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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第7章 捜査その7:怪盗紳士「アローペークス」登場!

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第6話 新米騎士爵は、怪盗対策警備のお仕事を受ける。

「皆さん、傾注! 今回のお仕事の説明を致します」


 マムがブリーフィングルームで説明を始めた。


「皆さん、帝都を騒がしています怪盗の事は、ご存知かしら?」


「此方は、お父様に聞いたのじゃ!」

「拙者は初耳でござる。それは、どういう盗人(ぬすっと)でござるか? 拙者、『鬼平犯科帳』は愛読書でござる」

「アタイ、市場のオバちゃんに聞いたよ。なんでも盗んだものを寄付しているんだって」

「アタクシ、ワクワクして調べていますの。異世界で劇場型犯罪を見るなんて。怪盗キッド様ぁ」

「わたしぃ、タケお兄さんから聞きました。言いたいことがあるのなら、犯罪なんてしなきゃいいのにぃ」


 どうやらヴェイッコ以外は全員知っているらしい。


 ……フォルちゃんとは、先日のお宅訪問時の話題で話したんだよね。


「なら、今回の事も含めてざっと説明しますわ。わたくし達が日本へ行く少し前から帝都に予告状を出して、悪徳役人や悪徳商人から堂々と予告時間に盗みを働く怪盗が出ましたの」


 マムは、最初から怪盗「アローペークス」について説明をした。


「ふむでござる。『盗みの三か条』を守り、悪事を暴く怪盗、義賊でござるか。行っている盗みには困ったモノでござるが、そういうのでは帝都では人気者ではないかでござる」


 「盗みの三か条」とは「殺さず、犯さず、貧しきからは盗らず」という正統派義賊が守る(おきて)、ヴェイッコが好む池波正太郎先生が書いた小説「鬼平犯科帳」で言われている。

 主人公の「鬼平」、長谷川 平蔵(はせがわ へいぞう)こと宣以(のぶため)は実在の火付(ひつけ)盗賊(とうぞく)(あらため)(放火、強盗団、賭博を取り締まる役)の長官だったのだが、「盗みの三か条」や「お勤め・働き」など作中の用語は原作者の造語だそうな。


 ……僕も時代劇ドラマ見たことがあるよ。今で言うところの機動武装警察って感じかな? そういう意味では僕達に立場は近いけど。


「ええ、困った事に帝都ではファンが多くて、捕まえようとする警察・騎士団は不人気なのよ。皇帝陛下も困っていて、『余が暴れん坊皇帝が出来ぬでは無いか』とお怒りなのよ」


 苦笑しながら陛下の口調を真似るマム。


 ……ザハール様も言ってたけど、やっぱりそうなのね。陛下なら悪徳役人の屋敷に乗り込んでみたいよねぇ。


「まあ、陛下も役人の不正は暴きたいし、違法な金貸しとかは規制をしたいので、痛し痒しなのよ。わたくしにも、帝都の役人調査を依頼してきたわ。でも、コネが無いからお断りしたのよ」


「それでかや。この間、レーシャお姉様からヴァレリーお義兄様(にいさま)とレナートお兄様が陛下からのお仕事で忙しいという話を聞いたのじゃ!」


 リーヤの姉婿(あねむこ)、そして実兄は帝都で事務方をやっていると聞いている。

 リーヤの関係者&陛下から信用されているザハールの息子達なだけに2人とも不正とは関係もないはずなので、陛下にこき使われて不正を暴いているに違いあるまい。


 ……陛下って気に入った人を大事にする分、こき使うからねぇ。過労にならない事を祈るばかりです。


 僕は、まだ会ったことが無い2人のリーヤの兄の無事を祈った。


「で、マム。その怪盗が僕達の仕事と、どう関係するんですか? まさか帝都にまた行けと?」


「いえ、帝都じゃなくてポータムでの仕事なの。依頼主の辺境伯婦人から、お話ししてもらいますわ」


 そう言って、マムはタブレット端末を起動した。


「はーい、皆! ひさしぶりー! 元気してたー?」


 画面から辺境伯婦人ナナの元気な姿と声が聞こえた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「今回なんだけど、ポータムで最近開店した金融業のお屋敷に、怪盗『アローペークス』からの予告状が来ちゃったの。その金貸しヴラドレンなんだけど、中央でもかなり派手な仕事をやっていて、泣いている人も多いの。でも役人にかなりワイロやらナニやら(みつ)いで上手く逃げていたというのが、陛下情報」


 どうやら困った悪党が、また怪盗のターゲットになったらしい。

 名前からしてロシア語系だから、魔族種なのだろう。


「帝都でやらかしていたのと、怪盗を嫌がったのか、ヴラドレンは最近ポータムに引っ越して来たの。で、今回逃げた先で怪盗のターゲットになったので、領主代行経由でウチのダンナに泣きついてきたの。いくら悪人といっても、怪盗から盗まれるのを無視って訳にもいかずに、仕方が無いけど警備をするというのが話の流れなのよ」


 うんざりって表情を隠さないナナ。

 他所の貴族相手では、表情を崩さずに本心を隠すのだろうけれども、既に友達レベル、いっしょに怪物退治までした仲の僕達には本心を見せてくれているのだろう。


「怪盗の今までの犯罪記録を陛下に送ってもらったんだけど、とても普通の帝国警察や騎士団じゃ相手は無理なの。といって、地球人相手でも無いから、日本警察の出張所に出張ってもらうのも違うよね。そんなこんなでアテになるのは、異界技術捜査室の皆だけなの。無理言うんだけど、お願いできる?」


「そういう事なの。申し訳ないけれど、辺境伯婦人から直々の御願いだから、今回のお仕事を受けます。皆さん、そういう事なので、心積もりはしていてね」

「アイ、マム!」


 こうして僕達の新たなミッションが開始された。

「ほう、悪党がコウタ殿に泣きついたかや」


 まあ、こういう上に寄生するタイプの悪党は、領主に泣きつくのは普通でしょう。


「しかし、後から悪事が暴かれるとも知らずにのぉ」


 そりゃ、コウタくんやナナちゃんが悪事を見逃すはずも無く。

 怪盗に狙われた段階でチェックメイトなんですよね。


「そこが怪盗殿の目論見でもあるかもな。まあ、この先がワシ愉しみなのじゃ!」


 はい、チエちゃん。

 それでは、お楽しみ下さいませ。


「では、明日の更新までにブックマークなぞ宜しくなのじゃ!」

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