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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第40話 新米騎士爵は、テロが許せない。

「ふぅぅ。なんか行く先々でイベントに事件なんてイヤですねぇ。まるで、どっかの少年探偵(コ○ン)じゃないんですから」


「そんなの此方(こなた)に言われても、どうにもならないないのじゃ! 陛下も事件でのロス分は休暇を延長してくださるのじゃ。気にせず遊ぶのじゃ!」


 今は事件のあった5日目の夜、僕達は前日に止まっていた京都の高級旅館にもう一度宿泊している。

 事件解決に役に立ったという事が警察から旅館側にも連絡があり、更に非公式ながらも異世界帝国皇帝の定宿となったので、機嫌良くお泊りさせて頂いており、料理も手加減の無い京料理が今晩も食べられた。


「で、なんで今日もリーヤさんは僕の寝室に来ているんですか? もうエッチな事なんてしませんよ!」

「そんなの期待はしておらぬのじゃ!。第一、今日はヴェイッコも起きて居るのじゃ!」


 リーヤ、このところ油断したら僕の寝所に潜り込んでくる。

 もちろん僕はリーヤを「(けが)す」気は毛頭ないから、先に寝出したリーヤを背負って、マム達の部屋に連れて行くのが定番になりつつある。


 ……背負った時の背中の『感触』は御褒美なのか、辛抱しないといけない案件なのか。リーヤさんは、まだまだ軽くて小さいから良いけどね。


「タケ殿、リーヤ(あね)さん。拙者に気にせずに、色々なさってもいいのでござるよ。お2人の関係は今更でござるし」


「気にするのじゃ!」「気にしますよぉ!」


 気を使ったであろうヴェイッコの一言に、即時ハモって答える僕達。


「さすが婚約者同士でござる。掛け声も同時とは」


 半分オフザケのヴェイッコの顔を、リーヤはじっと真顔で見る。


「ワンコや、オフザケはそのくらいにするのじゃ。此方、せっかく我慢しておるのが我慢できなくなるのじゃぁぁ!!」


 リーヤの背後から怒りの魔力オーラが立ち上がっているのが、僕の眼にも「ぼんやり」と見える。


(あね)さん、すいませんでしたぁ。拙者、ふざけ過ぎましたぁ!」


 リーヤの怒りを感じたヴェイッコ、すかさず土下座をする。


「リーヤさん、そのくらいで許してあげてくださいな。ね!」


 僕はリーヤの側に近付き、横から軽くハグしてホッペにちゅっとキスした。


「タケぇぇぇぇ!」


 僕の行動にびっくりしたリーヤは大声を上げて僕に抱きつこうとするも、僕はその動きを読みきって、するりとリーヤの抱擁から逃げた。


「えぇぇん。タケ、もっとハグするのじゃぁぁ」


 未練がましく僕に迫りよるリーヤ。


「いえいえ、ここでストップ! これ以上は僕も辛抱できなくなります。また今度ハグしてあげますから、今日は御終いです!!」

「タケのいじわるぅ」


 口では文句を言うも、機嫌良さそうなリーヤ。

 ひとまずは、問題(欲求不満)解決である。


「さて、リーヤさん。ちょうど時間もある事ですし、今回のテロ事件を纏めましょうか? ヴェイッコさんも警察署長と陛下の話で何か情報がありましたら教えてください」

「しょうがないのじゃ!」

「御意でござる」


 とても、しょうがないといった顔ではない満面の笑みのリーヤ。

 僕にアテにされて嬉しいのだろう。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 今回の京都多発自爆テロ、他の国でも同様な事件が、ほぼ同時多発的に発生したのだが、主犯の「メシアによる福音主義同盟」から日本時間の本日夕刻犯行宣言がネット上で公開された。

 情報発信元は、アメリカ某所。

 該当する場所に、即時軍や警察の特殊部隊が強襲突入するも、建物は「も抜け」の空。

 中継用のPCがあった上に爆弾トラップが設置されていたとかで、突入部隊に死人は出ないまでも怪我人が続出したそうだ。


「タケや。この集団は一体どういう存在なのじゃ? 此方には形の無い神を信仰するのが、いまひとつ理解できぬのじゃ。日本の神々は、自然という『形』があるのじゃから、まだ理解できるのじゃが?」


 リーヤからすると、狂信者が何を信じて行動しているのかが分からないらしい。

 そこは僕も同じ、何か彼らをそこまでの狂信に追い込んだのか、実に気になる。


「そうですねぇ。彼らには彼らなりの信じるモノがある様です。ただ、自分達の考えが正しい、他は全て間違い。間違っている人は人間にあらず、殺す事が神の祝福であり、正しい事だ。そんな風に考えているらしいと聞いた事があります」


 一神教は、その教義の特異性から過去、他の多神教宗教や同じ一神教内部でも論争、戦乱を引き起こしている。

 神の言葉は絶対、神は唯一神のみ。

 その教え自体は、大半が素晴らしいものではあるが、他者、特に異教徒に対する扱いにおいて悲劇を生みやすいのが欠点である。

 そして、時代が進むにつれ、教義と科学・社会の間に一致しない問題が多発し、それを理解した穏健派は自らを社会へ寄り添う形へと変えていった。

 しかし、原典こそ正しい、原理を社会、法律、科学よりも優先すべきとする過激な保守派は論争や戦いを引き起こし、穏健派から異端と追い出され、更に国際社会からは弾圧孤立化されることで、より先鋭化過激化していった。


「……と、いう感じで、どんどん過激になって、自分たちこそ正しいと固執してしまい、自分達では無く社会を変えようと動き出し、テロ活動を始めてしまったのが彼らです。そこに同じ一神教系のテログループ残党が寄り添いあって、今や何が何だか分からない存在になっていますね」


「うみゅぅ。分かったような分からないような。様は、考えが凝り固まったバカ共なのじゃな?」

「ええ、基本そういう解釈で間違いないと思います」


 リーヤの答えに、僕は正解を出す。


「拙者、社会を変えたいという考えは否定はせぬでござるが、無辜(むこ)な民を巻き込むテロは許せないでござる。言いたいことがあるなら、ちゃんと政治の舞台や表に出てきて訴えるのが一番でござるよ!」


「僕も変革自体は否定しません。帝国自体、今は陛下の下で過去とは違う形に変わって言っています。しかし、自分達の意見を押し通すためにテロをする事は、ダメですし、絶対に許せません。特に自爆テロなんて騙して自分達の兵を無駄に使う行為。後方で、彼らをそそのかしてテロ行為をさせているスポンサーや指導者を早く捕まえて、戦争犯罪者として裁判に掛けたいです!」


 僕は犯人達の、どこか諦めと悲しみ、そして恐怖に満ちていた表情が忘れられない。

 事件の背景が少しずつ見え出しました。

 タケ君達、このまま無事に旅行が続けられるのか、この先の展開をお楽しみくださいませ。


「今回、ワシ出番ないのじゃぁ!!」


 はいはい、楽屋裏までチエちゃんお疲れ様です。

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