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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第44話 新米騎士爵は、更に西へ移動する。

「チエ殿、今日は、何処に此方人等(こちとら)を連れて行ってくれるのかや?」

「余にも内緒というのは、どうかと思うぞ? こちらも休暇の延長処理があるんだからな」


 今日は旅行7日目、朝から山陽新幹線N700Sに乗り、京都駅より一路西へと進んでいる。


「陛下、リーヤ殿。事件の都合で日程が変更ばかりになって申し訳無いのじゃ。今日は、午前中はヴェイッコ殿ご希望の岡山県倉敷刀剣美術館へ行くのじゃ!」


 チエの声にヴェイッコは驚く。


「え――!! 拙者、気絶しそうでござるぅ!!」


「アタイも刃物は見たいなぁ」

此方(こなた)も見るのじゃぁぁ!!」


 そしてドワーフ族らしく鍛冶仕事に興味があるギーゼラ、そして何故かリーヤもご機嫌っぽい。


「ワタクシ、『にっかり青江』様が見えるのが嬉しいですわぁ」

「わたしも、『和泉守兼定』様にお会いできるのが嬉しいですぅ」


 キャロリンにフォルは、どうやら刀剣女子だったようで、その美術館にはゲームに登場する刀剣のホンモノが展示されており、写真撮影も可能なのが嬉しいらしい。


「岡山駅まで、このまま新幹線。岡山以降は瀬戸大橋線をマリンライナーで茶屋町駅までGoなのじゃ! 後はお昼前に児島駅から特急「しおかぜ号」に乗り換えて、そのまま瀬戸大橋を渡って四国へ行くのじゃ!!」


 ……つまり、後は……。


「チエ殿、四国という事は?」

「その通り、タケ殿の実家訪問なのじゃぁぁ!!!」

「此方、嬉しいのじゃぁぁぁ!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「此方、もう食べられないのじゃぁぁぁぁ」


 毎度、僕の布団の上で大の字になって寝ているリーヤ。

 あまりの寝相の悪さに、浴衣は殆ど脱げそうになっていて、下着がちらほら見えそうになっている。


「もう、困ったリーヤさんですねぇ」


 僕は視線をずらしながら布団をリーヤに掛ける。


「チエさん、もう良いですよね。流石に前日には連絡しないと実家の都合もありますから」

「そうじゃな。もう良かろうなのじゃ。明日の昼以降四国入りして夕刻までにはタケの実家へ行くのじゃ!」


 今は、6日目の夜。

 連続自爆テロ事件の犯人達を説得し、証言が得られ始めたとは京都府警からの連絡。

 明日以降も警察庁含めて、それなりに情報をこちらに流してくれるらしい。


 リーヤの横で、もう既に夢の世界の住人になっているヴェイッコを見ながら、チエは今日も優雅に縁側の机で冷や酒を(たしな)む。


「うむ、フルーティな香りが良い銘柄なのじゃ! どうじゃ? タケ殿も呑むかや?」

「珍しいですね、チエさんが僕に酌を勧めるなんて」


 僕も嫌いでは無いので、コップを片手にチエの元へ向かう。


「たまにはサシで男と呑みたい日もあるのじゃ。ホレ、飲み口がいい分呑み過ぎぬようにな」


 チエは、僕の差し出したコップに三分の一程、手に持った一升瓶から注いでくれた。


「ありがとうございます。あ、ホントに美味しいです」


 僕は一口、果実のように香る日本酒を呑んだ。


「タケ殿には今回色々と迷惑をかけたのじゃ。本来、もう少しスムーズにリーヤ殿との関係を調整して、上手くいくようにしたかったのじゃが、ワシには見合いばーさんの技能は無かったのじゃ」


 チエは、僕にすまなそうにして酒を呑む。


「いえいえ、事件までは流石にチエさんが原因では無いですから。それに、僕達は色々と助けてもらってばかりです。本当にありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します」


 僕は、チエに本当に思っている感謝の気持ちを伝えた。


「そう言ってくれれば、ワシも助かるのじゃ」

「まあ、イタズラは適度にしていただけたら、もっと助かりますし、チエさんに惚れたのですが」


 僕は、ふざけて少しイジワルっぽい顔で文句を言う。


「おいおい、ワシからイタズラを取ったら何も残らないのじゃ!! それにタケ殿には、リーヤ殿が居るではないかやぁぁあl!!」


 チエは酒で赤く染まった顔を、更に赤くしてそっぽを向いた。


 そして、夜更けまで僕とチエはサシで呑み、様々な話をしたのだった。

 なお、リーヤは僕が寝る前に無事にチエが寝室まで連れて行き、ちゃんと何も無かった事をマムに報告したんだとか。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ここは地上の楽園でござるぅ!!」

