第27話 新米騎士爵は、美幼女の水着姿に見惚れる。
「砂が熱いのじゃ! あ、タケ!」
先に水着に着替えていた僕達男性陣は、ビーチパラソルやシートを展開して場所取りをしていた。
そこにリーヤを先頭に水着姿の女の子達が現れた。
「り、リーヤさん!?」
僕は、リーヤの水着姿に眼を奪われた。
異世界では、きちんと貴族ドレスを着込んでいて、リーヤの身体のラインはハッキリとは分からない。
時々着用する戦闘ジャケットでも、そうだ。
日本に来てからは、オフショルダーのワンピース姿が多かったし、浴衣時に輝く様に白い御み足を見ることが出来た。
しかし、今日は完全にリーヤのスタイルが、僕の目に飛び込んできた。
白地に花柄のワンピース水着。
腰周りにはスカート、胸元と腰にワンポイントのリボン。
髪をポニーテールに結んだリボンも水着と同じ柄だ。
その様子は華奢ながら、ほんのり膨らんだ胸と締まったウエスト、そして美しい腰から脚に繋がるライン。
つい一昨日触れた柔らかい、そして輝くような白い肌。
更に、幼げながら整っていて美しい顔を飾る明るい笑み。
あでやかに華開く直前の少女にしか持ち得ない、蕾としての危うげな「美」。
ふと僕の脳内にそんな単語が思い浮かんだ。
……僕、幼女趣味は無かったはずなんだけどなぁ。まー良いか、もうリーヤさん以外と一緒に居る事、僕には考えられないもの。
この炎天下の砂浜で、僕は頬に熱を感じた。
「タケや? 何呆けておるのじゃ? まさか、此方の水着姿に見惚れたのかや?」
いつも通り、ドヤ顔で僕に迫るリーヤ。
僕は、内心の焦りや恋心をリーヤに気づかれない様に、意識して普通に話してみる。
「一応、僕はリーヤさんの婚約者ですよ。そりゃリーヤさんの事は好きですが、これ以上の進展はザハール様に禁じられています。なので、僕を遊んで誘わないようにしてくださいね」
「それは残念なのじゃ。まあ、タケは赤い顔しておるし、内心で此方に見入っていたのは分かったじゃから、今日はそれで勘弁するのじゃ! 『蕾の美』とは上手い例えなのじゃ!」
にんまりとして、満更でもない表情のリーヤ。
そして、すっかり心の中までリーヤに読まれてしまった僕。
……僕、顔に出てたのね。ま、まあ良いかな。リーヤさんはご機嫌みたいだし。
〝実に優美な例えじゃな!〟
〝そうね、少女期独特の危ういバランスの上の美ね。でも、タケシ君手出しはダメよ〟
またまた僕の内心呟きに介入してくるチエにマユコ。
人外魔境で生きる僕は、もう細かい事を考えるのを辞めた。
「さあ、皆準備運動はしっかりしてから、海に入ってくださいね」
「はーい!」
またまた、妙に元気な返事に心配が募る僕であった。
◆ ◇ ◆ ◇
「ちょっと冷たいのじゃ」
「はいはい、リーヤちゃん。バタ足してね」
リーヤは浮き輪を腰に巻いて、手をナナにとってもらいバタ足の練習をしている。
ナナ、彼女の水着は紫色のオフショルダーセパレーツ、胸元にはフリル、腰には飾り布。
長い髪を編みこんで後に纏めている。
「ギーゼラさん、こっちだよ!」
「リタっち、待ってよぉ! アタイ泳げないんだから」
リタ、スカイブルーのワンピースビキニでスカート付き。
銀色に近いプラチナブロンドの髪をお団子にまとめていて、華奢な身体を美しく飾っている。
ギーゼラは、真っ白のシンプルなワンピース。
小麦色の肌を、より魅力的に見せてくれている。
2人は、海辺で仲良く追っかけっこをしている。
何故か近くには、「かんな」とひらがな名札付きのスクール水着姿のカンナもいるのが「視える」。
……精霊っていうか幽霊って着替えできたんだ。芸が細かいなぁ。似合っているけどね。
〝ワシのフォローのタマモノなのじゃ!〟
すかさず念話フォローしてくるチエである。
「アンズ殿、ここに砂を盛るのじゃ! フェア殿は、ここに砂を盛るのじゃ。フォル殿、フェア殿宜しくなのじゃ!」
「りょーかい、チエ監督員!」
「りょー!」
「はいですぅ」
アンズとチエは砂の城を築城中、横でフェアとフォルは砂山遊び中。
チエ達が作っているのは、高い城壁を持つ日本風のお城だ。
〝四国さぬきの丸亀城なのじゃ! ワシ、10年程前に現物を見たのじゃ!〟
チエからの念話フォローで何を作っているのか分かったのだが、この情報に何か意味があるのかな?
