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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第7章 捜査その7:怪盗紳士「アローペークス」登場!

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第8話 新米騎士爵は、警備活動をする。

「マム、どう思いますか? ブルーノさん自身は問題ないと思いますが、他の方が何かイヤな感じがするんですが」


「そうねえ、わたくしも気になりますわね。あら、リーヤ。寝るのなら、ちゃんとシームルグ号の休憩室に行きなさい。まだ予告時間には2時間程ありますから、1時間半は仮眠出来ますよ」


 今、僕達は違法金融業者チェルヌイフ商会で怪盗に対する警備をしている。

 今日深夜0時に目的のモノを盗みに来るという予告がされているからだ。

 店舗前の庭に臨時指令所が設置されていて、近くに停めているシームルグ号から情報端末へ、また照明用のケーブルが沢山伸びている。


「此方、眠くないのじゃぁぁぁ」


 そう言いながらも、リーヤはコクコクと船を漕いでいる。


「しょうがないわね。では、タケ貴方も一緒に休んできなさい。女の子1人で寝かすのも無用心でしょ。貴方が居たら安心だわ」


 マムは苦笑しながら、僕にリーヤを担いでいくように促す。


「はい、了解しました。90分後に帰ってきます」


 僕は忙しそうに荷物を運んでいるヴェイッコや、いろんなところを調べているギーゼラに挨拶をして、お姫様だっこしたリーヤをシームルグ号へ運んだ。


「此方ぁ、眠くないと言って居るのじゃぁ。タケぇぇ」


 眠くないと言いながらも、僕に抱きついて嬉しそうに眠るリーヤ。

 僕はその様子を微笑ましく見ながら、寝袋の中にリーヤを入れ、自分はスマホのタイマーをセットした。

 そしてC4システムで準備をしていたフォルに、リーヤと90分ほど一休みする事を伝えて、座席に座り毛布を被って眼をつむった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「タケ殿、怪盗の命を絶対に守るのじゃ! それが、今後リーヤ殿とうまくいくためのトリガーの一つなのじゃ!」


 ……ん? これはチエさんの声かな?


 深い眠りから覚めかけた時、聞こえたのは魔神将(アークデーモン)チエの声。


「タケ、起きるのじゃ! そろそろ時間なのじゃ」


 ……あれ? 今、僕はどうしていたんだっけ?


「おい、この寝坊すけや。此方を寝かしに入ったタケが本格的に寝入ってどうするのじゃ!」


 ……あ、そうだ! 早く起きなきゃ!


「あ、おはようござます。ごめんなさい、ちょっと仮眠のつもりが本格的に寝てしまいました」


 僕は、眼を開いて周囲を見る。

 そこはシームルグ号のブリーフィングルーム。

 眠そうにしていたリーヤを連れて、僕も一緒に仮眠をしたのだった。


 ……あれ、じゃあさっきのチエさんの声は一体?


 普段なら念話(テレパス)突っ込みが入るはずのチエは、今回は何もしてこない。

 少し不審に思うも、今は仕事が優先だ。


 ……怪盗の命を救えか。僕達は彼を捕まえには来たけれども、殺す気は毛頭無い。ということは、警備兵から怪盗の命を守れって事なのかな?


 一応頭に中に入れて、僕はリーヤと一緒にシームルグ号から出た。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「おう、坊主。いや、モリベ卿だったな。寝起きですまないが、いけそうか?」


 ブルーノは、指揮所の椅子に座り、人懐っこそうな笑顔で僕を半分からかいながら確認をしてくる。


「はい、十分休ませて貰ったので大丈夫です」

「此方も十分なのじゃ!」


「はいはい、お嬢ちゃん。いやリリーヤ様も全開のようだ。これで遠距離攻撃組は、ひと安心だな」


 周囲を見ると、雇われ警備兵の中に弓や石弓を持った人達がいる。


「ブルーノさん、お聞きしたいことがあります。良いですか?」


 僕は指揮所にマムが居ないのを見て、椅子に座りブルーノに聞いてみた。


「なんだ? モリベ卿の頼みとあらば、俺で答えられる範囲でなら答えるぞ」


 豪快な感じだが、どこか人に良さそうな感じがするブルーノ。

 気軽に僕に答える。


「えーっと、まずそのモリベ卿というのは、恥ずかしいので辞めて頂けたらと。僕の事はタケとお呼びください。聞きたいことですが、怪盗の取り扱いです。盗難阻止が優先なのですか? 逮捕が優先なのですか? それとも怪盗を殺すのが主なのですか?」


