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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第31話 新米騎士爵は、飛竜事件の情報を得る。

「今日はお疲れ様でしたのじゃ。明日は長距離移動が待って居るのじゃ 今晩はゆっくりするのじゃぞ!」


 僕達は今、保養所に帰ってきて夕食を食べた後だ。

 マユコ達は自宅に帰っているが、チエだけは添乗員という立場なので僕達と一緒に居る。


「今晩もご飯が美味しかったのじゃ。確か中華(ちゅーか)とか言ったのじゃ。タケや、タケは今日の料理作れるのかや?」


 リーヤは、日に少し焼けたのか、火照った頬をして僕に聞く。


「そうですね。レシピと材料あれば、ある程度は再現可能ですね。帝都でも水餃子作りましたし」


「それは楽しみにしていますわね。フェア! お兄ちゃん、また美味しいご飯作ってくれるんですって」

「うわーい! おにーたん、ありがとー!」


 僕はマムに「楽しみにしてくださいね」と言いつつ、料理内容をスマホにメモする。

 こういうマメな情報収集が、なにかと役に立つのだ。


 ……僕、本職の分析随分とやっていない気がするよ。これで良いんだろうか? 本家CSIスピンオフの保冷所(ほれいしょ)さんみたく、白衣着ないでドンパチする検査員にはなりたくないなぁ。僕は更に料理関係もしなきゃだし。


 僕は自分の行く末を心配する。


 〝なに、タケ殿はタケ殿。心配しなくとも、独自路線で闘えば良いのじゃ! でも、本職もしたいのであろう。今から飛竜(ワイバーン)の情報を公開するのじゃ!〟


 内心呟きに反応するチエ、一昨日の事件について僕達に報告してくれるらしい。


「さて、一息ついたところで、一昨日(おととい)深夜の飛竜事件について陛下やマム殿、タケ殿には関係あろうから、ワシから報告するのじゃ!」


「おお、もう何か分かったのか? 流石は日本警察だな!」

「そこはタケ殿同様な優秀な科学捜査員が()るからなのじゃ!」


 陛下の問いに、僕の方を一瞬見てウインクしながら答えるチエ。

 そのフォローに僕は、恥ずかしくなる。


 ……今回の調査は、僕って試料(サンプル)を拾い集めて整理した以外の仕事していなんですけどぉ。

 〝それはソレなのじゃ!〟


 チエの内心呟き突っ込み念話(テレパス)にいちいち反応していたら、忙しいので僕は放置する。


 〝放置プレーも良いのじゃぁ〟


 ……ああ、放置するんです! 早く本題勧めてくださいな!


 僕はジト眼でチエを見るも、一切気にしないチエ。


「今回の飛竜じゃが、2匹ともに異世界帝国領内から正規ルートで輸入された形跡があったのじゃ!」


 チエは、話をやっと進めだした。


「1匹からは埋め込まれていたICタグ、電子情報媒体が回収されて、輸入に係った業者情報も入ったのじゃ」


「ふむ、余はまだ地球の業者とは殆ど面会をして居らぬ(いない)。なれば、どうやって正式に帝国から輸出する許可が出たのか?」


 少年皇帝は不思議げに話す。

 因みに、今日は異世界関係者しか居ないので、チエも異世界共通語を話している。


「どうやら、先日の領主会議以前に地球の鳥獣貿易会社と帝国北東地方の領主が接触したらしいのじゃ!」


 そういえば、僕は以前異世界の珍しい動物が地球の動物園で飼育されている話を聞いた事がある。

 そして鳥獣を取り扱う商売には、第一種動物取扱業の免許が必要らしい。


「動物園や個人資産家が、帝国内の珍しい動物を欲しがったというのが理由らしいのじゃ」


 僕の考えを補完してくれるように、説明してくれるチエ。


「しかし、飛竜となると普通の飼育は不可能。ましてや生け捕りなぞ難しいのでは無いか?」


「そうなのじゃ。危険性が高すぎる上に捕縛も困難なのじゃが、仕事の契約金が相場の倍以上だったらしく、地元の騎士団や魔術師ギルドまで総動員で捕まえたと記録にあるのじゃ」


