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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第48話 美幼女は、愛する人の母親に顔合わせをする。

「リーヤさん、貴方は本当にタケシと結婚したいのですか?」


 母はリーヤに向けて鋭く冷たい目線を浴びせる。


「お母様、それはどういう意味ですか?」


 リーヤは三つ指をついた姿勢から普通の正座に戻る。


「リーヤさん、貴方は、義務や状況に流されてタケシと結婚したいのでは無いかということです。言っている意味は分かりますか?」

「はい、おっしゃっている意味は分かります」


 リーヤ、母の強い視線に負けじと力強く見返す。


「わたくし、タケ殿とは捜査室で知り合いました。そして幾度と無く同じ戦場に立ち、お互いで助け合ってきました。タケ殿は、わたくしの姿・年齢・身分などを一切気にせず、守るべき存在と申して幾度と無く心身ともに守って頂きました。また、タケ殿が犯罪撃退のため、そしてわたくしを守る為に犯人を射殺した際、壊れそうになったタケ殿の心をわたくしが慈しみ一生懸命守りました。なぜなら、そうする事がわたくしのすべき事だと思ったからです」


 リーヤは、これまで僕達が行ってきた事に付いて母に話す。


 ……あちゃー! 心配させると思って射殺した事、母さんには言っていなかったのにぃ。


 案の定、母は僕が射殺した事について聞いた時、顔を青くした。

 もちろん(カナ)も。


「そんな事があったの!? タケシ、どうして母さんに相談してくれなかったの!!」


「ごめんなさい! 母さんやカナに心配掛けたくなかったんだ。でも、今はもう大丈夫だよ。犯人を射殺しなくても無力化できるように毎日射撃の練習をしているし、それでも必要なら手を血に染める覚悟はあるよ。この間の京都でも殺さずに犯人を確保したし」


 僕は母に連絡していなかった事を謝り、今はもう大丈夫なことを言った。


「え! 京都って、まさかあの連続自爆テロのことなの!? じゃあ、一組の爆弾犯が自爆前に捕まったというのはタケシがやったの!?」


 ……あ、しまった。ついしゃべっちゃった!


「タケ、守秘義務違反よ! まあ、しょうがないわね。お母様、ご理解頂いたとおり、あの自爆テロの現場にわたくしたちは偶然立会い、自爆しようとする犯人を取り押さえるのにタケの射撃の腕が活躍し、無事犯人も生かして捕らえる事に成功いたしました。ですから、この事はタケを(とが)めず(ほめ)めてあげてくださいな」


 マムは僕の方を一瞬睨んだ後、母の方へ向きなおし、僕が行った事を話し、立派だったと褒めてくれた。


「おにーちゃん、かっこいい!」


 カナは小さな声で僕を褒めてくれた。


 ……僕、目の前で死人出るなんて嫌だから、治外法権無視して勝手に動いただけなんだけどね。自己中心な行動だよ?


「そうですか。タケシ、アンタ頑張っているんだね。父さんも今頃空の上で自慢の息子だって言いふらしているわ。で、この立派なタケシにリーヤさんはどうしてくれるんだい? まあ、その気はあるのは分かったよ。でもね、血を絶やさぬといって第二婦人、って(てい)のいい事言っているけど御妾(おめかけ)さんをあてがえて、リーヤさんは我慢できるのかい?」