 僕の問いを聞いて、急に表情を硬くするブルーノ。


「おい、坊主。いやタケか。その事は何処で聞いた? 状況次第によったら、俺はオマエを捕まえて地下金庫に放り込まなきゃならなくなる」


「それは、此方を含めてという事なのかや? ここにおる全員がタケの敵になろうとも、全員を殺して良いのならタケを守る為に、此方は一切手加減なぞせぬぞ! それに殺さずとも、永遠に動けなくする呪法も先日教わったのじゃ」


 僕の横に座っていたリーヤは、ブルーノの言葉に怒りを感じたのか、全力で魔力展開をする。


「お、おい。わ、分かったよ、お嬢ちゃん。いや、リリーヤ様。さっきの話は聞かなかった事にしてくれ。俺たちも命が惜しい。それに考えてみたら、この坊やは悪巧みをするタイプじゃないよな。そうするなら何も聞かずに、後で俺を背中から撃てば済む話だ」


 顔を青くしたブルーノは、リーヤに降参という様に両手を上げた。


「ふむ。それなら寛大なる此方は、何も聞かなかった事にするのじゃ。さて、タケや。其方(そなた)の事じゃ。何の意味も無く、そんな事を聞くのでは無いのじゃろ?」


 リーヤは怒りを抑えて、僕に疑問をぶつける。


「ええ。その辺りの話は、わたくしも聞きたいですわね」


 急にマムの声が聞こえたかと思うと、ブルーノの顔の横にマムの愛剣がぬっと突き出された。


「あ、え、エレンウェ様。こ、これは一体……」


 だらだらと冷や汗を流すブルーノ。

 気配も無しに背後を付かれた恐怖で言葉も出ない。


「いえね。ウチの可愛い子達を虐めるような話を聞いちゃったら、許すはずないでしょ」


 一見可愛い声で話すマムだが、その裏から凄い殺気を放っている。


「お、俺は別に貴方方を敵にする気も無いし、仲良くしたい。だから、その剣を下ろしてはもらえないでしょうか?」


「あらぁ、残念。マユコ様に教えて頂いた、死なないけど激痛が走るツボ攻撃が出来なくなったわぁ」


 マムは、にっこり笑いながら剣を鞘に戻した。


「ふぅ。しかし、あんたらお人好し過ぎないかい。俺には、そういう気は無いけど、ここでいきなりお嬢ちゃんを人質にして何かするとは思わな……」


 マム、僕、リーヤは、それぞれ持っている拳銃を容赦なくブルーノに向けていた。


「……は、はいぃ。俺の負けです。全面敗北ですぅ。頼むから、そのおっかないもの向けないでぇ」


 まったく忙しいんだから、遊ばないでほしいものだ、と僕は思った。

「このブルーノというのはバカなのかや? 相手の二つ名を聞いて居るのに油断してばかりなのじゃ!」


 まあ、拳銃の恐ろしさを知っているだけでも、異世界人としてはマシでしょ。

 それに、この人も十分お人好しだよね。


「まあ、一言多く言って自爆するタイプなのじゃな。そういえばタケ殿の拳銃はSig P365と知って居るのじゃが、マム殿やリーヤ殿の拳銃は知らぬのじゃ」


 そうですね。

 もう少ししたら前に出た話で解説しますが、こちらでは拳銃名だけ書いて置きますね。


 マムの拳銃は第二章で出てきました。

 Sig P239ですね。

 9mmパラベラム弾使用、790g、シングルカラム8+1発。

 薄くて握りやすいので女性向けのモデル。

 相田 裕先生の漫画「ガンスリンガー・ガール」で義体化された少女が使っています。


 リーヤの拳銃は第五章で登場です。

 Sig P230JPですね。

 日本警察が採用している.32ACP弾使用モデル、500g、シングルカラム8+1発。

 小型の自動拳銃で同じく「ガンスリンガー・ガール」内で義体少女が使っています。


 以上です。

 どうも、拳銃ですがSigを多めに選んじゃってます。

 どうしてなのか、作者も不明ですが。


「まあ、趣味は出るからのぉ。そういえばCSIマイアミのホレイショ殿はSig P229じゃな」


 そこは真似はしてませんです。

 ただでさえ白衣を着ないCSIとしてウチのタケ君と被るんですもの。


「まあ、ハードボイルドのホレイショ殿と、お人好しのタケ殿では大きく違うのじゃ!」


 そういう事で、明日の更新をお楽しみに!


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