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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第6章 捜査その6:日本ドタバタ観光編

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第12話 新米捜査官は、宴会で皇帝の通訳をする。

「では、何処から行けば良いか、タケよ」

「そうですね。では、近くにいらっしゃる教祖様とご老人の席から行きましょう」


 僕は周囲を一瞥して、一番格が高いと思われる人物を探した。


「教祖殿、今日は盛大な宴をして頂き感謝である」

「へ、陛下。誠にもったいないお言葉でございますぅ」


 教祖の黒田、少年皇帝が自分が座る席まで来たのでびっくりして立ち上がる。


「良い、今日は無礼講だ。座ってよいぞ」

「は、はい」


 大汗をかく黒田氏、陛下のオーラに圧倒されている様に見える。


 ……あれ、黒田さんって魔力持ちだよ。


「ほう、その方魔力持ちか?」

「はい、その為に悪行に身を染め、その際にチエ様達に調伏され身も心も救われました」


「陛下、私は黒田翔太(ショウタ)と申します。この度は父が準備しました宴でご満足なされましたでしょうか?」


 黒田の横に、彼に似た20歳くらいの青年が居て陛下に挨拶をした。


「ああ、楽しませてもらって居るぞ。その方が教祖殿の子息か。うん、横に居るのが守護精霊だな。親子共々見事なり」


 青年、ショウタの横にはウンディーネというかセルキーというか水系の精霊の女の子が待機している。


 ……なるほど、この教団でカンナちゃんを保護していた理由がこれだね。これだけ自我がはっきりしていて強い精霊と一緒にいるんだもの。


「マリを褒めて頂きありがとうございます。今は姿を隠していたのですが、流石陛下でございます」


 ……主従(ショウタとマリ)が笑いあって揃って頭を下げているのが可愛いや。


「今回は、日本にお越し頂き、ありがとうございます。私は引退した身ではございますが、かつて政治に係ったものです。今後とも帝国とは良しなにさせて頂けたらと思います」


 おそらく80歳くらいだろうと思われる少し弱った老人、内藤広重(ひろしげ)

 地元の資産家&政治関係者だとか。


「祖父はもう引退しており、今は私が後を引き継いでおります。これからも宜しくお願い致します」


 たぶんナナと同世代の青年男子、しかし魔力量がヒト族にも見えない。

 まるでチエと同じくらい。


和也(カズヤ)殿は事情があって、魔神族の身体を持って居るのじゃ。まあ、ワシの舎弟じゃな」

「チエちゃん、辞めてよぉ。イイ加減僕も大人なんだからぁ」


 いきなり現れてカズヤをおちょくるチエ。

 彼女の周囲には非常識しか無いのかもしれない。

 その後、そこに居た各界関係者と政治的な話をした。

 警察上層部の方(中村警視長)とか医療関係(豊原医師)考古学会の先生(吉井教授)とか。


「あれ、リーヤさん。ずいぶんと大人しいね?」

「此方、ヒト族の年齢が良く分からん時があるのじゃ。先ほどの席の方々の大半は老人や壮年なのじゃろ?」


 ……なるほど、相手の年齢が分からないと話題も分からないんだよね。


「そういう時は、にっこりと笑っていたら良いと思うよ。リーヤさんの笑顔はステキだものね」

「タケや、恥かしい事を言うで無いのじゃ」


 リーヤ、お酒を呑んでいる訳でも無いのに顔を真っ赤にした。


「タケ、リーヤを可愛がって惚気(のろけ)るのは、自分の席に帰ってからにしてくれぬか。余まで恥かしいぞ」


 少年皇帝も、白い顔が赤く染まっていた。


「は、はいですぅ」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「マユコ殿、先日は助かったぞ。また昨日から世話になりっぱなしだ。其方(そなた)の子等にも以前から随分と助けてもらっておる。本当にありがとう」