 母は僕の方を向き、微笑で僕を褒めてくれた。

 そして、再びリーヤの方へ冷たい視線を向けて問いかけた。

 妾に僕が取られて悔しくないのかと。


「そ、それは……」

「どうなんだい、リリーヤ・ザハーロヴナ・ペトロフスカヤ!!」


 母はリーヤのフルネームを大きく呼び、強く問いかけた。

 この緊張感に僕、カナ、そして異世界組にチエは声も出せず、固唾を飲んでリーヤを見守った。


「こ、此方(こなた)、ほ、本当は嫌なのじゃぁ!!! タケは此方だけのものにしたいのじゃ。もう誰にも取られとうもないし、一生ずっと一緒に居たいのじゃぁ!!」


 リーヤ、我慢しきれずに涙声になりながら、いつもの口調で大きく叫んだ。


「そうかい。分かったよ。タケシ! アンタはどうなんだい! このお嬢さんを一生愛せるのかい!?」


 母、今度は僕目掛けて強い視線と言葉を浴びせてきた。


 ……そんなの決まっているじゃん。


「母さん、僕はリリーヤ・ザハーロヴナ・ペトロフスカヤを一生かけて愛し守ります。これは彼女や彼女の両親にも誓いましたが、今日母さんにも誓います!」


 僕は、母に堂々と大きな声で宣言した。


「タケぇ……」


 リーヤは、僕の方を涙目で見上げて弱弱しい声で呟く。

 そして他の皆は、大きな歓声を上げた。


「あらまー、こんな事わたくしオロフェアに言って貰えたかしら? フェア、覚えておくのよ。お兄ちゃんお姉ちゃん一生一代の宣言なんだから」

「うみゅ?」


 …マム、フェア君は日本語分からないんですから無理言わないで下さいな。


「拙者、感動でござるぅ!」

「アタイもだよ! アタイ、こんな事言ってくれる素敵な旦那様、欲しいなぁ!」

「あーあ、また先越されましたわ。年下の坊やだと思っていたのに、男の子が立派になるのって一瞬なのですね」

「タケお兄さん、リーヤお姉さん素敵ですぅ」


 ウチの面子、妙に感動しているらしい。

 まあ、適齢期後半のキャロリンが少し恨めしい発言なのは、しょうがあるまい。


「おにーちゃん、見直したよぉ!」


 カナの僕への評価がいまひとつ分からないが、少なくとも改善されたのは間違いないらしい。


「余にはいまひとつ分からぬが、一生一代の大勝負という事は理解できた。余もかのような恋をしたいものだ」


「ワシ上手く翻訳できずにすまんのじゃ。日本語のニュアンスを完全に異世界語にするのは難しいのじゃ!」


「申し訳ありませぬが、陛下の結婚は帝国の運命を左右いたします。もちろんより良い縁談になりますよう努力を致しますが……」


 チエは妙に大人しく、今日は陛下への翻訳以外の行動はしていない。

 そして陛下、恋愛結婚を望むもアレクに嗜め(たしなめ)られる。

 国を代表するものの結婚であれば、政略結婚も普通にありうる。

 アレクが動いてくれるだろうから、陛下のご結婚は子を成すだけの冷たい結婚にはならないとは思うが。


「そうかい、ふう。じゃあ、わたしから言う事は何も無いよ。タケシ、リーヤちゃん。素敵な夫婦になるんだよ」


 母は、硬い表情を崩し、ため息をひとつついた後、僕とリーヤに笑いかけ、僕達の婚約を認めてくれた。


「母さん、ありがとう!」

「お母様、ありがとうなのじゃ!!、タケ、此方認めてもらったのじゃ!! 嬉しいのじゃぁ!!」


 僕とリーヤは母に礼を言ったのだが、その後リーヤが僕に飛びつき抱きつきに来たのは困った。


「ちょ、リーヤさん。ここで抱きつきは勘弁してよぉ」


「ふぅ。どうやらウチのタケシは、尻に敷かれて流されるのかい。まあ、小さいけど年齢は十分リーヤちゃんの方が上の姉さん女房だ。いいんじゃないかい? ねえ、貴方(ひろし さん)


 母は、僕とリーヤがもつれ合うのを見てため息をつきつつ、小声で呟いた。

「ワシ、会話に入る度胸無かったのじゃ。タケ殿のお母様、怖かったのじゃ! 母様(かあさま)と同じくらい怖かったのじゃ」


 それでチエちゃん、ずっと大人しかったのね。


「じゃって、ワシは所詮外様の魔神(デーモン)なのじゃ。一時的には人に寄り添えるのじゃが、ワシの時の歩みと人は大きく違うのじゃ。たとえ魔族やエルフもワシから見ればヒト族と大差なく、いつかは朽ちて居なくなる存在なのじゃ。じゃから、彼らの営みはワシから見たら眩しくて愛おしくてたまらないのじゃ。じゃから、出来るだけ邪魔をせずに見守り、時に助けてあげたいのじゃ」


 だから、今回は真面目にカメラ撮影もしなかったんだね。


「それはそれなのじゃ! 異空間におるワシの分身体が撮影をしておるのじゃ。この映像はタケ殿達の結婚式に上映するのじゃ!!」


 結局、こうやって自らの行為を台無しにしちゃうチエちゃんでした。


「いいじゃん。ワシ、キューピットなのじゃぞ。コウタ殿関係の結婚は皆、ワシが後方支援しておるのじゃから」


 はいはい、了解です。

 では、明日の更新をお楽しみに。

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