 チエは、地球に居ながら帝国内部情報まで調べ上げている。

 どのような情報筋を持っているのやら。


「あ、この事はワシの分身体が直接領主や転送門の担当者に聞いたのじゃ! この情報は後で纏めて陛下や保安官のタケ殿に送るのじゃ!」


 ドヤ顔で自慢げに報告をするチエ。

 この時点で、僕達捜査室の出る幕は全く無い。

 マム一同、ほーっとした顔だ。


「まあ、今回は地球に関係する事件でもあったので、お節介ながらワシが仕事したのじゃ。これからはワシを頼りすぎるのでは無いのじゃ。しかし、どうにもならない時はワシに助けを求めるのじゃ! ワシは、光の戦士の様に登場して事件解決させるのじゃ!」


 僕達の内心を読んだのか、今回は特例と言うチエ。


 ……そういえば、自分がでしゃばりすぎると皆が成長しないので、動かないって言っていたよね。

 〝そういう事なのじゃ! ワシはあくまでゲストお助けキャラ。物語を紡ぐのはタケ殿達なのじゃ! 頑張るのじゃぞ〟


 僕の思いに気が付いたチエ、僕の方を慈愛の表情で見ながら念話で励ましてくれる。


 ……はい、がんばります!


 チエは、うむと頷き話を続ける。


「ただ、問題だったのは、その鳥獣貿易会社が飛竜等を渡した相手なのじゃ!」


 チエの表情は曇る。


「都内に事務所がある海外動物園への輸出を行う商事との事じゃったのじゃが、そこは無人の遠隔オフィス。ペーパーカンパニーで『もぬけの空』じゃった」


 正規に鳥獣貿易会社へは支払いが行われたのだが、事件を受けて業者を確認すべく警察が事務所へ赴いたところ、無人だったという。


「今度はペーパーカンパニー設立の資料をネット上などから確認したのじゃが、タックス・ヘイブン(低課税地域)、ケイマン諸島に設立した会社の日本支店が(くだん)の事務所じゃった。そして、そこから先が情報が掴めなかったのじゃ!」


「タケや、先程からチエ殿が話しておる内容が分からないのじゃ!」

「うむ、余も分からぬぞ」


 うんうんとウチの異世界組は分からないぞって顔をしている。

 キャロ、そして地球で学生時代を過ごしたフォルは分かっているみたいだ。


「タケお兄さん、わたし説明しましょうかぁ?」


 フォルが助け舟を出してくれるが、年長者として、そして可愛いフォルに頼られたい僕は自分で頑張ってみる。


「大丈夫、フォルちゃん。僕が説明してみるから、補足説明御願いね」

「うん!」


 僕は、ざっとだけど異世界組に説明をした。

 足がつきにくく法人税が無いに等しい国で会社を作り、そこの日本支店という形で「犯人」は飛竜を異世界から輸入したと。


「つまり、『足』が付かぬ様に準備した謎の相手が飛竜を購入して運んだのじゃな?」

「そうなると、飛竜を輸入した理由が別にあるはずだ。もしや何か犯罪に係ることなのか?」

「ええ、何かきな臭いお話しですね。わたくし達にも無関係では無いですわ」


 流石は優秀なウチの面子。

 リーヤ、陛下、マムはそれぞれの推理を進める。


「心配じゃろうが、ココから先は地球の警察の仕事じゃ。ワシは、もう少し調べてみるし、警察からの情報は随時陛下やマム殿に流すのじゃ。以上、難しい話は終わりじゃ。さあ、お風呂入って今晩は早く寝るのじゃ。明日は、800km程一日で移動するのじゃぁ!」

「おー!」


 なお、男湯でも女湯でも、「日焼け跡がいたいー!」という悲鳴が飛び交ったのは言うまでもあるまい。

 因みに僕は、存分に日焼け止め使ったので、なんとか無事だった。


「タケ、湯が痛いのじゃぁ!」

 飛竜事件、案外深い事情ありの様です。


「お主、何か企んで居るな。タケ殿達を不幸にはせぬように頼むのじゃ!」


 はい、そこは安心してくださいな、チエちゃん。

 「少々」苦労はしてもらいますが、基本ハッピーエンド主義者ですからね、私は。


 では、明日の更新をお楽しみ下さいませ。

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