 陛下は、マユコには皇帝としてでは無く、友人の母へと感謝の言葉を述べた。


「いえ、良いんですのよ。困った時はお互い様、陛下にはバカ義理息子(むすこ)がご迷惑をおかけしちゃってますから、その代わりですの」

「えー、マユ姉ぇ。俺、今回はそれなりに頑張ったぞ」

「でもコウ兄ぃは普段がダメだもん」

「コウお兄ちゃん、ずぼらすぎ。ね、アンズちゃん」

「うん、リタお姉ちゃん。コウタ兄ちゃんはもっとしっかりするの」

「おいおい、皆、コウタ君を虐めすぎだよ。ただでさえ、ウチは女性が多くて男は僕とコウタ君だけなんだからね」


 ここはコウタの家族の席、すっかりとコウタが(いじ)られている。

 唯一、マユコの夫、ナナやアンズの実父マサアキがコウタを(かば)っている。


「そうじゃ。まだまだ人生半分なのじゃ。コウタ殿には更なる修行を準備するのじゃ。(おぼろ)よ。準備するのじゃ」

「御意!」


 ……魔神の作る特訓コース、知りたいような知りたくないような。

 〝タケ殿用には今度準備しておくのじゃ〟


 内心の呟きにまで突っ込んでくる魔神(チエ)、実に困る。


「なあ、朧さんや。ワシも少し参加したいのじゃが……」

正蔵(しょうぞう)さん、貴方おいくつになったのか忘れたのかしら。もう90近いんですよぉ」

「だってぇ、ウタさん。最近、誰もあそんでくれないんだものぉ」


 とても90近くには見えない老夫婦がお互いを(たしな)めあっている。

 そして2人の放つ魔力は絡み合い、とてつも無い量となっている。

 これがマユコの両親にしてコウタやナナの祖父母である。


 ……この親にこの子、この孫ありという事ですね。十分バケモノ級です。


「父さん、年寄りの冷や水って(ことわざ)知っているよね。言いたくないけど、棺おけに半分以上脚突っ込んでいるんだから、優雅に老後送ってくれよぉ。もう9年前みたいな事は起きないんだから」

「そうでございます。御爺様にはもっと長生きしていただきたいものです。リタ様には、数少ない家族でございますし」


 マユコの兄、カツヤが苦笑いしながら話す。

 そこにルーペットも同意している。


 ……この家族だからこそ、コウタさんは立派になったんだね。幸せな家族、見せてもらってありがとうございました。


「リーヤちゃん、今晩も一緒に寝ない? ボク楽しみなの」

「えー、お姉ちゃんはコウ兄ちゃんと一緒じゃないのぉ?」

「リーヤお姉さん、先日はお話できずにごめんなさい。わたしはナナお姉ちゃん、リタお姉ちゃんの妹のアンズです。宜しくお願いいたします」


 3姉妹が(かしま)しくリーヤを囲って話している。


「ナナちゃん、わたし達にも紹介してよぉ」

「そうそう。可愛い女の子は皆で共有しなきゃ」

「お風呂でも抱っこしたけど、詳しい話聞きたいし」


 ナナの友人と思われる妙齢の女性達がリーヤを囲む。

 すごい巨乳な女性(カオリ)に、女優真っ青の美人(ケイコ)さん、スポーティな短髪美女(カレン)に、これまた良いものをお持ちな小柄お嬢さん(シンミョウ)に、お供に不死鳥(フェニックス)を従えた可愛い長身女性(マヤ)などなど


「ちょ、いきなりで困るのじゃ。タケ、助けてなのじゃぁ!」

「あら、チエちゃんと似た話し方だけど可愛いのぉ」

「悪うございましたのじゃ。ワシはひねくれモノじゃからな」


 女性達に一斉に囲まれたリーヤは、僕に救いを求める。


 ……うん、僕では無理だよ。このパワフル乙女達には勝てるはず無いじゃん。


「ごめん、リーヤさん。僕では無理です。チエさん、宜しく御願いします」

「任せておけなのじゃ。リーヤ殿悪いようにはしないのじゃぁ」

「タケのバカぁぁぁぁ!!」


 僕はリーヤの悲鳴をバックに次のテーブルへ移った。


 ……がんばれ、リーヤさん!

 すっかり人気者のリーヤちゃん。

 暫くはお姉さん方に捕まってしまいました。

 まだ続く宴会シーン、明日の更新をお楽しみに。


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