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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第43話 魔神達は、犯人をも癒す。

「じ、じゃあ一体オレは、どうしたら良かったんだよぉ!」


 チエ・リーヤ、2人の魔神に説得された爆弾犯トーマスは涙ながらに叫ぶ。


此方(こなた)が思うに、一度愛する家族の下へ帰ってゆっくりしたら良かったのじゃ。慌てて社会に戻る必要なぞ無いのじゃ。その慌てる気持ちと隙をテログループは利用したのじゃ!」


「ワシも同意見なのじゃ。心の傷はすぐに治るものでもないのじゃ。愛する人々の中で適切な医療施設と相談して行動すれば良かったのじゃ。しかし、これはお主だけの責任でも無いのじゃ。アフターフォローが甘い米軍にも問題ありなのじゃ!」


 超絶美形魔神2人は、トーマスを慰める。

 因みに今は会話だけでなく念話(テレパス)を併用しての説教。

 心の中まで説話が染みとおる訳だ。


 ……ある意味チート&インチキだけど今回は時間も少ないし、犯人自身も救うのならしょうがないよね。


「も、もう手遅れなんだよ、オレは。だって……」


「あれ? トーマス、貴方大きな罪は犯していないですよ。僕達が未然に終わらせたのですから」


 僕は自分の状態を手遅れと嘆くトーマスに、事実を話す。


「え、だって?」

「自爆は阻止、犯行前に全員逮捕。そうですね、銃刀法違反、爆発物所持、暴行、傷害。せいぜい、こんなところかと」


「そうだな。幸いな事にオマエらは他のグループと違い、自爆に遅れたおかげで大きな罪を犯すことなく逮捕確保された訳だ」


 オオムラも苦笑いで僕の言葉を裏付ける。


「ですから、これからの証言、情報提供次第では情状酌量、司法取引も不可能ではありません。このまま『死ね』と命令を出すだけの本当の『悪』に騙されて犯罪者として裁かれるのか、罪を償い『悪』を倒す切っ掛けになるダークヒーローになるのか、それを決めるのは貴方次第ですよ?」


 僕は、ダメ押しに司法取引の話を出す。

 もちろん、これを決めるのは日本の司法ではあるが、ちゃんと罪を償うのであれば、良い事は必ずある。


「わたくしは異世界の公安組織のものですが、真の悪を放置は許せませんの。ですから、貴方には正しい選択をして欲しいものですわ」


 そう言ってマムはトーマスに歩み寄り、僕が撃った事で人差し指を欠損した彼の右腕を軽く押さえ、祝福を贈る。


「痛いの痛いの、とんでけー!」

「マム殿、サービス良いのじゃな。ではワシからもじゃ! ほいな!!」


 更にチエもトーマスの右手にタッチし、光を放つ。


「いぎゃぁぁぁぁ? あれ、痛くない、っていうか、指が戻ったぁ!」


 トーマスの欠損したはずの右手人差し指が元通りに再生をしていた。


 ……マム、チエさん。少しサービス過剰ですよ。まあ、指無いと今後仕事に困りますから、このくらい証言してくれるのなら良いかな?


「これは貴方に対する祝福ね。もう分かるわよね。どうすれば良いのか?」


 マム、お母さんの顔でトーマスの顔を覗き込む。


「あ、ありがとうございます。神様は、本当はこんなところにいらしたのですね?」


 涙を隠すことなく、ダクダクと泣くトーマス。


「ワシらは神でもなんでもない。ただ、少しだけ力を持つだけの存在なのじゃ。そして悩み苦しみながらも、善なる道、より皆が幸せになれる道を目指しておるだけなのじゃ! 神とは己の心の中にある存在なのじゃ。己が善であれば神も善であり、悪になれば悪神となる。汝の隣人を愛せよ、とイエスは述べて()るのじゃろ。この隣人には異教徒、そして異世界や異界の者も含まれるのじゃ! お互いに話し合い認め合い、寄り添いあっていられるのなら、すべては愛すべき隣人たちなのじゃ!」


「そうなのじゃ! 人類いや、知的生命体は皆友達! 此方も、この地球人のタケが恋人なのじゃぁ!!」


 切々と説教を始めるチエ。

 こういう事をするから、信者が増えてゆくのだと僕は思った。

 そしてそれに便乗して僕の彼女宣言をして僕をハグするリーヤ、まったく油断も隙も無い。


 ……リーヤさん、恥ずかしいんですけどぉ。


「は、はい。オレ達が間違っていました。戦場から帰った時、行き場所を失い社会から追い出された際、オレは孤独となり、受け入れてくれなかった社会を恨み、その恨みで身を焦がしていたのです。しかし、それではダメだったのですね、魔神様!」


 涙ながらにキラキラとした眼でチエ達を見るトーマス。


「お、おい! ワシは全能なる神でも、なんでもない。ただのお節介焼き、片付け苦手な魔神なのじゃ。信仰は己の中の神とするものなのじゃ! ワシを参考にするのは良いのじゃが、崇拝するのは違うのじゃ! そこを間違えたら同じ失敗になるのじゃぞ!」


 毎度信仰されるのを嫌がるチエ、慌てて否定をする。


「は、はいです、チエ様!! エルフのお嬢様にも、そこな魔神様(リーヤ)にも感謝致します。」


 すっかりチエの信者になってしまったトーマス。

 これで事件について情報が入るのであれば良いし、トーマス自身も救われるであろう。


「だ、だからワシ、神様じゃないのじゃぁぁ!!」


 魔神将(アークデーモン)の叫び声が警察病院内に大きく響いた。


 なお、他の実行犯にも同様な説教&祝福を行う事で全員からの証言が得られる事になったのは、言うまでも無い。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「なあ、ミナカミ。これ、どう供述書に書いたら良いんだ?」

「オオムラさん、こんなのオレにも分かるはずないですって。おい、モリベ。これはオマエの仕事なんだから、オマエが書けよ!!」


「はあ、そうですよね。テレパス使って、魔神になって、怪我治して説得なんて、警察の公文書に残せないですよねぇ。マム、こういう場合は、捜査室でどういう書類にしていましたっけ?」

「あら、そんなのは適当に、でも大事なところは書くものよ。タケ、お仕事頑張ってね!」


 警察同士で書類作成業務の擦り付け合いがあったのは、やむをえないことであろうや。


「はあ、これ徹夜仕事になりそぉー」


「ワシ、崇拝されるのはイヤなのじゃぁぁぁ!!」

「タケ、此方、何手伝えばいいのじゃ?」


 僕のため息と、幼女に戻った「のじゃっ子」達の叫びが重なる京都であった。

「しかしタケ殿を始め、皆お人好し過ぎるのじゃ! 犯人の怪我治してやるとはサービス過剰なのじゃ!」


 そういうチエちゃんも、お節介焼き過ぎですけどね。


「ワシは別に良いのじゃ。ワシが気持ちよいから、勝手にやっているだけなのじゃ!!」


 はいはい、そういう事にしておきますね。

 さて、これで事件についての情報が入手出来ました。

 これが、タケ君達の日本観光にどういう影響を与えるのか、今後の展開を乞うご期待下さいませ。

 では、明日の更新をお楽しみ下さいませ。


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[一言] トーマスに幸あれ
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