには少々オシオキしないとですわ。さて、どうしましょうか?」


 右手を頬にあてて考えるマユコ。

 その気迫といい、美貌といい、とてもアラフィフには見えない。


「今、誰かわたしの歳について考えましたか?」


「「ひぃぃ!!」」


 その場の全員がブンブンと首を横に振る。


 ……思考が読まれちゃう。これ、まるでどっかの鬼によるパワハラ会議だよぉ!


「あ、良い手を思いつきましたの。チエちゃん、コロッセオ治して頂戴。そうしたら、どっちか1人貸してくださらない? 最近、暴れていないから、ちょっと相手して欲しいの」

「は、はいですぅ」


 涙目になっていたチエは急いで立ち上がり、実況席から何か操作をして、ボロボロになっていたコロッセオを治した。


「さあ、行くわよ。今回は無手、武器なしで行きましょ!」


 後は、虐殺ゲームだった。

 マユコが手や足を振るう度に魔力を帯びた衝撃波と真空波がチエを襲う。

 必死に魔神形体で防戦するチエだが、その強固な次元シールドすらも簡単にマユコは貫く。


「ごめんなのじゃぁぁぁ!!」


「あははは! 空牙!! 連続衝撃波弾!! 真空光輪!!」


「マム殿、ごめんなさいなのじゃぁ」


「良いですか? 貴方は力が有り余っていますけど、いつもは人助けに使っていらっしゃるのは素晴らしい事です。ただ、イタズラが酷すぎますの!」


 もう1人のチエは、正座状態でマムにこってり絞られている。


「はあ、もうムチャクチャだね」


「でも楽しいのじゃ!! 此方、もっと強くなるのじゃ!」


 リーヤは、吹っ飛ぶチエを見ながら笑う。

 その可憐さにますます僕は、ほれ込んだ。


「そうですね」


「ごめんなのじゃぁぁぁ!!」


 こうやって、『第一回 異世界! スマッシュバトルシスターズ!』は無事(?)終了した。


 なお、後日談として、無事にメイ達は元の世界へと帰り、他の方々もいつもの生活に戻った。

 ただ、1人を除いて。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ワシ、疲れたのじゃぁ」


「いいえ、今回の後始末はチエちゃん自身がやって下さい!」


 チエ、全員の望みを聞いて、参加賞として限定的ながらそれぞれ叶えた。

 それは僕の提案その2、参加賞くらい全員欲しいと思ったからだ。


 僕とリーヤの元には、結婚情報誌などなど。

 ヴェイッコには小刀、ギーゼラにはご両親などへのお土産、フォル、マムに対してはお子様が喜ぶ高級菓子。

 平行世界のメイ達には科学技術、タカコには極秘美容情報を。

 コウタとコヨミには、ディスティニーランドの1年間有効のアベックパスが送られたそうだ。


「ワシ、今回は良いとこなしなのじゃ。分身作りすぎたのが敗因なのじゃぁ。アンダーカバー(潜入捜査)も大変なのじゃ!」


「チエちゃん、何言っているの? ちゃんと送り先を指定するのよ。(おぼろ)クンを便利に使わないようにね!」


「はいなのじゃぁぁ!!」


 とんと、お終い。

「ワシ、今回は存分に遊べた分、疲れたのじゃぁぁ!!」


 チエちゃん、今回はお疲れ様でした。

 サンボン様のところは、どうでしたか?


「存分に可愛がってもらったのじゃ! また、お世話になりに行くのじゃ!」


 あまり他所様にご迷惑掛けないでくださいね。

 そうそう、ウチ通過してメイちゃんを送ったけど、ここの事はどう説明したの?


「そこは適当に誤魔化したのじゃ! 世界の分岐点じゃと話したのじゃ!」


 まあ、私の作品世界の分岐点なのは間違いないですけどね。

 それで、潜入調査って何ですか?


「それは、もっと後で話すのじゃ! では、皆の衆、読んで頂きありがとございました、なのじゃ! 今後とも作者共々ワシらをよろしくなのじゃ!」


 サンボン様へのお礼は?


「忘れるところじゃったのじゃ! サンボン殿、使い慣れぬキャラばかりでお疲れ様なのじゃ! ワシを存分に使ってくれるとはスゴイのじゃ! また、コラボの時はワシを使うと良いのじゃ。他の作品世界にでもワシはお邪魔できるから、便利に使うと良いのじゃ! 本当にありがとうございました、なのじゃ!!」


 ということで、今回のコラボ。

 2万字級の大作となりましたが、お楽しみいただけましたか。

 次は、2月6日リーヤちゃんの新章でお会いいたしましょう。

 では、また!


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