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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第7章 捜査その7:怪盗紳士「アローペークス」登場!

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第26話 新米騎士爵は、賊を打ち倒す!

 深夜、誰もが寝静まっている時間。

 捜査室の建物に近付く影が数個ある。


「ん!」


 「影」の内、1人がハンドサインをして窓に近付く。

 そして、窓ガラスを割ろうとして苦労をする。


「なんだ、この硬いガラスは?」


 ワイヤー入り二重強化ガラスに苦戦をしていた「影」は、とうとうヤケになって細い針状の短剣を何回も突き刺して、ガラスを破った。

 意外と大きな音が出て、強化ガラスが細かい粒になって割れたのを不思議そうに見ていた「影」だが、すぐにハっとして周囲の様子を確認した。


「ふぅ、音が出てしまったが気が付かれた様子もないな。では、進入するぞ!」

「やー!」


 5つの「影」が建物内に侵入する。

 天上に設置された警報装置が赤いランプを示したのにも気が付かずに。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「一体、これは何が書いてあるんだ? 読めない言葉だし、『紙』も羊皮紙じゃないぞ!」


 「影」は捜査室の事務所に侵入して、書類の束を広げて持ち前の暗視で読もうとするが、読めない。

 日本語で印刷されたコピー用紙の内容が異世界人に読めるはずもないだろう。


「しょうがない。上の階に上がって『処理』をするぞ。この書類を読めるヤツがいなくなれば一緒だ! 別働の部隊にも『処理』するように魔法通信をしておけ」

「やー!」


 「影」達は、黒く塗られた武器を音も無く抜き、足音を立てずに階段を登った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ここは部屋毎にカギがあるのか。一体、何処に誰がいるんだ?」


 「影」達は両方に部屋が並ぶ建物の中できょろきょろする。


「こっちのガラスの向こうには、何かワケの分からんものがいっぱい並んでいるぞ」


 1人の「影」はラボの方へ向かおうとする。


「そっちに行っちゃゃダメ!」


 若い男の声が聞こえたと思った瞬間、「影」の一人は左脚に激しい熱を感じて倒れた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「リーヤさん、戦闘準備出来ていますよね」


「もちろんなのじゃ! 捜査室に忍び込むとは不貞なヤツラなのじゃ!」


「本当に賊が来ているんですかい、タケセンパイ?」


 僕達は、窓ガラスが破られた警報で起きだして、戦う用意をしていた。

 僕は、今回取り回しの良いアサルトライフル(HK417)を準備している。

 リーヤも拳銃(Sig P230JP)を一応装備だ。


 1人、状況が理解できずに深夜に起されたブルーノは、首をかしげつつ剣を持つ。


「ブルっち、ここは電子の要塞なのさ。裏切りはナシだよ。さあて、ここからはアタイの本領発揮するよ!」


「拙者も準備万態でござる!」


「アタクシも、いつでもいけますわよ!」


 ギーゼラは、闇の精霊カンナを纏い、ショットガン片手にいつでも飛び出せる準備が出来ている。

 ヴェイッコも愛用銃(M27 IAR)を抱えて準備万端。

 キャロも護身用にPDW(マグプルPDR)を構えている。


「敵は、かならず行動不能にすること。殺してもかまいません。では、一気に行きますよ!」

「おー!」


 マムが実家に帰っていて居ない現在、何故か指揮は僕が行っている。

 そして、戦闘が開始された。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「そっちに行っちゃゃダメ!」


 僕は、ラボに乱暴に入ろうとしていた賊を見て、つい声を出してしまった後、賊の左脛をライフル弾で撃ちぬいた。


 ……そこの分析機器って僕の給料や退職金じゃ買えないんだぞー!


「しまったぁ。皆、戦闘開始!」

「おー!」


 照明のスイッチを入れたので、急に明るくなった廊下に賊は4人一瞬たたずむ。

 そして眼が眩んで油断した賊に、僕達全員から撃たれた銃弾が襲った。


「ぎゃぁ」


「とどめなのじゃ! 全員凍るが良い! 永久凍結地獄(コキュートス)ちっちゃいバージョンなのじゃぁ!」


 一瞬で勝負がついた上にダメ押しでリーヤが凍結呪文を叩き込み、賊達は氷の棺に閉じ込められる。


「ふぅ。これで状況終了でしょうか。氷結している間は生死の中間ですから、死んでしまう事も無いですし、後からゆっくり正体を確認しましょうか」


「しかし、一体何者なのじゃ? ここを襲うとは怖いものしらずなのじゃ!」


 リーヤは、リタ姫に習った呪文が上手くいったのでドヤ顔だ。


「一端下の事務所で確認しましょう。カメラや集音マイクに証拠が残っているかもしれませんし」


 僕は皆に1階へ向かうよう話したが、ブルーノが氷漬けの賊をじっと見ているのに気が付く。


「ブルーノ、どうしましたか?」


「タケセンパイ、こいつらの顔に見覚えあるんです。ヴラドレンの警備兵の中にいたヤツらですぜ」


「じゃあ、ヴラドレンの指図なのかな?」


「さあ、そこまでは…・・・?」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「え、これは・・・…!」


 一階の事務所では、沢山の紙が撒き散らされている。


「もしかして、事件捜査資料の処分に来たのでござるか?」


 書類を読もうとしていた形跡はあるが、その書類は日本語で書かれていたので、異世界人の賊に読めるはずも無い。


「あ、フォルちゃんが危ないわ!」


「え!」


 防犯ビデオを確認していたキャロが、大声で叫ぶ。

 防犯ビデオには、別働隊に水晶球を使った魔法通信を行っているのが映っている。

 そして音声に「そちらの女を処分しろ」という内容の音声が残っていた。


「しまったぁ! 早く、フォルちゃんの家に行くよ!」


 僕が4WD車のカギを掴み走りだそうとした時、急に事務所の壁が光り、そこにドアが出来、開いたと思ったときにフォルが飛び出してきた。


「みんな、怖かったよぉ!」


 涙目になりながら、ちょうど目の前にいたヴェイッコに飛びつくフォル。

 そして大声で泣き出した。


 また、開いたままのドアからフォルの妹弟(きょうだい)が、恐々(こわごわ)と出てくる。


「一体、何が?」


「そんなのワシの仕業(しわざ)に決まっておるのじゃ!」


 ドアから最後に出てきた魔神将チエが偉そうにしてドヤポーズをした。

「危機一髪だったのじゃ。ワシがデバガメ分身を捜査室全員監視用に準備しておいて良かったのじゃ!」


 ホント、デウス・エクス(ご都合)・マキナ(主義)ですね、チエちゃん。


「ご都合主義と呼べば呼ぶのが良いのじゃ。悲劇なんて面白くないのじゃ。ワシが居る前で、身内に被害は出させない。誰も泣かせないのじゃ!」


 まあ、こちらとしてもある程度危機を演出しやすいので助かりますけどね。


「しかし、今回ワシはあくまで避難をさせただけ。妹弟を守ったのはフォル殿なのじゃ。フォル殿の活躍は明日に見れるのじゃ。楽しみに待つのじゃぞ!」


 という事で、宜しくです!


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― 新着の感想 ―
[一言] よく、417取り回せるな、おれはガッコンガッコン無理だったわ
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