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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第33話 美幼女は、富士山と地下鉄に驚く。

「うみゅ? あの山は何なのじゃ? ぽつんと大きな山があるのじゃ!」


 リーヤは、北側の窓に顔を寄せて大きな声を出す。


「皆さん、北側の窓にご注目下さい。あれこそが、日本で最も高い山、最高峰の富士山です。高さ3776m、江戸時代まで噴火を繰り返した火山でもあります」


 僕達の視線の先に(そび)える霊峰富士、真夏なので上まで青い姿を見せている。


「変わった山だな。普通はいくつもの山が連なるものなのに、あの山はただ一つそびえておる。しかし、何か『力』らしきものも感じる優美な山だな」


 少年皇帝は、富士に何か思うものを感じるのだろう。


「江戸の町から見えていたと聞くでござるが、かなり遠いのでござる」

「わたし、近くでは始めて見たの。いつも村からは遠く見えていたの」


 時代劇から江戸の町の様子を知るヴェイッコが言うように、ビルの無い江戸時代では富士見と地名がある場所では富士山が見えていたらしい。

 更に過去の事を知るカンナは、遠景で知っていたのだろう。


「タケ、あの山には上まで登れるのかしら?」


「はい、今の季節なら装備さえしっかりしていたら、フェア君より大きなお子様でも登れます。夏場の大人気スポットなので、午前中の今頃は頂上は渋滞しているかと。冬場や雪が多く残る時期なら、死人さえ出る厳しい山でもありますが」


 マムの質問に僕は答える。


 夏なら、バカな若者が半袖シャツにスニーカー程度でも登山が不可能でない富士山、しかし冬季には死の山と化し、多くの登山家を飲み込んでいった。


 ヒマラヤ山脈やアルプス山脈への練習場所として冬季の富士に挑む者は多いが、高山ゆえの寒さと暴風に、死神のおわす山となる。

 近年、10月末に登山中にネット生中継を行っていた男が装備も中途半端で行ったため、雪と急斜面で滑落し、死亡した。

 また雪山訓練で登山したものの、強風でテント毎飛ばされて滑落という事故も発生している。


 その美しさと共に、非情ささえも持ち合わせた霊峰。

 かぐや姫から渡された「不老不死」の薬が山頂で焼かれた「不死」の山。

 そして日本神話の女神コノハナサクヤヒメのおわす神聖な山。

 また、噴火で災害をも起こす日本を代表する名山だ。

 

「タケ殿、物知りなのじゃな。ワシもある程度は知っておったが、世界初のSF竹取物語や日本神話と富士山の関係は知らなんだのじゃ!」


 チエは僕の説明に感心して褒めてくれる。


「いえ、神話関係は魔法関連を学ぶついでに勉強しましたので」


 どんどん遠ざかる霊峰に、僕は皆の旅の道中安全を祈った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「まもなく終点、新大阪です。今日も新幹線をご利用下さいまして、ありがとうございました。Ladies and gentlemen, we will arrive at ShinOsaka terminal in few a minutes. Please be sure to take all belongings with you.」


 車内に女性の声での自動アナウンスが日本語、英語の順番で流れる。


 ……確か、英語版のアナウンスの人ってアニメでも声優さんやっていたっけ?


「あ、この声どこかで聞いたと思っていたのじゃが、デバイスの声なのじゃ!」

「そうね、噂では聞いていたけど、何回も聞いたからワタクシでも分かりましたわ」


 ウチでアニメに詳しいリーヤにキャロリンが反応する。

 調べたら、リタ姫が良く話題に出していた「魔()」少女モノアニメの魔砲運用補助デバイスAIの声役でした


「皆さん、そろそろ荷物(まと)めてくださいね。終点だから降り忘るという事は無いでしょうが、忘れ物が無いように確認してください」


 僕は修学旅行の引率教師の様に皆に案内をする。


「そうなのかや? うーん!! もう目的地へ着いたのじゃな、静かで早くて快適な旅だったのじゃ!」


 リーヤは、固まった身体をほぐすべく大きく背伸びをする。


「さすがはタケ殿。ワシの仕事が無いのじゃ!」


 チエは自分の手荷物を持ち、ニコニコしながら僕をからかう。


「もう、僕で遊ばないで下さいな。タダでさえ、僕って皆のオモチャなんですから」

「えー。だって、タケって可愛いんですものぉ。あ、フェアの方がもっと可愛いわよ」


 僕を一番(もてあそ)んでいるマム、更に僕を遊ぶ。


「さあ、遊んでいないで早く新幹線から降りますよぉ!」

「はーい!」


 そして僕達は新大阪駅に降り立った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「これが地下鉄なのかや!? 凄い人なのじゃ!」

「ずっとトンネルの中なんだぁ」

「拙者、びっくりでござるよぉ」

「フェア、お母さんから離れないでね」

「うん、おかーたま!」


 僕達は一路、地下鉄御堂筋線で大阪駅方向へ移動している

 ウチの純粋異世界組は、やや混雑気味の地下鉄にびっくりしている。


 ……ラッシュ時間からだいぶずれているけど、今まで公共交通機関に乗りなれないリーヤ達ではびっくりするだろうね。


 なお、車内の方々の目線は自然にマム達に集中する。

 それはどうしようもあるまい。


「ここ、まだマシだよぉ。通勤ラッシュなんて身動き出来ないもん」


 日本で通勤ラッシュの込み具合を経験済みのフォルは自分へ向かう視線も半分無視して、ちゃんとつり革に捕まって電車の動きに対応している。


「日本の通勤ラッシュは殺人的とも言いますわね」


 キャロリンは、ハリウッド女優っぽく柱を持ってかっこよく立っている。


「タケ、一体日本の交通機関はどうなっておるのだ? これが地下を走っているとは意味不明だ」


 少年皇帝、車窓に壁しか見えないので不安そうだ。


「まだ大阪は簡単ですよ、ここに路線図があって地下と地上にこういう風に電車が走っています。これ以外にもちろん自動車や自転車、人が動く道、そして自動車しか走れない高速道路が縦横無尽に走っています」


「こ、コレは……!」


 僕が地下鉄車内に表示された案内図を示すと悶絶した陛下。


 ……これ、陛下を大阪駅の地下街に案内したら「ダンジョンがー!」とか言いそう。


 まだまだドタバタ日本観光は続くのだ。

 四国在住の作者からしたら、比較的良く行く大阪の地下街でもダンジョンです。

 仕事で厚生労働省に行きましたが、一歩も地上に出ずに東京駅から厚労省に行けたのでびっくりしましたし、日帰りできたので宿泊費出ませんでした、ぐすん。


「ワシ、都会の地下街は苦手なのじゃぁ! 方向が分かりにくいのじゃ!」


 過去、ダンジョンを作ったチエちゃんもこう申しております。


 そうそう新幹線の英語版アナウンスは、「なのは」レイジングハートのドナ・パークさんですね。


 では、明日の更新をお楽しみくださいませ

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