「へぇ! 鍛冶屋の娘のアタイも、びっくりだ。壮観な眺めだよ」

「此方もビックリなのじゃ!!」

「あーん、この刃紋が良いのぉ! 青江さまぁぁ」

「造りが地方や年代によって違うのねぇ。兼定さまの他にも目移りしそうなのぉ」

「わたくしの剣とは、随分と違いますのね」

「余も、もう一本日本刀を欲しくなるな」

「ええ、陛下。私も所望したくなりますです」


 僕達は今、倉敷刀剣博物館に来ている。

 ここでは、眼の前すぐ、触れることが出来そうな距離で日本刀が多数展示されている。

 なお、この場所は、刃物に触れる可能性から小学生以下を入場お断りしているので、フェアは影分身をしたチエが近所の大型ホームセンターに連れて行っている。


「すいません、急に大所帯かつ年齢が怪しい人達を連れてきてしまいまして」

「いえいえ、異世界の戦士の方がご来場とは、当館もメジャーになったものです」


 僕は美術館のキュレーター(学芸員)の方に礼を言った。

 外見上、チエやリーヤは小学生サイズであるが、実年齢は問題ないので、今回は特例として入場を認めてもらっている。

 この辺り、入場に必要な全員分の上履きすら準備済みを含めてチエの事前調査・交渉能力が凄いのである。


「え、ここでは日本刀を買えるでござるか?」

「それなら余も欲しいぞ!」

「陛下、今回日本円はそう沢山は持って来ていませんが。ヴェイッコ殿、これ偉く数字の桁が多い気がしますけれど……」


 日本刀が欲しいヴェイッコ、陛下、アレクは値段表を見てあれこれ言っている。


 ……昭和新刀でも良いお値段しますからね。何故か鎌倉期の古刀まで展示販売しているのは凄いや。ここの異世界人達よりも刀の方が歳上なんだからね。


「ギーゼラお姉さん、わたしとキャロリンお姉さんが日本刀と一緒に写真を撮りたいから、カメラ御願いできませんかぁ?」

「いーよ、フォルん! ゲームに出てくる日本刀かぁ。日本って面白いね」

「ギーちゃん、そうでしょ。貴方も捜査室刀剣女子の会に入会しないかしら?」

「此方も仲間入りしたいのじゃぁ!」

「ワシが分身作って写真撮影するから、全員入るのじゃ!」


 刀剣女子2人は、ギーゼラを仲間に入れようと斡旋をする。

 また、そこにリーヤが割り込もうとしている。

 更に魔神将が入り込み、キュレーターの前で影分身をするのだから、大変だ。


「うーん。これは反りが強いからわたくし向きではありませんねぇ」

「あら、マム。この刀、いえ太刀(たち)ですね。気になるんですか?」


 僕は見事な太刀に見入っているマムに声をかけた。

 なお、比較的反りが深く刃を下にして差したり飾るのが太刀、反りが浅めで刃を上にして差すのが打刀、俗に言う普通の日本刀だ。


「ええ、見事な造りなんだけど、わたくしは刺す技が主なので合わないかなって」


 太刀を見ると平成になって打たれたもので、新しく刃紋も美しい。


「これは太刀といって馬上から片手で敵を凪ぎ切る武器なので、あまり刺す技向きでは無いですね。この太刀は比較的最近作られていますが、本来は800年くらい前から400年くらい前に良く作られたタイプなんです。逆にマム向きなのは、こちらでしょうか?」


 僕は太刀について説明した後、マムに幕末期製作の反りが浅くて(しのぎ)が厚い打刀を紹介した。


「これは日本史上、もっとも刀による殺傷事件が多かった江戸末期幕末の時代の作品です。実践的な刀で、切る事はもちろん、刺すのを重視した造りになっていますね」

「あら、これは使いやすそうだわ。あ! でも、お値段が手が出ませんわね」


 この後、刀剣購入にクレジットカード払いが可能な事に気がついた陛下とヴェイッコが、マムに頼み込んで捜査室名義のカードを使うかどうかで、大騒ぎになったのは、お約束なのか?


「すいません、カードの支払い限度額超えているんですが……」

 倉敷刀剣美術館は、比較的近所なので作者も行ってみたい場所です。

 岡山県には、他にも備前長船刀剣博物館もあるので、刀剣女子は行ってみてはどうですか?


 では、いよいよ四国入りするタケくん達です。

 明日の更新をお楽しみに。


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