アンズは、ソフトピンクでフリル一杯のセパレート。
チエは、真紅の競泳タイプで長い髪をツインテールだ。
フェアは、小さな麦藁帽子にスカイブルーのラッシュガードとパーカーで日焼けしないようにカバーをしている。
そしてフォル、意外にも大胆な黒いビキニなのだけれど、恥ずかしいのかパーカーをきちんと着込んでいる。
「若い子達は元気で良いわね。マサアキさん、ルーペットさん。こっちの日陰で、ゆっくりしたらどう? エネフェアさん、キャロリンさんも火傷にならないように、こちらへどうぞ」
「うん、ありがとうね」
「助かりますのじゃ」
「ありがとうございます、マユコ様」
「すいません、お気をつかわせて」
ビーチパラソルの中で寛ぐアダルティな雰囲気のマユコ、とてもウン歳、後数年以内にお婆ちゃんになるであろうお姿には絶対に見えない、真っ白いモチ肌とスタイルだ。
……マサアキさん、こんな美人さんで優しい女性をお嫁さんに出来て良かったですね。まあ、何かと大変みたいだけれども。
〝お世辞でも嬉しいわ、タケシ君〟
僕が内心で褒めたことに念話で感謝するマユコ。
お約束になりつつあるが、この一家相手では一瞬たりとも油断は禁物なのだ。
僕は、戦闘とは別の意味で緊張する。
〝大丈夫よ。わたし、タケシ君の事は応援してますからね〟
〝そうなのじゃ! 日本に居る間は、全部ワシらに任せるのじゃ!〟
そんな親子念話突っ込みをしてくるマユコにチエ。
マユコの水着は、漆黒で胸元が大きく開き、腰にも大きなスリットが入ったワンピース。
豊満なバストや細いウエスト、そして見事な腰周りと御み足を綺麗に見せている。
「ここは凄い人手ですわね、マユコさん」
「関東でも人気スポットですわ。でも大丈夫ですの、エネフェアさん? ウチのリタちゃんも、日焼けというか火傷には苦労しましたの。エルフ種では日焼けは難しいでしょ? キャロリンさんも気をつけたほうが宜しいですわ」
マムはマユコ、キャロリンと談笑する。
「確かにコーカソイドなワタクシや、純粋エルフ種のマムでは、メラニン色素が少ないので、日本人程は日焼けで黒くなる事はありませんわ。その代わり真っ赤になって火傷に近い状態になったり、肌の老化・ガン化の危険性が上がりますわね」
「ですわよね。リタちゃんもそうだったから、今日もごってり耐水日焼け止めを塗っていますの。リタちゃんが日本に来た最初の夏は大変でしたわ。皆様も、どうぞお使いくださいな」
キャロリンとマユコ、共に医療関係者なので、割と高度な医学の話を日本語でしている。
聞こえてくる内容は僕は理解できるけれども、マムはどうなのだろう?
「あのぉ、すいません。わたくし、お2人のお話が難しくて分からないのですが?」
「マム、すいませんですわ。様はワタクシ達は太陽光を浴びすぎると大変になるって事なのです」
キャロリンはマムに簡単に説明する。
マム、本日はピンクのセパレートの上にパーカーを着ている。
キャロリン、真紅の三角ビキニにパレオとパーカー。
2人とも大きな帽子とサングラスで、実にハリウッドの女優さんっぽい。
「やるねぇ、ヴェイッコくん。じゃあ、今度はこうだ!」
「お! 流石は英雄殿。ならば拙者は、こうでござるぅ!」
向こうでは、ビーチバレーのコートを借りたヴェイッコとコウタが激しいラリー合戦を繰り返している。
獣人と細マッチョの2人の激しい戦いは、多くの観客を集めていた。
「タケ、こうなのか?」
「はい、そうですよ陛下」
そういう僕は、少年皇帝の泳ぎの練習に付き合っている。
横には御付のアレクがアロハシャツを上に羽織って待機している。
「う、水が塩辛いし、眼に染みるのだ」
「海水は塩分多いですからね」
ビート板に捕まり、バタ足の練習をする陛下。
その可愛い容姿に周辺のお姉様方の視線は、陛下に集まる。
……どうにも僕達の周囲にギャラリー多いよね。これ帰るのが大変かも?




